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日本の主食とドイツの主食

いよいよ、先週からここ宮城県石巻地域でも稲刈りが始まった。この4連休以降約1ヶ月ほどは、農場のポルシェ軽トラと共にコンバインが一年ぶりの勇姿と活躍を見せてくれる。

コンバインは、お米を刈る機械。軽トラはその刈り取りしたお米を運ぶグレンタンクと呼ばれるタンクを装備している。

もうすぐ、自分の手で生涯初めて一から手塩にかけて育てた米を、頂ける。普段から、お米を食べる喜びとありがたみを、ドイツでの生活を通して感じているが、それ以上に感慨深く、楽しみも大きい。

やはり日本人には米だ。ドイツへ渡って、お米を食べない生活が半年以上続いたが、どうしても他の食材、料理では飽きがきてしまった。自炊能力だ低かったのもあるが、お米とそれに見合う素材と調理がないと、元気が出ないというか、本調子になれない自分がいた。生活習慣は変えれても、長年慣れ親しんだ味と食べ合わせ、そして体内の習慣は変えられなかった。

そんな日本人の心、お米だが、なんとそのお米離れが進んでいるというじゃないか。この田んぼに囲まれた地域で生まれ育ち暮らしていると、半分耳を疑う話だが、事実2011年初めてパンがコメへの支出を上回ったらしい。

以下、日本人の「コメ離れ」の要因。

・子供のころから「パン食」になじんで育った世代が、人口の大半を占めるようになった。
・戦後、アメリカの余剰小麦を「支援」として受ける形で再開された日本の学校給食は、「パン食」を前提として1954年の「学校給食法」成立後も継承され、1960年代に全国的に拡充されていった。
・1950年代後半から1960年代、政府自らが「コメと野菜では日本人の身体は強くならない」と、パンや畜産物(動物性タンパク質・乳製品)などを食する「食の洋風化」を奨励し、推進した。
・コメなどを作る農業人口を他産業へ振り分けるための政策も大々的に実施された。
・「ダイニングテーブル」で、「朝食にトーストを食べる」暮らしに憧れ、この頃(1960年前後)から日本人の食事内容は大きく変容した。
・「太らないためには、炭水化物は取らない方が良い」といった糖質オフダイエットブーム。

参考:https://www.nippon.com/ja/features/h00257/
   https://www.nippon.com/ja/currents/d00046/

今現在、米農家の端くれとしては、米離れをなんとか阻止しなければなるまい。

ちなみにドイツでも米は食べられている。ただ、その食べ方や調理法はだいぶ違う。ドイツでは、牛乳でお米を炊いたりして、ライスプディングのようにデザート感覚でお米を食べる。

ドイツの三大主食

そのドイツの主食と言えば、じゃがいも、パン、肉(豚肉)、3つある。

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パンはドイツに限らず、遥か昔からヨーロッパでは主食としての地位を築いてきたから、あまりここでは記さないが、南米アンデス山脈で生まれたジャガイモが、ドイツで今日の様に主食となるまでに、どういった経緯があったのだろうか。
そもそもドイツは痩せた土地、山岳地帯など、パンの原料になる小麦栽培に向かない環境が多くある。実際に、我々が住んで農作物を育てていた地域も痩せた土地ばかりだった。じゃがいもはその様な土地でも十分に栽培出来る根菜。しかも炭水化物が豊富で栄養価も高い。

ある記事によると、じゃがいもは飢饉に瀕したヨーロッパを救った野菜とも言われているそうだ。1770年代、長く寒い冬と夏の長雨が原因で起きた作物が大被害を受け、その為に大きな飢饉が発生した。そんな中、じゃがいものみがほぼ被害を受けずに収穫出来た。その耐寒性、高栄養価が見直されドイツ全土に広がったとある。

なるほど。それからドイツの各地でそれぞれの調理法、そしてその調理法に合わせた品種改良が生まれて、主食となるまでになったんだ。経験を得てのこの情報だけに、十分に納得できる。

その土地それぞれのじゃがいもあるだけに、品種数は数百を超える。

余談だが、そんな多くのジャガイモの品種が存在するドイツでは、どのじゃがいもがどの調理に向いているか一目瞭然でわかるように、それぞれのパッケージに記載されている。しかもなんと!煮くずれしないジャガイモと、パッケージに記載しなければいけない法律までもあるらしい。確かに大事!とは思うけど、そんな法律を作るまでしなくても良いんじゃないかなw

じゃがいも話が長くなったけど、次は主食3つ目の「肉」。

「ドイツと言えば、何?」のメジャーな回答と言えば、「ビールとソーセージ」だ。これ以上の無い的確な回答だ。

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そのソーセージに使われている肉、豚肉が主食となった理由は、これもドイツの気候が影響している。ドイツの冬は寒さが厳しく日照時間も短いため、冬に作物を育てるのがむずかしい。そのため、昔から飼育されたいた豚を、冬にも食べれるように工夫し、保存食として加工する技術が生まれていった。
ドイツの豚肉消費量はダントツ世界一。日本人に比べて一人あたり5.5倍近くの豚肉を食べているらしい。それ故、無駄無く全ての部位をさまざまな方法で調理され、長い冬をじゃがいもやパンと共に、ドイツ人の胃袋を支えている。

豚肉を生で!?

蛇足だが、ドイツでは豚挽肉を生で食べる習慣がある。パンの上にみじん切りにしたタマネギやパセリを乗せ、塩コショウを振りかけて食べる。スーパーや街のパン屋さん、そして飲み屋でリーズナブルな価格で味わえる。今後ドイツに行く機会があれば、是非一度買って食べてみて欲しい一品の一つだ。

商品名は、Mettbrötchen(メットブロートヒェン)・ Metthappen(メットハッペン)・ Hackepeterbrötchen(ハッケペーターブロートヒェン)などと呼ばれている。

写真は今手元に無いから、今度ドイツに行った時に撮ってきます。

ここで今日のドイツ語!

米:Reis(ライス)
じゃがいも:Kartoffeln(カルトッフェルン)
パン:Brot(ブロート)
肉:Fleisch(フライシュ)
豚肉:Schweinefleisch(シュバイネフライシュ)

*ドイツ語には3つの冠詞があります。
  Der(デア)=男性、Die(ディ)=女性、 Das(ダス)=中性

例えば、パンは中性名詞だから定冠詞となる場合、「Das Brot」となります。
冠詞について詳しくは、またいつかの機械に書きたいと思います。 

それじゃ〜また〜。Bis bald!!



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