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私たちは(芸術⽂化によって)過去をよりよく理解し、またまったく新しい眼差しで未来へ⽬を向けることもできるのです。

ドイツのロックダウンが、2月14日まで延長されることになった。

これで、飲食店や観光業はもちろん、美術館・博物館の運営継続もまた危機にさらされる。

ドイツは、メルケル首相が昨年5月9日に行った演説で「連邦政府は芸術支援を優先順位リストの一番上に置いている」と発言したり、モニカ・グリュッタース文化大臣が「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」と言うほど、自国の芸術文化を大切にしている国だ。

新型コロナが猛威を震い始めた昨年3月、フリーランスの芸術家への支援金を用意し、即座に支給されたという。

下記、コロナ禍で影響を受ける芸術文化に対するメルケル首相の演説内容の抜粋だが、如何に芸術文化が、ドイツの人々や社会の中で担う役割が大きいかが、この文章でもわかる。

ドイツは⽂化の国であり、私たちは全国に広がる多彩な催し物(展⽰や公演)に誇りをもっています。ミュージアム、劇場、オペラハウス、⽂芸クラブ、そのほかにもたくさんあります。⽂化的供給が表現しているのは、私たちについてであったり、私たちのアイデンティティについてだったりします。コロナウイルスによるパンデミックは、私たちが共に営む⽂化的⽣活の深い中断を意味します。とくに影響を受けているのは多くのアーティストたちですが、いっそう深刻なのはフリーランスのアーティストたちです。現在の状況は不確かなままです。だからこそ私たち連邦政府、なかでも連邦⽂化⼤⾂モニカ・グリュッタースは、各州とともに関⼼を寄せていることがあります。私たちの⽂化的⽣活が将来にもチャンスがあり、そしてアーティストたちに橋が築かれることです。

私たちは様々な⼼の動きと向き合うようになり、自ら感情や新しい考えを育み、また興味深い論争や議論を始める⼼構えをします。私たちは(芸術⽂化によって)過去をよりよく理解し、またまったく新しい眼差しで未来へ⽬を向けることもできるのです。これらすべては、もちろんコロナ時代においては制限された範囲でのみ可能です。これは、アーティストに当てはまることですが、もちろん観客にも当てはまります。

親愛なる芸術家の皆さん、あなた⽅にとっていまがとても、とても困難な時期であることを承知しています。私たちの誰もが寂しい思いをし、どれほど多くの市⺠たちが再びライブであなた⽅の芸術を体験できることを待ちわびているかを承知しています。そのときまで、私たちはできるかぎり、あなた⽅を連邦政府の救援プログラムを通して⽀援するように努めます。また、どれほどあなた⽅が私たちにとって⼤切であるかをお伝えすることも⽀援となりますように。

翻訳=河合温美(神戸大学大学院国際文化学研究科)
   藤野⼀夫(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21933

また、ドイツ社会での芸術文化が担う役割は数字でもわかる。ドイツの文化・創造経済の年間の価値創出総額は1005億ユーロ(約12兆円)だそうだ。自動車・機械産業の次に大きな産業としてドイツ経済を支えている。

ドイツの日曜日は「何もしない日」。「閉店法」というしっかりとした法律もあり、日曜日・祝日は、ほとんどの商業施設が閉まっている。

そんな中、日曜日を楽しむ過ごし方として大きな役割を担っているのが美術館・博物館だ。特に観光客が異国や異文化を知れる貴重な体験を提供し、数少ないドイツ日曜日・祝日のエンタメとしての機能を多いに果たしている。

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日本での芸術や芸術家、そして美術館などの機能性や役割について語ると話が長くなるから、いつか機会を改めるが、芸術の捉え方、教育が当然のことながらまるで違う。

お米が主食、じゃがいもが主食と、国が違えば色も異なると同じように、その国の風土にあった衣服、建築、生活様式、そして文化がある。芸術も然りだ。

ここ、生まれ育った故郷宮城に戻り、異文化を経験した後、仕事や生活を通して改めて観る・知るこの土地に芸術は何を寄与しているのか、できるのか。

そんなことに想いも馳せながら、今日もしっかりステイホーム。

ここで今日のドイツ語!

芸術:Kunst(クンスト)
文化:Kultur(クルテュア)

それじゃ〜また来週!Bis nächste Woche!!

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