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2024年6月の記事一覧

そういうわけで、彼はもうずっと以前から、車輪の下敷きになっている。【日本語】文豪(カフカ『カフカ断片集』)

そういうわけで、彼はもうずっと以前から、車輪の下敷きになっている。【日本語】文豪(カフカ『カフカ断片集』)

カフカに「文豪」はそぐわないと思う。

「文豪」の語源をちょっと調べてみたが、よくわからなかった。「剣豪からの援用ではないか」と言っている人がいて、これはなるほどと思った。

例えば宮本武蔵や柳生十兵衛は押しも押されぬ剣豪だが、座頭市が剣豪かと言われると、どうかと思う。剣豪の条件には、剣の腕だけではなくて、ガタイの良さとか、押し出しの強さ、迫力などが伴う感じがする。

弱そうに見えて強いのは剣豪で

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「鉄板」を安全に使うためのガイドライン【日本語】鉄板

「鉄板」を安全に使うためのガイドライン【日本語】鉄板

旅先で「鉄板ナポリタン」という看板を見かけた。

たぶん、鉄板焼きで作るナポリタン・スパゲティのことだろう。

でももしかすると、定番の、確実にうまいナポリタンであって、調理に鉄板は使わないのかもしれない。

少し調べてみると、「鉄板」の使い方について下記の記事があった。2010年のものだ。

この時点で、アプリにコーディネート、彼氏へのアプローチの仕方などについて、「間違いない、確実」という意味

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【日本語】詐欺師扱いされて死んじゃった(『天空の城ラピュタ』)

【日本語】詐欺師扱いされて死んじゃった(『天空の城ラピュタ』)

ラピュタについての記事を読んでいて、ふと、長年引っかかっていたこのセリフを思い出した。

冒頭、主人公のパズーがシータに、父親について語った言葉である。

「◯◯されて死ぬ」の「◯◯」にはふつう死因となるような加害行為が入る。

「殴られて死ぬ」「刺されて死ぬ」「毒を盛られて死ぬ」。

しかし、詐欺師扱いされることが直接の死因となることは、普通ない。

それが心理的負担となって、あるいは遠因となっ

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【雑感】さようなら、「読書」

【雑感】さようなら、「読書」

文章を書くことを、「ペンを執る」などと言う。いまだに言う。みんなスマホやパソコンで書いているのに。

それでいうと、いまだに「書く」って言う。フリック入力してるのに。キーボードたたいてるのに。

このモヤモヤはいつまで続くのだろう。もっと早い段階ではっきりさせておくべきではなかったか。

今、同じような問題が起こりつつある。

オーディオブックだ。

「読書」。読んでないのに「読書」。モヤモヤする

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ダブルミーニングと打倒人間中心主義【タイトル】ネコが嫌いな人たち

ダブルミーニングと打倒人間中心主義【タイトル】ネコが嫌いな人たち

雑誌『kotoba』2024年冬号に載っていた、加藤ジャンプさんのエッセイのタイトルである。

「ネコが嫌いな人たち」についてのエッセイだが、「ネコが嫌いな人たち」についてのエッセイのようにも思える。

これほど見事にダブルミーニングでありながら、本文でそのことに触れられていないというのは珍しい。

例えば、エッシャーの絵のような騙し絵を、騙そうという気がさらさらないのに描いたり見せたりする人はい

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素材分解【コンビ名】オーロラソース(宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』)

素材分解【コンビ名】オーロラソース(宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』)

「オーロラソース」は、『成瀬は〜』に登場する架空のお笑いコンビである。メンバーはボケのケチャップ横尾と、ツッコミのマヨネーズ隅田だ。

シンプルにいいネーミングなので、素直に感心してしまった。

2人の名前を合成するというのはコンビ名の基本だし、例えば「おぼん・こぼん」や「青空球児・好児」のように、コンビ名から逆算?して各自の芸名にする、というのもよくある。

しかし「オーロラソース」は、オーロラ

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