「Quantum」合同編集部

2024/5/19の文学フリマ東京で合同誌「Quantum」を頒布予定。 純文学・BL…

「Quantum」合同編集部

2024/5/19の文学フリマ東京で合同誌「Quantum」を頒布予定。 純文学・BL・分析美学の書き手が集まり制作中。 石田幸丸 / 岡田進之介 / 鈴木三子 / 那智 / 原石かんな / 久湊有起 https://c.bunfree.net/c/tokyo38/h1/A/63

マガジン

  • 合同誌「Quantum」試し読み(共作)

    文学フリマ東京38で頒布予定の合同誌「Quantum」から、二人一組で前後半を分担して執筆した共作の試し読みを公開します。

  • 文学の同人誌を作って頒布するまで

    2023年5月19日開催の文学フリマ東京38に向けて、雑誌制作に励む6名のメイキングです。

  • 合同誌「Quantum」試し読み(個人創作)

    文学フリマ東京38で頒布予定の合同誌「Quantum」から、収録作品の試し読みを公開します。

  • 作家性の観測(作者インタビュー)

    文学フリマ東京38で頒布予定の合同誌「Quantum」連動企画! 本誌に掲載された個人創作について、「美学」の観点を踏まえて作者インタビューを行いました。

記事一覧

固定された記事

徹底まとめ! 文学フリマ東京38で欲しくなる合同誌「Quantum」雑誌情報

いよいよ間近に迫ってきた文学フリマ東京38! こちらの記事では、合同誌「Quantum」の情報をまとめていきます。 雑誌情報タイトル:合同誌「Quantum」 発行日:2024年5月1…

【試し読み】久湊有起×原石かんな 『あなたが目を覚ます』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続…

【試し読み】鈴木三子×久湊有起 『惑星ビデオレター』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続…

【試し読み】石田幸丸×鈴木三子 『彼/私/ 』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続…

【試し読み】那智×石田幸丸 『Let me see.』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続…

【試し読み】原石かんな×那智 『PANTONE 13-1023 Peach Fuzz』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続…

作家性の観測 久湊有起インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いま…

作家性の観測 原石かんなインタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いま…

作家性の観測 那智インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いま…

作家性の観測 鈴木三子インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いま…

作家性の観測 石田幸丸インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いま…

【試し読み】久湊有起 『アドラルトクについて』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 久湊有起 『アド…

【試し読み】原石かんな 『そして私は透明になる』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 原石かんな 『そ…

【試し読み】那智『掌編 微熱』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 那智『掌編 微…

【試し読み】鈴木三子 『かせきこのかっぱ』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 鈴木三子 『かせ…

【試し読み】 石田幸丸 『深淵のリチェルカーレ、あるいは文学の捧げもの』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 石田幸丸 『深淵…

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徹底まとめ! 文学フリマ東京38で欲しくなる合同誌「Quantum」雑誌情報

いよいよ間近に迫ってきた文学フリマ東京38! こちらの記事では、合同誌「Quantum」の情報をまとめていきます。 雑誌情報タイトル:合同誌「Quantum」 発行日:2024年5月19日(日)文学フリマ東京38 ブースA-63,64にて 判型:A5版 頁数:272頁 頒布価格:1,600円 収録作品について 小説10篇+インタビュー5篇!純文学、BL、分析美学の書き手六名が集まり、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマに実験を行いました。 それぞれの書き手

【試し読み】久湊有起×原石かんな 『あなたが目を覚ます』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 久湊有起×原石かんな 『あなたが目を覚ます』 あなたが目を覚ます。 聞き飽きたアラームの音が部屋に響いて、あなたはそれから逃れようとするように寝返りを打つ。シングルベッドが軽い音を立てて軋む。窓の外では名前の知らない小鳥がさえずり、時折車の排気音がそれを上塗りしていく。朝の

【試し読み】鈴木三子×久湊有起 『惑星ビデオレター』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 鈴木三子×久湊有起 『惑星ビデオレター』 夜空を見上げると、あかあかと輝いている星。ぼくの父さんと母さんはあそこにいる。星になって見守ってくれてるんだ、とかいうやつじゃないよ。週に一度はビデオレターだってよこしてくれる。いまどきの火星には働いている人も旅行する人もけっこういる

【試し読み】石田幸丸×鈴木三子 『彼/私/ 』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 石田幸丸×鈴木三子 『彼/私/ 』 私がカッターで鉛筆を削る音がする。細く、長く、芯を削り出して、天窓から降る灰青色の光にかざす。マルス・ルモグラフの光沢のない黒が、その瞳の縁に溶ける。 彼はコートを脱いで、台に上がった。私がじっとこちらを見ている。 「よろしくお願いします」

【試し読み】那智×石田幸丸 『Let me see.』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 那智×石田幸丸 『Let me see.』 目の周りを覆っているものを外してください。 ハイフネーションの揺れについて指摘をあげるべきか判断するのに午後の二時間を費やした。ゲラに“biodegradability”という言葉が出てきて、その後に“bio-degradabil

【試し読み】原石かんな×那智 『PANTONE 13-1023 Peach Fuzz』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、編集部員が二人一組で前後半に分かれて「共作」を行った作品について、前半の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 原石かんな×那智 『PANTONE 13-1023 Peach Fuzz』 あとはもう眠るだけになったベッドの中で、メッセンジャーアプリに登録されている連絡先を整理しようと思い立ったのは、旦那との離婚を機に連絡先の断捨離をしたという可奈子の影響だった。 けれど、顔も思い出せ

作家性の観測 久湊有起インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いました。今回は『アドラルトクについて』(久湊有起)についてのインタビューを公開します。 久湊有起『アドラルトクについて』の試し読みはこちら。 インタビュー執筆プロセスについて ――最初に久湊さんが作品を、具体的にどういうプロセスで書いているか、デバイスも含めて手順・プロセスを教えてください。 久湊:前提と

作家性の観測 原石かんなインタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いました。今回は『そして私は透明になる』(原石かんな)についてのインタビューを公開します。 原石かんな『そして私は透明になる』の試し読みはこちら。 インタビュー 執筆プロセスについて ――いつも作品をどうやって書いていますか? 原石:説明が少し難しいのですが、いつも具体的なストーリーよりも先にまず一文やセリ

作家性の観測 那智インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いました。今回は『掌編 微熱』(那智)についてのインタビューを公開します。 那智『掌編 微熱』の試し読みはこちら。 インタビュー 執筆プロセスについて ――最初に作品執筆の物理的なプロセスを教えていただけますでしょうか。何使って書いてるとか、どういう順番で書いてるとか。 那智:まずソフトはWordを使ってま

作家性の観測 鈴木三子インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いました。今回は『かせきこのかっぱ』(鈴木三子)についてのインタビューを公開します。 ※小説の内容について触れています 鈴木三子『かせきこのかっぱ』の試し読みはこちら。 インタビュー聞き手:岡田進之介 執筆プロセスについて ――まずどういうプロセスで作品を書いたのかを教えてもらってもいいですか? 鈴木:

作家性の観測 石田幸丸インタビュー

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」では、「小説を書くときいったい何が起きているのか」をテーマとして、掲載作品それぞれの書き手にインタビューを行いました。今回は『深淵のリチェルカーレ、あるいは文学の捧げもの』(石田幸丸)についてのインタビューを公開します。 石田幸丸『深淵のリチェルカーレ、あるいは文学の捧げもの』の試し読みはこちら。 インタビュー 執筆方法 最後の30%はInDesignで ――最初に作品の執筆過程を簡単に教えてください。 石田:僕

【試し読み】久湊有起 『アドラルトクについて』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 久湊有起 『アドラルトクについて』 アドラルトクはハンノキの皮で染められた美しい赤のパルカを纏い、イッカクの角の槍を携え、アビの風切羽が五十七も縫い付けられたバンダナを巻いていたので、島のどこにいても見つけることはたやすかった。特にユアの丘に抱えられるように迫り出した崖の上に座っていると、島の人々は大抵、かれに手を振って

【試し読み】原石かんな 『そして私は透明になる』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 原石かんな 『そして私は透明になる』 選ばれないことが死ぬことと同じであるとするならば、この世界には死人があまりにも多すぎる。 私のスマートフォン宛に二十四社目の不採用通知が届いたのは、新宿方面行きの山手線に揺られている最中だった。 リクルートスーツという名の喪服に身を包み、今日も今日とてこれから別の企業の説明会があ

【試し読み】那智『掌編 微熱』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 那智『掌編 微熱』 ドラッグストアのLEDは他のどこよりも白くて眩しい。 壁一面に並んだ医薬品の光沢のあるパッケージが一斉に点滅するように感じて、思わず一度目を閉じた。瞼の裏に残った色が消えていくのを待ちながら、ナカノの怠そうな声を思い出す。喉が痛いと言ったのだ。とにかく喉が痛い。咳が止まらない。と言いながら実際に何度

【試し読み】鈴木三子 『かせきこのかっぱ』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 鈴木三子 『かせきこのかっぱ』 新田久恵が家の裏手の池からやってくるカッパに悩まされて、もう一週間になる。 カッパ、というか、正直何と呼ぶべきかわからない生き物であるのだが、いつも濡れているし、頭はざんばら髪のようになっていて、二本の足で歩くので心の中での便宜上カッパと呼ぶことにしている。日が暮れるころに勝手口にぬうと現

【試し読み】 石田幸丸 『深淵のリチェルカーレ、あるいは文学の捧げもの』

文学フリマ東京38にて頒布予定の合同誌「Quantum」から、各編集部員による個人創作の一部を試し読みとして公開します。続きはぜひ雑誌をお求めください。 石田幸丸 『深淵のリチェルカーレ、あるいは文学の捧げもの』 男は話しはじめた。 「ちょうどカフェを出たときだったんですよ。雨が降っていて、こう、下り坂がだらだらと続いている道で、そのずっと先で、バスが扉を閉めるのが見えました。ブレーキランプが消えて、そのまま走っていった。あぁ、って。それまでさんざんコーヒーのおかわりで