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ダイエット論8:食事を減らすだけでは「筋肉と基礎代謝」が落ちてしまう

今日も「ダイエットに対する考え方」を紹介していきます。その中でも今回は『食事を減らすと何故筋肉が落ちてしまうのか?』について解説していきます。

尚、この記事は前回の『ダイエット論7:体重はダイエットをする際の「目安」にはならない』の続きとなっています。合わせてお読み下さい。


脂肪を落とそうとすれば必ず筋肉も一緒に落ちる

脂肪を落とそうとした時、多くの人はまず食事の量を減らす事を考えます。

しかしそうして食事の量を減らし、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れ、摂取エネルギーの少ない状態が長期間続くと、いわゆる「省エネ状態」に入ってしまいます。

特にそうして「省エネ状態」になると、人間は「今を生きる」ために、生命活動の維持に必要な組織へ、エネルギーを優先して使うようになります。これによって「余分にエネルギーを消費する組織」は後回しにされ、むしろエネルギーを節約して使うようになります。

この「余分にエネルギーを消費する組織」こそ、実は「筋肉」の事です。つまり省エネ状態になると、「筋肉の成長あるいは維持が後回しにされ、筋肉がどんどん萎んでいってしまう」訳です。これこそ「食事を減らす事で筋肉が落ちる」事の理由です。

<補足情報>
摂取エネルギーが不足した状態が長期間続く
→エネルギーセンサーとしての役割がある「AMPK(AMP活性キナーゼ)」が活性化される
→蛋白質の合成を制御している「mTOR」が不活性化される
→異常な蛋白質、あるいは余計な蛋白質を食べてくれる「オートファジー」が活性化される
・筋肉にある蛋白質が分解される
※これらについては→『筋トレのコツ39:筋肉の合成と分解を制御する「mTOR」』で解説しています。

また筋肉が落ちると、その筋肉のために必要だった代謝が必要なくなります。つまり「基礎代謝」が落ちます。また基礎代謝が落ちた事で、『「これ以上食べたら太る」という「ラインが下がる」』事になり、その状態で食事を戻せば、当然「リバウンド」をしてしまいます。

更にそうしてリバウンドをした後、体重の増加から、再び食事を減らすダイエットをしてしまいます。食事を減らせば一時的には体重が落ちます。しかし実際にはそのように筋肉が落ちており、基礎代謝が低下、再びリバウンドします。

そのように食事を減らすだけのダイエットだと、「ただひたすら同じ事を繰り返すだけ」になってしまうのです。それでは長期的にデメリットが大きいです。そのデメリットを回避するためには「運動量に見合った量のエネルギーを摂取」し、筋肉を維持する必要があります。


筋肉を維持できれば基礎代謝が安定化する

筋トレなどを行って、筋肉に対して大きなストレスを与えると、次第に一つ一つの細胞が肥大化していきます。

特にそうして筋肉の細胞を肥大化させる際には、大きなエネルギーを消費します。これが筋肉を鍛える事によって得られる「基礎代謝の向上効果」です。もちろんそうして筋肉を鍛えれば、運動をしている時のエネルギー消費量も大きくなり、運動の効率を上げる事もできます。

一方、筋肉に対して大きなストレスを「与え続ける」と、筋肉がその「ストレス状態を記憶」していきます。

それによって肥大化した筋肉の細胞を、今度は「維持しようとする」ようになり、運動を行っていない時にも、エネルギー消費量が大きくなっていきます。つまりそれによって「基礎代謝が安定化」するようになります。

特にそうして筋肉が「維持する方向」に向かうと、数週間程度休んでも、筋肉があまり落ちなくなります。俗には「マッスルメモリー」なんて呼ばれる事もありますが、まさにそのような状態になり、「ちょっとやそっとサボっても、そう簡単には体型が変わらない」ようになります。

そこまで行けば、無理に食事を減らしたり、無理に激しい運動をする必要がなくなり、気の向いた時に食事をして、気の向いた時に筋トレをすれば良くなります。最初から食事を制限するようなダイエットをするよりも、その方が心身の健康を「長期的に」維持できます。


「食事を減らす=痩せる」という考え方を変えよう

前回の記事の内容も含めてまとめるという意味で、繰り返しになりますが、改めて書きます。

ダイエットをしようとして、食事の量を減らし、摂取エネルギーが消費エネルギーを大きく下回り、それが長期間続くと、筋肉が落ちやすくなってしまいます。

摂取エネルギーが消費エネルギーを下回っているので、確かに脂肪も落ちており、それ伴って体重も減っています。しかし脂肪が落ちる時には、そのように必ず筋肉も一緒に落ちるため、この時の体重の減少は、脂肪と筋肉が一緒に落ちる事による体重の減少です。

またそうして筋肉が落ちると、その維持のために必要だったエネルギー、及びそのエネルギーを生み出すためのサイクルを動かす必要がなくなります。つまり「基礎代謝」が大きく低下する事になります。

特に体重を逐一チェックしている場合、この「脂肪と筋肉が落ちた」事による体重の減少を、「脂肪だけが減った」と勘違いしやすく、基礎代謝が低下している状態で、食事だけを元に戻そうとしてしまいます。当然それは「リバウンド」の原因になってしまいます。

更に、そうしてリバウンドをした後、体重及び脂肪を落とすために、再び食事を制限しようとします。食事を減らせば、やはり一時的には体重及び脂肪が落ちます。しかしその際にはやはり筋肉が落ちており、基礎代謝も低下してしまうのです。その状態で食事を元に戻せば、再びリバウンドしてしまうでしょう。

その「ダイエットのループ」から抜け出すためには、ダイエットあるいは健康に対する考え方を、根本的に改めなければなりません。「食事を減らして一気に痩せる」のではなく、「なるべく筋肉を維持しながら、少しずつ脂肪を落としていく」という事が重要になります。



以上です。何かのお役に立てれば幸いです。よろしければ「スキ」や「フォロー」をお願いします。

尚、次回は「どうすればダイエットのループから抜け出せるのか?」について考えます→『ダイエット論9:どうすれば「ダイエットのループ」から抜け出せるのか?

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