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「世界漂浪の記」 羽生隆 101選

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50年遅れの同じ日付で毎日投稿されていた羽生隆さんの旅行記「世界世界漂浪の記」の中から、何度も読み返したい特に印象深い投稿を集めました。
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2023年1月の記事一覧

❨488❩1973.1.1.月.晴→曇/元旦のアマゾン河/ベレン:ブラジル

❨488❩1973.1.1.月.晴→曇/元旦のアマゾン河/ベレン:ブラジル

新年明けましておめでとう!
と言いたいところだが、全く新年気分などない。

昨夜のパーティーで飲み過ぎて、頭がガンガン痛い。
雑煮を食ってから、シャワーで酔いをさます。

夕方、河を見に出た。それにしても大きな河だ。
波は静かで、夕焼け雲が新年らしい光をほのぼのと放っていた。

何も祈る事はなかった。ただ、ぼんやりとしていた。
「アマゾン」とは何んと神秘的な存在だったろう。それが目の前を今、流れて

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❨489❩1973.1.2.火.晴/自転車盗難にあう!/ベレン:ブラジル

❨489❩1973.1.2.火.晴/自転車盗難にあう!/ベレン:ブラジル

船の切符を買いに行く。
朝10時から夕方5時まで列に入って待った。
その結果、チクショウ!売り切れてしまった。

シャクにさわってカッカしたが、何んども事務室まで行って頼んだが、ダメ。

その後が悪い。
漁師の船へ交渉に回り、調子良く、5日の船にマナウスまで乗せてもらえる事になった。
ほんの4、5分の話し合いだった。

喜んで帰ろうとしたら、自転車が消えていた。

周囲の連中の話しを聞き、後を追っ

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❨492❩1973.1.5.金.曇,雨/いよいよ明日/ベレン:ブラジル

❨492❩1973.1.5.金.曇,雨/いよいよ明日/ベレン:ブラジル

昼夜、暇をみて町のあちこちへ自転車を捜しに出る。
今日までに二人程、俺の自転車を見たという者がいた。

この先気長に捜せば、必ず見つけられると思うが、もうそんな気も失せた。
進みたい。次の地へ向かいたいのだ。

明日いよいよ河を飛べると思うと、ワクワクしてくる。

夜、レストランの人達が、送別会までやってくれた。

やっとベレンを去る事が出来る。
ズルズルと続いた生活だったが、俺にとってみればつい

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❨498❩1973.1.11.木.曇/アマゾンに暮らす人たち/ベレン→サンタレン

❨498❩1973.1.11.木.曇/アマゾンに暮らす人たち/ベレン→サンタレン

デッカイなんてもんじゃない。
河巾の広い所は、20~30kmはあるだろう。
よく支流を見るが、この本流と全然変わらな い程大きい。上るにも下るにもかなり困難な道と思う。よく間違わないものだ。

殆どジャングルだが、所々、部落がある。
町でない所にも、民家がポツン ポツンと見える。
カヤぶきの粗末な家ばかりだが、いかにものどかで平和な感じがするが……どうだろう。

水の色は薄茶で始終濁っており、流れ

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❨514❩1973.1.27.土.晴/船での食生活/アマゾン川:ブラジル

❨514❩1973.1.27.土.晴/船での食生活/アマゾン川:ブラジル

のどかな天気が続き、ラッキー。
しかし日中は暑い(4時頃まで)。

昼前、やっと30分間の補強をする(強度)。
午後は、停泊した村で15分位泳ぐ。
毎日、こんなふうで何らかの運動をしている ので、ひどく体がなまる事はない。

毎日同じものばかり食わされる。

朝8時(カフェ)
ミルクコーヒー
ビスケット(8枚) バター付

12時(アルモサ)
マカロン(マカロニ)
干魚・牛肉の煮物(3切)
カボ

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❨517❩1973.1.30.火.曇/軍用機で干し魚と共にボゴタまで飛ぶ/Bogota:Columbia

❨517❩1973.1.30.火.曇/軍用機で干し魚と共にボゴタまで飛ぶ/Bogota:Columbia

一夜船で明かし、重荷を背負って、レチーシアの町へ出る。
トラベル・チェックが銀行で替えられずに困 った。パスポートと字体が違うというのだ。

市内の店で親切な主人がおり、やっとペソ(1ドル 22.5ペソ)を手に、飛行場へと急ぐ。四人の連中と、1キロの道を歩いて行く。

ここでも少し出入国のカードが要るとかなんとかで少しモメたが、すぐ解決した。

ラッキーなことに、1時にある軍用機に乗れる事が決まっ

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