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サンクチュアリ出版の屋上みつばち

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出版社が未経験から始める養蜂プロジェクト。 地元・根津の花蜜を集めたハチミツを味わえる日まで。
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#養蜂

出版社とハチミツの無関係性について

出版社とハチミツの無関係性について

美味しいハチミツを食べたいと呟いたら、本当にミツバチを育てることになるのがサンクチュアリ出版という会社の底知れぬ恐ろしさだ。素人たちが何も知らずにはじめて、果たしてどんな目にあうのか。「決死のハチミツ物語」がいま幕を開けようとしている。

編集部の橋本圭右です。
突然ですが、
<未経験、コネなし、一部スタッフの反対あり>
という状況から、
都会のど真ん中、
文京区根津にあるサンクチュアリ出版の屋上

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はじめるために必要なことは、はじめてみることだ。【ハチ飼育員の手記 4月】

はじめるために必要なことは、はじめてみることだ。【ハチ飼育員の手記 4月】

4月1日(月曜日)曇り時々晴れ

年度が変わった。新年号も発表された。
今日は巣箱の設置にふさわしい日だ。

めでたい日ではあるが、気持ちを引き締めないといけない。すでに心配点がいくつかある。

お隣さんの窓

ひとつは、隣の建物の窓があいていること。
この会社に引っ越してきたときからずっと気になっているが、ここの窓は真夏も真冬も、いつもあいている。
ここの大家さんは暑がりなのか。それともつね

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やらないよりマシなことを、やらない理由はあるだろうか? 【ハチ飼育員の手記 4月】

やらないよりマシなことを、やらない理由はあるだろうか? 【ハチ飼育員の手記 4月】



2日目。曇りときどき雨。寒い。

いまのところ、なんの変化もない。
耳を当ててみるが、羽音はしない。室外機から吹き出す風の音がするだけだ。





ただ眺めていても仕方ないので、近所の根津神社に行くことにした。

これだけ緑があるのだから、ハチの1群れや2群れはいそうなものだが、あたりを見渡してもそんな気配はない。まだ春は訪れていないのか。寒いせいか、観光客の外国人も口数が少

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待っていてもなにもはじまらないが、かといって終わるわけでもない。【ハチ飼育員の手記 4月】

待っていてもなにもはじまらないが、かといって終わるわけでもない。【ハチ飼育員の手記 4月】

4月某日。快晴。
飼育員を名乗っているが、まだなにも飼育していない。

営業部長が毎日のように
「ハチ、来ないっすね」
と声をかけてくる。

たしかにハチは来ない。来る気配もない。それは事実です。
しかし、もし数多の自己啓発書が説く法則にならうとするならば、

「ハチ、来ないっすね」
と毎日言い続けることによって
“ハチが来ないという現実”を引き寄せてしまっているんじゃないだろうか。

今後、社内

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面倒くさいことになるかもしれない。でもそれを避けてしまえば、なにも起きないのだ。【ハチ飼育員の手記 4月】

面倒くさいことになるかもしれない。でもそれを避けてしまえば、なにも起きないのだ。【ハチ飼育員の手記 4月】

雨のち曇り。4月も間もなく終わろうとしている。

ハチ来訪のビッグニュースだ。

この報道が流れて以来、スタッフや仕事の関係者から「恵比寿にミツバチ、出ましたね!」と声をかけられるようになった。
ミツバチに対する関心が、少しずつ高まっている。そんな実感がある。
スタッフや仕事の関係者の口ぶりからも、以前のようなミツバチに対する敵意は感じられない。
ゆっくりとだが着実に、良い方向に進んでいる。

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すべてが終わろうとする時、すでになにかが始まっている。【ハチ飼育員の手記 6月】

すべてが終わろうとする時、すでになにかが始まっている。【ハチ飼育員の手記 6月】

仕事にかまけていて、
すっかりハチのことを放置してしまった。
時間がなかったから。疲れていたから。運がないから。
どれも言いわけだ。

仕事とハチ、どっちが大事なの?
という問いには答えられない。

私はただ仕事をしていた。それだけだ。

それでも、私ほどの人間になると
ハチ関連のニュースは
自然と目に、耳に飛び込んでくる。

ハチミツの偽物を見破れるようになったという。

私の場合、
この高

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完全なる絶望の末に、飼育員が手にしたものとは? 【ハチ飼育員の手記 7月】

完全なる絶望の末に、飼育員が手にしたものとは? 【ハチ飼育員の手記 7月】

知らない人がほとんどだと思うが、
会社のホームページには、
noteと連動した特設ページがあり、
この日記は、毎月1回の連載ということになっている。

つくづく(なんと無計画な)と思う。

都会の古ビルの屋上に、
ぽーんと置いた巣箱に、
本当にハチが喜んでやってくるとでも思っていたのか。

やってこなかった。

次にハチがやってくるチャンスは1年後だ。

なにが「屋上みつばち」だ。

ハチがい

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勇気を出せば成功するわけではないが、成功するためには必ず勇気が必要だ。 【ハチ飼育員の手記 8月】

勇気を出せば成功するわけではないが、成功するためには必ず勇気が必要だ。 【ハチ飼育員の手記 8月】

前回までのあらすじ。

1、サンクチュアリ出版は、お世話になっている人たちに「自分たちの手で育てたハチの蜜」を贈りたいと考えた。
2、考えるよりまずは行動だ。なんにもわからないけれど、とりあえず4月から巣箱を仕掛けてみた。
3、“捕まえられるタイミング”は1ヵ月ほどしかないと知った。
4、あっさり“捕まえられるタイミング”が過ぎた。
5、おしまい
6、かと思ったら、文京区の社会福祉協議会というとこ

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成功体験を先取りした場合、どれくらいの確率で実際に成功できるのだろうか?【ハチ飼育員の手記 11月】

成功体験を先取りした場合、どれくらいの確率で実際に成功できるのだろうか?【ハチ飼育員の手記 11月】

飼育員です。

大型台風にあおられ、
最強台風に吹き飛ばされ、
増税にラグビーに筒香メジャー挑戦に、と
わあわあ騒いで、おいおい泣いて、
ふと窓の外を見てみたら、
すっかり秋になっていた。

ええ? 秋?

見れば前回の投稿から、
もう2ヵ月以上経っている。
なんていうことだ。
2ヵ月間生きていた実感がない。

飼育員はいったい、
なにをしていたというのだろうか。

記憶をたどるために、我が

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