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pegasusring
【短編小説】ドクダミを踏んだ
足元を見ると、潰れたドクダミと花があった。
名前の割に綺麗な花を咲かせるなんて生意気だ。
虫のいどころが悪かった私は毒を吐いた。
すると言葉もわからないはずの花と葉は私を軽蔑するような目で、一斉に見上げた。
大量のドクダミに見上げられて思わず怯む。
たかだか植物じゃないかなんて油断していた私の足がどんどん冷たくなって、しかし同時に暑くなっていくのを感じた。
蔦が地面からゆっくり伸びて体にまとわりついてくる。
大地の恵みを吸ったそれらは人間一人では抗えない力で血を鬱血させるようにじわじわと巻きついてきた。
ドクダミに、ドクダミなんかに殺されるなんて。
私がそう考えるたびにドクダミは巻きついてくる。
じわじわ体から魂が吸い取られていくようにゆっくりその草むらの中に沈んでいった。
ドク
ドク
ドク
ドク
心臓の鼓動と毒が流れる音が混ざり合って意識が朦朧とした。
私の身体が消えたその場所からは、一輪の、綺麗な白い花が咲いた。
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