【短編小説】下戸ゲコ
ふひぃー
そのカエルは下戸であった。
しかし困ったことに酒が大の好物なのだ。
今日も今日とて酒瓶を空けている。
空けるから強いのかといえばそうではなく、一本飲みきった後は必ずゲロゲロする。
それなら飲まなければいいものを、そのカエルは困ったことに毎日毎日飲み続けた。
ふひぃー
今日も酒がうまい。
ゲロゲロ。
まただ。
ゲコゲコ。
カエルは酔っ払うと決まって独り言を言う。
ゲコゲコ
しかしそれはカエル語なので誰にも理解されなかった。
だから酒を飲んでいるのかもしれない。
もしかしたら飲まないとやっていけないのではないだろうか。
下戸のカエルは今日もゲコゲコ鳴いてゲロゲロしている。
しかし彼のいいところはただ一つ、ゲコゲコした後に必ずゲラゲラするのだ。
吐いている姿は心配になるが、お酒を楽しそうに飲むそのカエルは、見ていてなんだか楽しそうだった。
おしまい。
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