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たまのコーヒー



IKEAのフードコートのドリンクバー ¥190
朝早く行けばもっと安いんだったっけ?

でも、190円でも全然安い。

うちからIKEAまでは車で一時間はかかると思う。
思う、と曖昧に書いていて断定できないのは、私が助手席でぐうたらしているからだ。
家を出発してから、一体どのくらいでIKEAに到着しているのかが私にはわからない。

ぼぅっとしていたり、スマホをいじっていたり、車の外の景色を見ながら、あそこのお店に行ってみたいなぁなんて考えてみたり、運転手の横で頭をガクガクと上下運動させながら寝ているうちに、車はIKEAの駐車場に着いていることがほとんどだ。
出発時刻はその頃には忘れていて、到着時刻だけを確認する。

到着時刻を確認するのは、所要時間を知りたいわけではなくて、この時刻だったら何を食べるのが正解だろうか、という腹のこなれ具合を確認するためだ。

特に買いたいものがなくてもたまに行きたくなるのがIKEAだ。
フードコートの食べ物も美味しいし、ホットドックも美味しい。
もしかすると私は食事のオマケで買い物をしているのかもしれない。

食べ物もお手軽価格で美味しいが、言わずもがなコーヒーも美味しい。
カフェラテもカプチーノも、ブラックも美味しい。
ふわっふわの泡が乗っているのが、たまらなく好きだ。

コーヒーが好きな私ではあるが、実は、カフェイン断ちをしている。
なんだかコーヒーを飲みすぎて、調子が悪くなった時期があった。

コーヒーのせいなんかじゃなかったかもしれなかったけど、私は藁にもすがる思いでコーヒーをやめたんだった。
多分、それから2年くらいは経っていると思う。

コーヒーをやめることを決意する日は突然やってきた。
その日、私は起きた瞬間に
「ああ、疲れた」と呟いていたのだ。
アラームを止めて渋々のようにヨイショと体を持ち上げて、ベッドに腰掛けた時だった。

今までそんなことを呟いたことはなくて、耳から入ってきた自分の声に驚いた。

だって、起きたばっかりだったから。
朝って一日のうちで、一番元気な時だと思っていた。
その瞬間に「疲れた」だと?

確かに忙しい日々が続いていたのは間違いなかった。
だけど、そこまで? と自分で驚いた。

ただの疲労にしては疲れすぎている。
私は生活習慣のどこかに原因があるに違いないと思い、インターネットの海に飛び込んだ。
Googleの海は深い。
どこまでも広がっていき、しかも、私にはその海は無限に広がっているように見える。
信憑性のない情報から、全く関係のない情報まで、私はどこまでも泳ぎ続けて、自分に都合のいい情報だけを拾う。

そして、その時に見つけたのが「副腎疲労」というものだった。

アルコール・砂糖・カフェインなどが副腎に負担をかけているので、避けましょうとかなんとかかんとか。
当時すでに砂糖は控えめにしていて、アルコールは絶対に控えたくなかった私は、やっぱりここはカフェインでしょ、とカフェインを控えることを決意した。

5年ほど前までは、私にはコーヒーを飲むという習慣がなかったのだ。
それまでとっていなかったものを急激に取りすぎたために、負担をかけてしまったのではないかと思った。
だったらカフェインを断てばいい、と短絡的な私はそう考えた。

副腎がどこにあるのかは知らない。
しかし、きっと肝腎要の腎臓の仲間に違いない。
弱っては、体調に支障をきたすのも当然だろう。

そして、カフェイン断ちを決行。
これが結構、辛かった。
結構どころではない、半端なく辛い。

丸二日間、頭痛に吐き気、倦怠感。
熱が出ないインフルエンザかコロナ、あるいはコロナワクチンの副反応再来だ。
中途半端なことはしたくないと、私は鎮痛剤すら飲まなかった。

何故、自ら苦行を行おうとするのか。
こういう時ばかり発揮される自分のストイックさがアホらしい。
ダイエットとなると怠けてばかりだと言うのに。

無駄なストイックさを発揮した私は、カフェイン断ちの禁断症状に耐えながら、何とかコーヒーをやめることができた。
頭痛などの症状は出なくても、1ヶ月はコーヒーが飲みたくて仕方なかった。

1〜2ヶ月は口寂しさを埋めるため、カフェインレスコーヒーであるデカフェを探してさまよった。まるでそれは自分の墓場が分からなくなった幽霊のように、フラフラとあっちへ行き、こちへ行き。
どこのカフェならデカフェが飲めるかをリサーチしたし、スーパーやKALDIなんかで、色んなデカフェのコーヒーも買った。

そんなこんなでカフェイン断ちをしてもう2年ほどになる。
もうデカフェも買っていないし、そこまでコーヒーを飲みたいという欲もない。

人間、慣れるもんだなと思う。


でも、やっぱり、たまーにコーヒーが飲みたくなる。


できれば、カフェラテがいい。
あったかいやつ。

こっくりした色にうっとりとして、ふわふわの泡をかき分けて、いい香りを吸い込んで、口の中にじんわりとコーヒーのおいしさが広がって、ああ、幸せ、となるのがいい。

たまのコーヒーの至福は、自由に飲んでいた時のそれとはまた違う、格別なものがある。



ということは・・・・

たまのビールは、間違いなく・・・?








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