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ダイエット論7:体重はダイエットをする際の「目安」にはならない

この記事では「ダイエットに対する考え方」を紹介しています。その中でも今回は『体重はダイエットをする際の「目安」にはならない』について解説していきます。

尚、随分期間が空いてしまいましたが、この記事は『ダイエット論1:体脂肪率は「標準の範囲内」を目指そう』の続きとなっています。よろしければそちらも合わせてお読み下さい。


体重だけでは「何が減ったのか」が分からない

ダイエットでは、多くの人が「体重」を目安にしています。しかし体重はそもそも「体の重さ全てを表す数値」であり、ただ単に体重をチェックするだけでは、「何が減ったのか」が全く分かりません。

ダイエットをして、体の中にある脂肪が減れば、確かに体重は減ります。一方、例えば体の中にある水分量が減ったり、骨が脆くなったり、あるいは筋肉量が減ったりする事でも、体重は減る事があります。

特に夏場、大量の汗をかいて、体の中にある水分が大量に失われた場合、数時間の内に体重が減ってしまう事もあります。その場合、熱中症あるいは脱水症状を起こしているかもしれません。それを「ダイエットに成功した」などと勘違いすると、体調はますます悪化してしまいます。

また何らかの原因で、例えば胃腸の調子が悪くなっており、栄養素を効率良く吸収できていない場合にも、体重は減る事があります。その場合、自律神経系に何らかの異常があったり、精神的なストレスがあったり、アレルギーや中毒などを起こしている可能性もあります。特に「ガン」による体重減少を見逃してしまうと、気づいた時には既に遅いという事もあり得ます。

そのように「脂肪以外の何らかの物質が減る」事によって、あるいは「食事以外が原因」によっても、体重の減少は起こる事があります。しかし普段から体重を気にしている人では、そうして体重が減った理由を「脂肪が減った」と決めつけてしまい、それによって時には「重要なサインを見逃してしまう可能性」もあるのです。

そして体重の減った理由が、仮に「脂肪が減った」事によるものだったとしても、それは決して「脂肪だけが減った」訳ではありません。何故なら「脂肪が減る時には、必ず筋肉も落ちる」からです。

その意味でも、体重の減少はダイエットの目安にはならないのです。


体重だけでは「何が増えたのか」も分からない

例えば逆に、体の中にある水分の量が増えたり、骨が丈夫になったり、あるいは筋肉が増えたりする事では、体重が増える事があります。

まぁ水分に関しては「浮腫」の可能性もありますが、骨や筋肉が増える事による体重の増加は、必ずしも悪い事ではありません。

特に「筋肉が増える」事によっては、基礎代謝が上がったり、運動を行った際のエネルギー消費が大きくなったり、あるいは血糖値が上がりにくくなるなど、長期的なメリットが大きいですから、それによる体重の増加は、むしろ良い事のはずです。

また元々食が細い人の場合、「体重が増えた」という事は、「しっかりとエネルギーが摂取できている証拠」になりますから、それに関しても、むしろ「適切な栄養状態に改善された」と言えるはずです。

しかし普段から体重を気にしている人の場合、それらによる体重の増加を、「脂肪が増えた」「食べ過ぎた」などと勘違いしてしまいます。すると、せっかく筋肉が増え、基礎代謝が大きくなろうとしているのに、ダイエットをして、食事の量を減らそうとしてしまうのです。

それでは、例えば体質改善のために行っている筋トレも、ダイエットを行う度に筋肉が落ち、無駄のものになってしまいます。


身長から分かる標準体重とは?

よく言われるのが「身長マイナス105~110が標準体重」という事です。ダイエットをした事がなくても、聞いた事がある人は多いと思います。

標準?体重=身長(cm)- 105~110

この場合、例えば身長が170cmあるなら、その170マイナス105~110という事ですから、標準の体重は60~65kgという事になります。

また身長と体重の関係から計算される「BMI(ボディマス指数)」という数値もあります。このBMIの場合、

BMI=体重(kg)÷「身長(m)×身長(m)」
※「身長かける身長」を先に計算

という計算式によって求める事ができます。例えば身長が170cmあり、体重が60kgある場合、この計算式を使って計算すると、60÷「1.7×1.7(=2.89)」で、20.76と分かります。

特にBMIでは「18.5以上25未満」となる値が「標準の範囲」とされているので、この60kgという体重は「標準体重」という事が分かります。

更にBMIは「22」となる体重が、最も標準体重に近いと言われています。その場合、

BMIが22となる体重=身長(m)×身長(m)×22

という計算式によって求める事ができます。例えば身長が170cmある場合、1.7×1.7×22で、63.58と分かります。つまり身長が170cmの人は、63~64kgが最も理想的な体重という事になります。


体重よりも体脂肪率と筋肉量をチェックしよう

前述した「標準体重」には、筋肉の重さや骨の重さなどが考慮されていません。特に筋肉量が多い場合、体脂肪率が低いにも関わらず、体重が標準の範囲をオーバーしてしまう事があります。

そのため実際にダイエットを行う際には、体重よりも「体脂肪率」や「筋肉量」をチェックした方が、「真の標準」あるいは「理想の体型」に近づく事ができるのではないかと私は考えています。

その内の「体脂肪率」については、前回の記事『ダイエット論1:体脂肪率は「標準の範囲内」を目指そう』にある通りです。体脂肪率は一般家庭にある体重計(体組成計)で計測できます。

特に男性の平均的な体脂肪率は「10~20%」、女性では「20~35%」となっています。ダイエットを行う際には、その範囲内を目指すと良いでしょう。

一方、「筋肉量」についても、体重計(体組成計)で計測できるのですが、こちらに関しては機種によって計測できない場合があります。しかし「体脂肪率」が分かっていれば、計算によって求める事ができます。その場合、以下のような計算が必要になります。

・体重(kg)×体脂肪率(%)=体脂肪量(kg)
・体重(kg)-体脂肪量(kg)=除脂肪体重(kg)
・除脂肪体重(kg)÷2=筋肉量(kg)

例えば体重が60kgで、体脂肪率が15%ある場合、60×0.15で「体脂肪量」が9kgと分かります。また体重60kgからその9kgを引くと「除脂肪体重」が51kgと分かります。更にその51kgを2で割ると「筋肉量」が25.5kgと分かります。

特に筋肉量の場合、男性の平均は20~25kg、女性の平均は15~20kgと言われています。なので、この場合、ほぼ標準の筋肉量という事が分かります。

ただし筋肉量は標準以上に多くても問題はありません。筋肉量が多い事で、体重は増えますが、同じ60kgでも筋肉量の多い60kgと、筋肉量の少ない60kgでは、見た目も中身も全く違います。特に筋肉量が多い場合、皮膚や脂肪を下から押し上げてくれるので、脂肪が多少あっても太って見えません。

その意味でもダイエットでは、体重を目安にするべきではないと思います。



今回はこれで以上になります。何かのお役に立てれば幸いです。よろしければ「スキ」や「フォロー」をお願いします。

尚、次回は「何故食事を減らすと筋肉が落ちてしまうのか?」について解説していきます→『ダイエット論8:食事を減らすだけでは「筋肉と基礎代謝」が落ちてしまう

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