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自主映画を、撮る。その2

購読ありがとうございます、主宰です。

前回の続き、

すなわち映画部の同窓会で意を決しCOした「実は、新作映画の構想があって」を受けての後日談からスタートしてまいります。正直「忙しいからまた今度な」的社会人ノリで、華麗にスルーされるオチを覚悟していた。これは決して好を悪く言う意図ではなく、つまり我々はアラサー、更に言えばほぼオバサーに片足を突っ込んでいる世代です。

まずもって仕事が滅茶苦茶忙しい、なおかつ諸々のライフイベントを経て各人が方々に散らばってしまった。貴重な休日を果たして自主映画の撮影なんかに費やしている場合なのかどうか、国外を拠点としている同志の存在もある。そんな中、あくまで同窓会的ノリの延長線上でもって「今を映し出す」映画を撮れないものか。あれこれと知恵を絞る主宰。

プレゼン準備、ぶっちゃけ仕事より緊張しました。

ただ唯一の救いは、特に公私共にお忙しいはずの後輩ちゃんからいの一番に「そのアイデア、賛成です」とのリアクションをもらえたこと。正直かなり大きな後押しでした。在学中も献身的に活動を支え、事あるごとに主宰へ協力要請を投げ掛け続けてくれていた彼がもし映画制作に消極的な立場を示したら。その時が然るべきタイミングだと。

つまり学生時代の思い出と明確に「決別すべき」ベストな時期なのだと、主宰自身も踏ん切りが付いたはず。ところが彼は「新たに作り出す」方向を選んでくれた、しかし尚更企画プレゼンのハードルは上がる一方で。ショートショート形式と中長編の二本立てで臨む予定でしたから、慌ててレジュメ作成に明け暮れる。出来る限り後悔のないように。

在学中の思い出話(※余程の方以外、スルー推奨)。

そもそも在学中の企画会議は実にざっくりとしたものでした。極論プロットさえ定まってしまえば後は現場で都度肉付けしていけばええんちゃう、くらいのアバウトさがあって。その場で台本に必要事項だけ付け足すようなスタイルで撮影が進んだ作品も多い。この緩さが学生っぽいというか、ある意味モノづくりの本質というか。

例えばグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」をプロットに制作された映画『GreteL』は見事、その年の映画甲子園で撮影賞ノミネート。ちなみに主宰の記念すべき初監督作。基本枠は定めつつ、現場で必要な台詞を継ぎ足しつつ中盤はほぼ無声映画的。主宰自らカメラを回したシーンもしっかり本編に残ってます。高校最後の夏休み、母校の裏山で撮影。

有楽町での記念上映会、拍手が消えたエンドロール。

本作は撮影賞にノミネートされましたので、有楽町で記念上映されるチャンスを得ました。しかしご覧の通りなオチですから、拍手喝采で迎えられた他作品とは違い実にしーんとした重々しい空気の中エンドロールが流れたそう。芸事を愛する身としてこれはもうしてやったりというか、やったった感満載で。ありがとうマジグッジョブ、と思わず仲間を労ったものでした。

著名な審査員の先生方をもってしても作品名『GreteL』の真意にはたどり着けなかったらしく、あれってどういう意味?なんて質問が飛ぶ場面すらあったようですから、煙に巻くことには正直大成功した形。「想定内の範疇で展開していく作品」ほど評価される時代だと知ったら、主宰はもっと早時期にコンペ出展を辞退していた。

自由な尺度で作品と向き合って下さい。

世間がどう思うかとか、専門家はこう分析したからとかそういうのは抜きにして。どうか貴方自身の物差しで作品をご覧になって下さい。たとえそれが喜劇的な記憶として、あるいはトラウマ体験としてでも貴方の脳裏に焼き付けば、作り手としてはもう大満足なのです。主宰が思う本来的な創作活動の出発点はそこで。

ぶっちゃけ『GreteL』の構想が定まってきた時期、マジかよこれで行くんだ的な不安要素満載ながら内心ワクワクが止まらなかったあの時の心持ちを、30過ぎた今も新鮮に昨日の出来事の如く思い出せます。丁度吹部最後のコンクール地区大会に惨敗して、その夏のスケジュールがすっからかんになった時期。迷わず駆け込んだのは映画部の部室で。

衝動的な創作意欲こそ、貴方を突き動かす「心理トリガー」たり得る。

ある種、確信をもって全方位的に伝えられること。

それはどんなに辛く苦しい生活環境や心理状態であろうと、それを「創作活動に昇華しよう」と思い立った瞬間から貴方の人生は色めく可能性に満ちている。こんな時代だからこそ安易な他害/他傷行為に及ぶ前に今一度、自身のクリエイティビティに問い掛けてみて。貴方自身を発信できるツールは無限にあって、それにまだ気付けていないだけなのかも。

貴方を平静に保つ手段は、想像以上に多種多様。主宰だって一切のSNSを捨て置いてnoteに流れ着いたはずが、気付けばこんな独白アカウントですら月間4,000アクセスを頂いている。本当に奇跡。とはいえ次回は「プレゼン大会の結果報告」編、意気揚々と臨んだ主宰の精神状態が完膚なきまでにズタボロにされた可能性すら漂う。果たして真相やいかに。

(次回へ続く)

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