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筋トレのコツ45:運動後に行う「クールダウン」の重要性

この記事では、筋トレを効率化していく上で重要になる『クールダウン』についてまとめています。その特徴を理解する事で、トレーニング効率を上げていきましょう。

尚、この記事は前回の『筋トレのコツ44:運動前に行う「ウォーミングアップ」の重要性』の続きです。そちらも合わせてお読み下さい。


そもそも「クールダウン」とは?

激しい運動を行った後には、筋肉だけでなく、皮膚、骨、軟骨、靭帯、腱など、運動に関わった様々な組織にも、疲労が蓄積しています。

特にトレーニングは継続してこそ意味のあるものであり、高重量のウエイトトレーニングを習慣として行っていたり、あるいは特定のトレーニング種目を、毎回の習慣として行っている場合、そういった筋肉以外の疲労の蓄積によって、次第に回復が間に合わなくなっていく事があります。

それが原因で、時には突発的に大きな怪我をしてしまう事もあります。大きな怪我をすれば、当然長期に渡ってトレーニングを中断せざるを得なくなり、そうして休んでいる間、せっかく鍛えた筋肉が萎んでしまいます。筋肉を効率良く鍛えていく上で、それは必ず避けなければなりません。

そこで、激しい運動を行った後には、次に激しい運動を行う日までに、「できるだけ効率良く疲労を取り除くための様々なケア」が重要になってきます。ハードなトレーニングを高頻度で行っている人ほど、その重要性は大きくなります。

特にそうした「運動後に行う様々なケア」の中でも、「運動直後に行うケア」の事を「クールダウン(またはクーリングダウン)」と言います。


尚、クールダウンで実際に何をすべきかというと、これは簡単に言えば「運動を行っている間に上がっていた代謝を下げる」という事を行います。

何故「代謝を下げる必要があるのか」というと、代謝が上がっている状態というのは「運動に適した体の状態」であって、「休息に適した状態にはなっていない」からです。

心身を効率良く休めるためには、なるべく平常時の代謝・体温へと戻し、身体活動レベルを抑える必要があり、そのために「クールダウン」を行う訳ですね。

一方、代謝が下がれば体温も下がります。特に冬など気温によっては、クールダウンをする事で、逆に体温が下がり過ぎてしまう事があります。それによって血管が収縮すれば、むしろ血流は滞り、運動中に生成された様々な物質が流れず、その場に滞ってしまう可能性もあります。

よって代謝は一気に落とすのではなく、「なるべく緩やかに少しずつ、血流を促しながら落とす」という事が重要になります。冬には冬専用のクールダウンの方法を考えておくと良いかもしれません。


クールダウンで実際に行うべき事

運動後に行うクールダウンでは、そのように基本的には「少しずつ代謝を下げる」必要があり、ある程度「血流を促しながら行う」必要があります。あくまで一例ですが、流れとしては以下の通りです。

・軽めの水分補給
・軽めの運動(ジョギングなど。上へ跳びながら走ったり、筋肉を震わせながら、意識的に呼吸を深く行って、ゆっくりとしたペースで走る。時間にして5~10分程度。長く走りすぎて疲れないように注意)
・ダイナミックストレッチ(筋肉を勢い良く伸ばす→戻すという事を、自分の可動域内でコントロールしながら、リズミカルに繰り返す。有名なものではブラジル体操などがある)
・軽めの体操(形式的な伸脚、アキレス腱伸ばしなど。ダイナミックストレッチの一環として行っても構わない)
・スタティックストレッチ(筋肉を伸ばし続けるストレッチ。ただし1回の伸ばす時間は長くて30秒。柔軟性を高めるために行う訳ではないので、時間は短くて良い)
・筋肉のセルフマッサージをしながら呼吸を落ち着かせる
・プロテインを飲む
・特定の部位をアイシングする
・入浴などをする
・実際の休憩に入る

このようにクールダウンでは、いきなり「体を静止させるようなストレッチ(スタティックストレッチ)」から行うのではなく、まずジョギングなどの「軽い運動」から行うようにします。「血流を促す」という事が目的なので、意識的に深く呼吸を行い、リラックスして、ゆっくりとしたペースで、走りましょう。

それができたら、一旦呼吸を落ち着かせた後、「体を動かしながら行うストレッチ」で筋肉を解していきます。

通常のストレッチでは、なるべく反動を使わずに、一定方向へ筋肉を伸ばし続けるのが基本です。しかしそれだと血流が滞ってします。ここでは敢えて勢いを使って、リズミカルに体を動かしながら筋肉をほぐしましょう。特にそのようなストレッチの事を「ダイナミックストレッチ」と言います。ジョギングなどの軽度の運動を行った後は、これを行う事をオススメします。

もちろん「ダイナミック」と言っても、汗をかくほどにまで体を激しく動かす必要はありません。簡単に言えば「筋肉を勢い良く伸ばす→戻す」という事をリズミカルに繰り返すという事です。また「勢い良く」とは言っても、動作は「自分の可動域内でコントロール」する必要があります。疲労がある状態で、あまりに勢いをつけてしまうと、関節や筋肉を痛めてしまう事もありますからね。

それが終わったら、一旦伸脚やアキレス腱伸ばしなど「形式的な体操」を行って、その後にようやく通常の「体を静止させて伸ばし続けるストレッチ(スタティックストレッチ)」を行います。

ただし、伸ばし続けるストレッチにかかる時間も、「1回20秒~長くて30秒程度」で十分です。ここでのストレッチは柔軟性を高めるために行う訳ではないので、短い時間で問題ありません。特に伸ばす時間があまりに長くなると、腱や靭帯など本来は伸びてはいけない組織が伸びてしまう事もあるので、その意味でも念入りに行う必要はありません。

そうして筋肉をある程度伸ばしたら、最後に手で筋肉を揉みほぐしたり、例えば太ももを両手で掴んで左右に揺すったり、立った状態で上にジャンプしてみて、体・筋肉を大きく揺すってみましょう。これで一連のクールダウンは終わりになります。


クールダウン後のアイシングについて

怪我をした後に行うアイシングでは、特定の部位を、少なくとも痛みや腫れが引くまで冷やし続ける必要があります。期間としてよく言われるのが「2~3日」で、その間は継続的に冷やし続ける必要があります(基本は自分であれこれする前に病院へ行く。2~3日で症状が治まらない場合、物理的に大きな損傷を伴っている可能性もあり、全てを個人で行おうとしない事)。

一方、クールダウン後に行うアイシングでは、特に熱を持った筋肉、関節、首の根元、脇の下、鼠径部(太ももの付け根)などをピンポイントで冷やし、その部位を「休養に適した状態に戻す」事を目的とします。そのため怪我をした時のアイシングのように、運動後何時間も、あるいは何日も続けて冷やす必要はありません。

特に体温が下がりすぎると、前述のように血管が収縮し、血流が抑えられる可能性があり、それによって効率良く疲労を取り除く事ができない・・・という事も考えられるので、冷やし続ける時間はごく短時間に留めます。すなわち実際に冷やし続ける時間は「数分、長くても数十分程度」で十分だと思います。

またそうして冷やしたら、数十分程度常温におき、再び冷やすようにします。それを合計で1時間程度、繰り返すのが個人的にはオススメです。あるいは常温におくのではなく、逆に数分程度温めて、むしろ血流を促すのも良いでしょう。そうして温めた後、再び数分程度冷やすようにします。

ちなみに夏場に冷やすオススメの部位としては、例えば後頭部や額、各筋肉、各関節(首、手首、肘、肩、脇の下、股間・股関節、膝の裏、足首)などが挙げられます。ここにアイスバッグなどを当てて冷やすと良いでしょう。

一方、冬場の場合、アイシングによって、体温が下がりすぎてしまう事があります。そのような場合、アイシングを数分行ったら、その場で温める事ができると良いでしょう。例えば温熱シップやカイロ、あるいは電子レンジで温めたタオルを当てるのがオススメです。それができない場合、そのまま風呂に入ってしまうというのも良いかもしれません。


クールダウンが「作業的」にならないように注意

クールダウンは基本的に運動を終わった後に行うものです。そのため特に激しい運動を行った後では、大きな疲労感や集中力の低下などから、どうしても一つ一つが雑になってしまう事があります。

しかし激しい運動を行う頻度が高い人ほど、「活動と休息をコントロールする事の重要性」が増します。1回1回のクールダウンは大した事がなくても、それを毎回積み重ねていけば、後々は大きな「差」になってきます。雑にならないよう、必ず高い意識を持って行いましょう。

尚、高い集中力を要するような高強度のトレーニング、あるいはそういった技術的な練習などでは、無意識の内に、首周りや肩周り、あるいは背中の筋肉が緊張し、運動後に凝り固まっている事があります。

これ、意外と多くて、これが原因で肩コリになり、いざ肩の筋肉を鍛えようとした時、肩関節や肩甲骨が上手く動かなくて、怪我をしてしまう事があります。サイドレイズで肩が痛くなるというのはよく聞きます。

そのため例えば高重量のスクワットを行ったとしたら、足だけを重点的にケアするのではなく、首や肩周りの筋肉も一緒にストレッチやマッサージをして、ほぐしておいた方が良いかもしれません。

そうして「運動の内容」によって、臨機応変に、クールダウンの内容も変えていった方が良いでしょう。


クールダウン後にオススメの「お風呂に入り方」

アイシングによって気になる部位を冷やしたら、お風呂に入るのも良い方法だと思います。あくまで一例ですが、ここではクールダウン後にオススメの「お風呂の入り方」を紹介しておきます。

例えば15度程度の冷たい水を張った浴槽に、「胸の下辺りまで」で1分程度浸かり、その後少し休憩をして、今度は38度程度の温かいお湯を張った浴槽に、同じように1分程度浸かります。それを10~15分程度の間、何度も繰り返す・・・というような方法があります。

特に短期間の内に何試合も繰り返すような学生スポーツでは、実際にこの方法を利用している学校もあり、この「冷たい水と温かいお湯に交互に浸かる」という方法をクールダウン後に行う事で、一説によれば「疲労回復効果が高まる」とも言われています。

ただし浴槽を利用して、全身で行う場合、心臓への負担には十分に注意する必要があります。見様見真似で行うのはオススメしません。基本的にはトレーナーの指導が必要になります。

また冬のように気温が低い場合、これによって体温が下がりすぎてしまう事があるので、もし行う場合には、お風呂場の室温を高めてから行うようにすると良いでしょう。それができないなら、普通に温かいお湯に浸かるだけで良いと思います(冬でも長湯は疲れるだけなので注意)。



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