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筋トレのコツ46:「オーバーユース」を防ぐには?

この記事では、トレーニングを続けていく上で陥る事のある『オーバーユース』について簡単にまとめています。その特徴を理解する事で、トレーニング効率を上げていきましょう。

尚、この記事は前回の『筋トレのコツ45:運動後に行う「クールダウン」の重要性』の続きになっています。そちらも合わせてお読み下さい。


オーバーユースとは?

「オーバーユース」とは、いわゆる「使い過ぎ症候群」とも呼ばれており、特に「慢性的な疲労の蓄積」によって起こる様々な怪我の事を言います。

例えば野球のピッチャーでは、1試合100球前後、あるいはそれ以上の数のボールを投げます。そのような試合の次の日、あるいはそのまた次の日などでは、投球動作に関わる腕や肩の筋肉などに疲労が蓄積しています。

その疲労状態の中では、いくら能力の高い選手であっても、自分の持つ能力を発揮できません。次の試合でも前の試合と同じような高いパフォーマンスを発揮するためには、少なくとも数日間、肉体的な回復に専念する必要があります。

またそのように何100球とボールを投げた場合、筋肉あるいは関節付近にある組織に、「何らかの微小な損傷」が起こっている可能性もあります。例え微小な損傷であっても、その損傷が次の試合まで持ち越されれば、いずれは大きな怪我をしてしまう可能性もあります。そのような物理的な損傷は、微小な内に回復させ、なるべく「なかった事」にしなければなりません。

しかし運動量を減らすなどして、肉体的な回復に努めているにも関わらず、試合による肉体的な疲労、あるいは物理的な組織の損傷が、数日程度の休養だけでは回復せず、次の試合まで持ち越されてしまう事があります。

例えば靭帯、軟骨、神経などの大きな損傷は自然には治りません。最初は小さな損傷でも、それが蓄積していくと、どんどん慢性化し、治りにくくなり、また大きな怪我のリスクを高めます。その状態がいわゆる「オーバーユース」です。


オーバーユースに伴う様々な怪我

オーバーユースの症状としては、

・腱板損傷など(野球肩、リトルリーガーズショルダーなど)
・肘の内側側副靱帯損傷、外側側副靭帯損傷、上腕骨内側上顆炎、外側上顆炎(野球肘、テニス肘、ゴルフ肘など)
・オスグッド・シュラッター病(膝の脛骨で起こる軟骨炎。サッカーなど)
・ジャンパー膝(膝蓋靭帯損傷、膝蓋腱損傷。バレーやバスケなど)
・シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎。陸上競技など)
・足底筋膜炎(足の裏。陸上競技など)
・アキレス腱周囲炎(陸上競技など)
・鵞足炎(膝の内側。陸上競技、サッカーなど)
・グロインペイン症候群(鼠径部及び股関節周囲炎。サッカーなど)

など、あくまで一例ですが、このようなものが有名です。これらの中でも一般的に認知されているのは野球肩、野球肘、テニス肘ですね。ちなみに私はバレーをやっていてジャンパー膝になった経験があります(笑)

それぞれの怪我についての詳しい説明は、お医者さんに任せる(一応説明だけは可能なので後日記事にするかもしれませんが)として、このようにオーバーユースでは、「特定の動作を繰り返し行い、その動作に関わる部位に疲労が蓄積し、慢性化する」事によって、そのスポーツ特有の怪我が起こる訳です。

一方、オーバーユースの状態になり、疲労が蓄積していると、「外から大きな力が加わった時、一発で大きな怪我をする」という事もあり得ます。

特定のスポーツに限らなければ、

・疲労骨折
・脱臼
・腰椎分離症(背骨)
・肉離れ
・軟骨損傷
・靭帯損傷、断裂
・腱損傷、断裂

などが考えられます。これらの中では「疲労骨折」が有名ですね。

特にこちらはオーバーユースの状態でなくても、大きな力が加わる事で起こる可能性がありますが、オーバーユースの状態になると、通常の状態よりも、これらが起こるリスクが高まる事になります。

またオーバーユースの状態で、大きな重量を扱うウェイトトレーニングを行う場合、大きな負荷がかかる分、そのリスクは更に高くなります。念のため頭に入れておきましょう。


「オーバーユース」を防ぐためには?

オーバーユースは、そのように既に疲労が慢性化してしまっており、それを元の状態にまで回復させるためには、かなりの時間が必要になります。

「オーバートレーニング」の方では、精神的なダメージだけという場合もありますが、このオーバーユースでは、物理的・肉体的なダメージが主であり、病院での治療を受けなければ回復しない事が多いです。よって基本的には「予防」が必須です。

このオーバーユースを防ぐためには、例えば以下のようなものが考えられます。

・日々の運動強度の調整(少なくとも次の日は控え目にする、得意種目と苦手種目のバランスを考える、部位を限定する、重量、セット数、レップを抑える、トータルの時間を短くする等)
・運動の頻度の調整(毎日ではなく1日おき、あるいは2日おきにする等。時には完全休養日も設ける)
・運動時のフォームの調整(トレーニングなら目的の筋肉だけに集中し他は脱力する、関節は真っ直ぐ曲げる、腕や足を捻らない)
・力まずに行うなど意識の改善(筋力の向上に伴い自信がつくと途端に力に頼るようになる。力を効率良く使う意識が重要。呼吸も意識的に)
・筋肉や関節付近の血流改善(振動を与える、温める、伸ばす、揉む、同じ姿勢で長時間いない、日常的に動かす)
・運動前後のケアを徹底する(ウォームアップ・クールダウン・アイシング・マッサージ・風呂)
・運動前~運動中の栄養補給をする(カーボドリンク)
・運動前の食事や後の食事をしっかりとする
・運動をしない日の食事をしっかりとする
・運動量が増えればビタミンやミネラルの必要量も増える。エネルギーを大量に摂取しただけで「体を大きくした気」になっているのはよくありがち。
・睡眠の質を高める(明るくなったら起き、暗くなったら寝る、十分な睡眠時間を確保、毎日同じ時間に寝起きする、睡眠を取る環境を整える、鼻炎を治すなど)
・メンタルケア(活動と休息のバランス、物事の受け止め方、時には時間を忘れるような趣味を行う、新しい事を取り入れる)
・ストレスケア(運動時間を短くする、運動の強度を減らす、紫外線対策、抗酸化ビタミン)

かなり細かいのですが、このように様々な対策が必要になるでしょう。

尚、これらを全て意識的に行おうとすると、人によってはそれだけで頭が爆発してしまいます(笑) 意識できる所からで良いので、少しずつ意識していくようにしましょう。

そうして普段から意識していけば、最初はできなくても、いずれ意識せずともできるようになります。そうして意識せずにできる事が一つでも増えたら、再び意識して行う事を一つ増やしましょう。



以上です。お役に立てれば幸いです。よろしければ「スキ」「フォロー」をお願いします。尚、次回は「運動を行う際の呼吸法」について解説していきます→『筋トレのコツ47:血管を労るための「運動時の呼吸」

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