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初版20万部の日向撮にみる強かなプロモーション戦略

ネット上に写真や動画などのコンテンツが溢れる現在の写真業界では写真集は1万部売れれば大成功と言われています。

そんな写真業界でなんと初版20万部で売り出された写真集があります、それが「日向撮」です。

日向撮 表紙

今回はこの日向撮からみるプロモーション戦略について、「AIDAS」モデルを紹介しながら考えていこうと思います!


1. 日向撮とは?

日向撮とはアイドルグループ「日向坂46」のメンバーが自分のカメラを用いて日常のお互いの様子を撮影する、というコンセプトに生まれた写真集です。これは実は同じ坂道グループの乃木坂46の「乃木撮」とほぼ同じ手法が用いられています(ちなみに乃木撮も20万部売れています)

写真集の特徴としては、

メンバー同士の和気あいあいとした雰囲気の写真が多い(一般的な写真集にあるような水着などの写真がない)

・一枚一枚の写真に撮影したメンバーからのコメントが添えられている(どういう場面、このメンバーとこのメンバーはこういう関係…)

の2点が挙げられます。

ファンとしては普段テレビ番組で見ることができない、「オフ」に近いメンバーの様子を見ることができるコンテンツに仕上がっています。


2. 5つの購買段階「AIDAS」

日向撮のプロモーション戦略を考える上で、今回紹介したいキーワードが「AIDAS」です。

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たとえ日向撮がどんなに顧客のニーズを満たした製品・サービスを良い値段で提供したとしても、それが注意(Attention)されて、興味(Interest)をもたれ、欲しい(Deisre)と思われないと購買(Action)されず、共有(Share)もされません。

なのでプロモーション戦略を行うときはこのAIDASのどの段階にアプローチするかを意識することが重要になります。


日向撮はこのInterst(興味)とDesire(欲求)にうまく働きかけたプロモーションと言えるでしょう。

日向坂46のファン層として多いのはやはり10代、20代の男性を中心とした若者です。彼らの多くはスマホを持ち、SNSを主な情報収集のツールとしています。そんな彼らにはTwitterで商品イメージを喚起することでダイレクトにプロモーションしました。

こういった投稿が連日され、拡散されることでファンの間での期待値が高まっていきます。断続的に商品の情報が流れてくることで一人でも多くのファンに届く時間・機会が多くなり、
興味(なにこれいいかも)→欲求(欲しい!)となりやすいということですね。


3. 真の狙いはコア層に関係のあるライト層?

さて、今を煌くスーパーアイドルの日向坂46ですが、彼らを支える熱狂的なコアファンのみで初版20万部を達成することができるかと言われれば、答えは「No」だと思います。

そこで、日向撮、乃木撮に共通する成功の秘訣は「ライト層の獲得」ではないでしょうか?

3-1. コアファンからライトファンへのAIDAS

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コア層である若年層の男性の多くは、実家暮らしであったり、同年代の女性との接点が多いです。そのため、彼らが購買した写真集の存在はそういったライト層へ届きやすいのです。

先ほどのAIDASモデルに当てはめると、Action(購買)したコアファンが、商品についてShare(共有)し、日向坂と接点の少ないライト層へ商品情報を伝えます。

ライト層にとっては口コミが商品を知る入り口になります。つまりAIDASモデルでいうAttention(注意)ですね(商品を知る段階)。

こうしたコアファンからの波及効果が『日向撮』のヒットの大きな要員の一つだと思います!

3-2. 誰でも楽しめるような写真集の内容

また、前述の通り写真集はお母さんや子どもも楽しめるよう、セクシーな内容が入っていない健全な写真集になっています。この健全さに出版社、運営の狙いがあるのではないでしょうか?

コアな若年層の男性ファンのための写真集なら、正直言って日向撮の内容では健全すぎて物足りない内容なのです。(もちろんそういった需要に対応する個々人の写真集は発売されています)

メンバーの和気あいあい感、健全な内容、この2つはライト層への訴求の上で大きなアドバンテージになります。これについては2018年の『東洋経済オンライン』の投稿でも述べられています。

また、『乃木撮』には水着ショットなどのセクシー要素が一切なく、読者層を女性や子どもにまで広げました。水着やセクシー要素を採り入れたアイドルグループは、そこまでターゲットを広げられないだけに、『乃木撮』ほどの売り上げは見込めないのです。

やはり購入するにあたって写真集の内容というのは重要です。特にライト層にとってはいきなりセクシーな内容というのは購入が躊躇われるでしょう。

なので、この安心できる内容というのはライト層の購入の「言い訳」になれるのではないでしょうか。


4. まとめ

『日向撮』が初版20万部で売れるのは強かなプロモーション戦略があったからです。具体的には「AIDAS」モデルの要素それぞれをよく理解したプロモーションを行えていたからではないでしょうか?

コアファンのみならずライト層も取り込もうというその戦略は強かであったと言わざるを得ません!

さて、それではまた次回の投稿でお会いしましょう!長文読んでくださってありがとうございました!



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