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京都にある茶室

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守るべき文化財の宝庫、京都に現存する茶室を集めました!
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2023年11月の記事一覧

遺香庵(京都高山寺)

「遺香庵(いこうあん)」

国宝・鳥獣人物戯画の所蔵で知られる京都の高山寺にある茶室。

また、高山寺は日本最古の茶園を有し、お茶の発祥地とされています。宋からお茶の実を持ち帰った栄西禅師(1141~1215年)から当寺を開山した明恵上人(1173~1232年)に茶の実を贈ったことから、はじめて茶が作られたそうです。

昭和6(1931)年、明恵上人七百年の遠忌を記念し、上人の茶恩に報いその遺香を

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既白庵(京都妙心寺 桂春院)

「既白庵(きはくあん)」

京都の妙心寺塔頭、桂春院にある茶室。

利休の孫の宗旦に師事した茶人・藤村庸軒の流れを汲んだ人の作とされています。

妙心寺では修行の妨げになるとして茶の湯が法度(禁止)となっていましたが、それが安政年間(1854~60年)には解けたといいます。

そのような背景から、この茶室はその頃(江戸末期)に作られた、もしくはそれ以前から秘密裏に使われていたものと思われます(諸説

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澱看席(京都 西翁院)

「澱看席(よどみのせき)」

京都の金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の塔頭、西翁院にある茶室。

利休の孫の宗旦に師事した茶人、藤村庸軒(ふじむらようけん・1613~1699年)の作と伝えられています。

造立時期は、寺伝では貞享2~3(1685~86)年とされていますが、明らかとはなっていません。寺伝のとおりだとすると、藤村庸軒の晩年の作ということになります。

茶室の正面にはやや大きく開けた

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八窓軒(京都曼殊院の草庵茶室)

「八窓軒(はっそうけん)」

京都三名席(他は大徳寺孤篷庵の忘筌(ぼうせん)と南禅寺金地院の八窓席(はっそうせき))で、曼殊院にあります。

曼殊院は京都市の北、一乗寺にあり、天台宗延暦寺に属する門跡寺院だそうです。

明暦2年(1656年)、良尚法親王が門主のときに洛中から現在の地に移転されました。良尚法親王は、桂離宮を造営した八条宮智仁親王の子です。

院内は大書院、小書院、茶室などで構成され

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