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伊佐 知美
2016年10月22日 00:38
目的地が持てるから、都会を歩くのはやっぱり好きだな、と東京の街を見て思う。 新潟を歩いていても、私は目的地が見つけられない。きれいな夕陽、美味しいお水、昔から知っている友だち。「あまりにも元気すぎる投稿だから」と、「笑っているから」と。「大丈夫?」「君はそんなに強くない、だってあの時泣いてた」と。大切なものはここにあるけど、きっとずっとはここに居られない。分かっているから、愛し
2016年7月29日 18:23
「それは、佐野さんの自己肯定感が強いからですよ」と言われたことがあった。編集部の後輩と、普段お世話になっているんだか、ただ好きなんだか、とにかく仕事を一緒にさせてもらったことのあるひとたちと一緒に横浜の野毛で飲んでいて、2軒目だか、3軒目だか、たしか2軒目の中華料理屋だったんだけれど、ふわりと放たれた冷たくて温かいそれ。何気ない一言だったんだと思う。特にそのあと、「自己肯定感が強い」ことの
2017年7月28日 00:01
あの頃見ていたみなとみらいよりも、少しだけ空が狭くなったなぁ、と私は思う。吹く風の気持ちよさは変わらないのに、通り抜ける道幅が狭くなっちゃうなんて。つまんない。何度もなんども繰り返し話してきたことばたち。「どうして書き仕事をはじめたんですか」なんて、用意していた答えばかり。言いすぎてそれが本当のことみたいになってきちゃったよ。「家がないんです」なんて、ホントかウソかで言ったらウソで、厳密に
2017年12月29日 00:40
遠く暮れてゆく夕陽、もう何度見つめて生きてきただろうと思う。けれど毎日想う。「だってキレイなんだもの」。「知美は、結局世界はキレイ、としか言っていない」と言ったのは、あの佐賀の地で、誰だっただろう。「君は『 "それでも" 旅に出たい』と、いつもいつも言っている」とあの人も言っていた。そう私は「それでも」旅に出たい。美しい世界が、あの海の向こうに広がっていると7歳の頃に知ったから。合
2018年3月19日 19:11
赤坂見附の歩道橋を渡っている時、ふとそこにピンク色の存在が「咲いているよ」と主張するのを見た。青い空に、少しだけ白い雲。そしてそこに、ピンクの彩りを加える花が、今年も咲く季節がやってきた。開花予報の日を間近に迎え、今みんな、気付き始めている。目黒川沿いを歩いている時、冬はまだ茶色だけの存在だった彼らが、「もうすぐで咲くからね」と、やはり大きく膨らむのを見ていた。その日はやっぱり寒い冬の日だった