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たいせつにしたいことば

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大切にしたい言葉。好きな言葉。そういうのも全部残しておいた方がいいかもしれない。
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記事一覧

2022.3.12 ユウさん①

同じ講義でよく顔を合わす人がいた。
その人はいつも後ろの席で、独りで座っていた。
休憩時間は独りでスマホを触っていた。

噂で聞いた。
同じ講座に何留かしている人がいると。
皆がその人を嘲笑っていた。
ユウさんが、その人だった。

厳密には、大学は留年制度はなく、卒業できない仕組みとなっている。
この時点でユウさんは6回、足踏みしていた。

本来であれば、1年生で取るべき講義をユウさんは、毎年、数

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本当のことは言わない

本当のことは言わない

前々より指導を受けている、憎たらしい人間が放った言葉。
無計画で勢いだけの、何度も聞いた事ある言葉を捏ねくりまわすあいつが、ぼそりと落とした言葉。
なにクソと聞き流していたが、どうやら正しいのかもしれない。

以前までは色々な話で盛り上がっていた。今でも盛り上がるのは事実だが、僕が冷めている。なんて事はどうでも良いのだが、僕らは色々な話をした。日付を越すほど語る事も少なくなかった。
そんな時間を共

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2021.5.24 何者に

2021.5.24 何者に

何者でもない。
何者に。

動物の姿、映画が始まる前の予告、眩しい明け、ちょっとしたことに心動かされる。

ここじゃない。こうじゃなかった。こんなはずじゃない。
皆そう思いながら生きている。
それでも、それでも、それでも、羽ばたきたいと、どこか遠くまで飛べるんじゃないかと、切なさも悲しみも全て忘れられなくても、誰も迎えに来てくれなくても、この人生を生きていくしかないのか。

何者にもなれない。

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2021.5.1 個性の色

個性は自分で定義するものではないのかもしれない。

個性。
皆違って皆いい。なんてよく言われる。

確かにそうである。十人十色であって、同じ人はそういない。よく笑うあのコンビニの店員、無愛想な先輩、方言がきつい大家さん、勿論皆違う。その中で一体どれだけの“個性”を見出せているだろうか。



今日、ゼミの後輩と話す時間があった。僕と同じ周り道をしてとうとう大学に辿り着いた後輩。よく笑って、すぐ僕

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2021.4.7 旅立つきみへ

2021.4.7 旅立つきみへ

春が来た。
ようやく春が来て暖かくなってきた。

また春が来てしまった。

春。
環境が変わる人が多くいるだろう。
新天地で活躍する人。
慣れないことに齷齪し、奮闘する人。
決意や覚悟をし、多くを捨て挑戦の念を持つ人。
環境は変わらずとも継続して責務を全うする人。

失敗や後悔を繰り返す人。

何も変わらず、足踏みする人。

自分がどこに位置しているのかさえわからない。そんなことはどうでもいい。

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2021.3.20 大丈夫。僕はここにいる。

大学の卒業式が来週に迫っている。
専門学校の時より寂しさはない。

そうだろう。たった2年の大学生活だからだ。



今日、友人2人と食事に行った。

恐らく、3人で食べる最後の、人生で最後の、もう二度と無いであろう、来世でも今世でも前世でも、もう叶うことはない、今まで当たり前だと信じ切っていた、最後の時間。

1人は地元で就職。
1人は同県で就職。

そう、僕は取り残される。

1人は言った。

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2021.2.10 たい焼きと、たばこや

たばこや。

あぁとても懐かしい。

よく、お駄賃を握りしめて、駄菓子を買いに行っていた。

保育園の近くにあった。店主のおばあちゃんはいっつもニコニコしてて、僕のおばあちゃんとも仲が良かったなあ。

そうそう、たばこやの前の坂は、当時の僕らにはあまりにも急勾配だったなぁ。

なんだったっけ。あぁ、そうだ、ヤッターめん。

よく、当たりを引き替えてもらったなぁ。

あと、どこよりも1日だけ早く、コ

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流星群

今日だけは、彼に向けて歌う。
二度と交わることがないように。
お互いに、お互いの、お互いだけの正義で、生きていこう。

2021.1.17 少しだけ悲しいお話

友人がいた。
地元に。

今はもういない。

しばらく、バンドをやっていた。
そのメンバーの1人であった。

小学校の時から遊んでいた。

今はもうない。

正確には、去年の6月で縁が切れた。



先述だが、彼とは小学校時代から遊んでいた。

いつもふざけて、面白い、ひょうきんなやつだった。

仲が良かった。

未だに覚えている、毎年クレヨンしんちゃんの映画を一緒に見に行っていた。

自由帳に

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2021.1.13 ため息の訳を聞いてみても

つくづく、僕は人のために生きられないのだろう。

というより、人の力になれないのだろう。

言い換えると、情けなく、力不足、頼り甲斐がない、ダサい、支えられない、必要な言葉が見つからない、度胸がない、タイミングが悪い、つまらない、センスがない、どうしようもない、頭が悪い、力になれない、逃げてばかり、声が、声が届かない、届かない、届かない。

そんな、どうしようもない僕を、僕が、僕自身生きているのだ

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全力で、走れ。
36度5分の体温。

by Sugar‼︎ / フジファブリック

2020.12.21 テツ

僕はバンドをやっていた。

メンバーは僕(6弦引き)、太鼓叩き、テツの3人だった。紛れもなく、その3人だった。

下手くそなウタ、走るビート、合わないリズム。
それはもう、ダサい。見てられない。聴いてられない。笑われるのもわかる。

ただ、やっているぼくらは、最高の二文字だった。



太鼓叩きとは、小学校からの幼馴染みだった。
テツと出会うのはずっと後だった。
二十歳だっただろうか、太鼓叩きの

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たいせつにしたいことば集①

なぁどうだい、そっちの暮らしは

好きなものは?笑い方は?どこまで同じのままだろう

(時速36km/優しい歌)

僕にとってはたいせつなものも

お母さんあなたにはわからないでしょう

(時速36km/ハロー)

声を失くしたら僕じゃなくなる

それでも好きだと言ってくれますか

あなたを失くしても僕は生きてく

それでも信じていてくれますか

(Bump Of Chicken/66号線)

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