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【毎週ショートショートnote】友情ゲーム

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お題:友情の総重量


 友情とは目に見えないものである。
 なんてのは綺麗事だ。僕達は今、ありありと友情を視界に捉えているのだから。

「残念!嶺井さんの負けです!」
「何でだよ!おい!ふざけんなよ!お前俺を親友だって言っただろ!」
「うるさいな。俺ずっとお前の事嫌いだったから」

 デスゲームなんて映画の世界だけだと思っていたのに、ある日突然世界が一変してしまった。異星人に支配された学校。様々なゲームで死んでいく生徒。

 今日のゲームは、友情の総重量ゲームだ。プレイヤーは二人。各々が友人をひとり選び、巨大な天秤に乗せる。そして左右の天秤は友人からプレイヤーへの友情量を重さに換算し、より総重量が重かった方の勝ち。負けた方はプレイヤーのみ殺される。
 今まで様々なゲームをやらされてきたが、今日のゲームが一番残酷かもしれない。壊れる友情を目の当たりにしながら、僕はそう思考した。悍ましいゲームだ。ひとつの揺らぎも疑わない子供の友情を、粉々に打ち砕く。

「なあ、晴香」
「分かってるよ。だってあんた私以外に友達いないし」
「……ごめん」
「謝んなっつーの!勝てばいいんでしょ勝てば!」

 幼馴染の晴香はそう言って指でVサインを作った。僕はそれを心強く思うしか出来なかった。
 ゲームは内容にもよるが、今日のようなタイプのものは全員にプレイヤーのターンがくる訳ではない。僕自身、それでゲーム自体を回避出来た日もある。
 まあとどのつまり、今日はプレイヤーのターンが回ってきたと言う事なのだが。人間関係の構築が下手な僕は、友人と呼べる友人などいない。ましてやこのゲームで勝てる程の友人など。
 必然的に僕は幼馴染である晴香に頼らざるを得なかった。幸い、晴香とは良い関係を続けていると自負しているし、対戦相手は喧嘩ばかりの兄妹。負ける事はないだろう。そう思って晴香を天秤に乗せた。

「おや残念!山本さんの圧倒的な負けのようです!」
「……晴香……?」

 大きく傾いた天秤。晴香の乗った左の天秤が、高く高く上がっていた。それは対戦相手の友情の重さ以上に、晴香から僕への友情がない事を鮮明に表している。
 何で? どうして? 全て僕の勘違いだった? たくさんの疑問符が頭を駆け巡る。背後に迫る大きなハサミの音も届かぬ程に。
 じゃきんっ。冷たいハサミが僕の首を切り落としたと同時。天秤の上の晴香が、幼子のように泣きじゃくっていた。

「ごめんねっ……愛情じゃ、ダメみたいっ……!」



デスゲームしか思いつかなかったわ……。


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