風は桃色で吹く
私はピンクが好きです
桃のように柔らかくてあたたかなあの色が好きでいつも身に着けています
ピンクのものがあれば集めたくなるし、ピンクの食べ物も大好きで
友達はピンクがあれば私に教えてくれるほどです
私は桃夏(とうか)18歳
来月からは大学生です
小さいころからピンクが好きで幼稚園は全身ピンクで登園していました
小さい頃はよかったのですが、小学生に入ると周りから全身ピンクで変な奴!!
っていじめられていました
ただピンクが好きなだけなのになんで嫌われるのかわかりませんでした
大きくなるにつれてピンクは全身からワンポイントになりました
白色と黒色にピンクを紛れさせれば誰も咎めませんでした
最近はピアスとベルトがお気に入りです^^
大学生のプレゼントに叔父がくれたピンクのキラキラしたピアス
グァバクォーツという石らしくて、グァバの実のようにジューシーなピンク色は私には桃のような果肉の色に見えてとっても気に入っています
そしてずっとほしかったブランドのピンクのベルト!!
白色と黒色のファッションの差し色にピンクを付けるのが本当に好き!!
この日は両親が旅行で家に一人でした
そんな時は大好きなピンクのケーキを食べるのが幸せです♡
大学の近くにあるケーキ屋さんに期間限定!桃のケーキがあると聞いてそこへ買いに行きました
春らしい可愛いケーキがたくさんで迷いそうだけど、私のお目当ては桃のケーキ!
最後の一つだ
「桃がたっぷり桃太郎ケーキを一つください」
ニコニコが止まらなかったです
すると隣から
「すごい可愛い」って声が聞こえて目線を向けました
白色と黒色をシックに着こなす彼は少し大人に感じました
彼は私の目を見ていて
私に言ったのかと勘違いしそうでした
「ですよねー^^桃太郎ケーキピンクで可愛いですよね」
ドキドキを隠すように笑って言ったことを覚えています
彼は軽くお辞儀をしてくれて帰っていきました
「かっこよかったなあの人。」
あの日は確か月曜日の朝早い時間
春も終わりを告げる桜が散り始めていたころです
夜早く寝すぎて日が昇るより前に目が覚めました
少しずつ明るくなっているさまが気持ちよくて
桜並木を見に行こうと外に出ました
何個か設置してあるベンチはどこもおじいさんやおばあさんが座っていて談笑をしていました
和やかな空気に頬が緩みます
一つのベンチの左端が空いていたのでそこへ座りました
若い男性がうとうとしています
このあたたかさは私の心まで風を届けてくれました
横目で隣の人を見ると白色と黒色のシックな服に目が行きました
もしかしてあの時の?
私は彼の顔を見ました
ぐっすり寝ていますがあの時の彼でした
朝日が昇り川の水面がキラキラ輝き
ピンクの花びらが彼の回りを舞っていました
まるで桜の花びらが彼の服装のワンポイントになったかのように
桃のように柔らかくてあたたかな優しい風を感じました
きっと彼も桃色のように優しい人なんだろうな。
鼻先についた花びらを取りに彼の前に行く
花びらを取ると同時に彼の目が開く
泣いた後なのか、目の回りが薄いピンクになっていました
指先の花びらと彼の目元が美しくて見惚れていました
私が恋に落ちた瞬間です
二つの話し
彼女バージョンの物語です
こちらの話しと繋がっています
ぜひ彼氏バージョンと併せてお楽しみください
儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります