西村慶介

選挙の見物が趣味の「参政党ウォッチャー」。主にTwitterで活動中。次回投稿予定:「…

西村慶介

選挙の見物が趣味の「参政党ウォッチャー」。主にTwitterで活動中。次回投稿予定:「2024年 衆議院・東京15区補選 感想」

マガジン

  • 「参政党」の考察

    参政党について考察した記事をまとめています。

  • 選挙放浪記

    実際に見物に行った選挙の感想等をまとめています。

最近の記事

参政党の世界観、その機能と「虚構性」 〜神谷宗幣編著 『参政党Q&Aブック 基礎編』を基に〜

1. はじめに 2023年の11月頃、参政党に対し「農業に関するデマを流している」とネット上で激しい批判が起きたことがあった。これは党代表の神谷宗幣の演説で「農薬によってがんが増えている」などの根拠や因果関係が不明な発言があったことに対し、農業関係者が怒りの声を上げ始めたことが発端である(1) 。この時はあまりのバッシングの盛り上がりに、遂には神谷自ら街頭演説で弁明を繰り返す事態にすら陥っていたのである(2) 。  さて、バッシングの根拠として街頭演説と並んで取り上げられた

    • 【選挙放浪記】2024年 大阪府・熊取町長選 感想

       1月16日告示、1月21日投開票で熊取町長選挙が行われた。  今回は3期目を目指す大阪維新の会(日本維新の会)の現職に、自民党をはじめとする5つの政党が推薦する新人候補らが挑む構図となった。  そしてこの選挙は維新と「非維新」連合が今年初めて戦う首長選という記念すべきものであると同時に、後述の通り大阪府内における維新の今の実力を測るバロメータとなりうるものであった。  また私としては、3つの陣営のうち2陣営に参政党の関連人物が属しているということから、非常に興味深く見ていた

      • 【選挙放浪記】2023年 大阪府・東大阪市議選 感想

         9月17日告示、9月24日投開票で東大阪市議会議員選挙が行われた。  今回は自民党、大阪維新の会(日本維新の会)、共産党が現有議席を上回る候補者を擁立した上に、立憲民主党、れいわ新選組、参政党等も議席獲得を狙って候補を立てた。そして諸派や無所属の現職、新人らも次々と出馬した結果、定数38を57名で争う大激戦となった。  本稿では、私が実際に各候補者の選挙運動を見に行き、その時に抱いた感想を述べる。  なお57名もの候補者が立候補する選挙であったにもかかわらず、私のスケジュ

        • 所属会派から読み解く、参政党地方議員の政治的性格 ~彼らは「非妥協的な極右」なのか~

           本稿は参政党の地方議員の政治的性格を、彼らが議会で所属している会派を手がかりとして考察するものである。  参政党は一般的に、既存の政党を厳しく批判する姿勢(1)や「極右政党」というイメージ(2)で知られている。  他方国政政党になって以来メディアや専門家らが参政党を取り上げる機会も増えたが、その中で神谷宗幣代表が政策的に共通する部分があれば「協力できるところとはどこ(の政党)とでも協力する」と述べていたり(3) 、拙稿で紹介した通り「参政党支持者は必ずしも保守的ではない」

        参政党の世界観、その機能と「虚構性」 〜神谷宗幣編著 『参政党Q&Aブック 基礎編』を基に〜

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        • 「参政党」の考察
          6本
        • 選挙放浪記
          7本

        記事

          【選挙放浪記】2023年 京都府・八幡市長選 感想

           11月5日告示、11月12日投開票で八幡市長選挙が行われた。  今回の選挙は、現職の堀口文昭市長が自身の体調不良や市長選を前倒ししたい意向等から辞職したことで行われるものであり(1) 、国政与野党が推す候補と維新の候補などが激突することから、維新の動向が焦点となる来年2月の京都市長選の前哨戦として注目されていた(2) 。  本稿では、私が実際に各候補者の街頭演説等を聴きに行き、その時に抱いた感想等をまとめる。   なお後述するように、この選挙は今年4月に行われ、私も見物し

          【選挙放浪記】2023年 京都府・八幡市長選 感想

          【選挙放浪記】2023年 兵庫県・三田市長選 感想

           7月16日告示、7月23日投開票で三田市長選挙が行われた。  今回は市立の三田市民病院の再編統合計画(1)を推進している現職に対し、前明石市長の泉房穂氏が推す候補や共産党が推薦する候補らが計画反対等を掲げて挑む構図となった。  一般的には、市長在任中に「子育て支援政策」や「パワハラ・暴言」等で全国的に有名になった泉氏が、明石市外でどれほどの実力を発揮するのかが非常に注目された選挙である。  本稿では、私が実際に各候補者の街頭演説等を聴きに行き、その時に抱いた感想等をまとめ

          【選挙放浪記】2023年 兵庫県・三田市長選 感想

          参政党の支持者、及び党の今後に関する考察 ~三春充希 『【特集】第26回参院選(2022年)参政党』前半部分と、それへの感想を基に~

           2020年に結党された参政党は、2022年の参院選でいきなり1議席を獲得し政党要件を満たした、稀有な政治団体である。それ以来参政党はにわかに注目を集め、例えばSNSにおいては様々な論評が見られた。曰く「参政党は極右政党である」「参政党は今後躍進する」等々。  しかしこれらはいずれも根拠に乏しく、結党及び国政進出から日が浅く資料に乏しいことも相まって、参政党に関する見解は現在有権者らの間で錯綜しているように見える。  そのような中で発表されたのが、世論調査や選挙分析を手掛け

          参政党の支持者、及び党の今後に関する考察 ~三春充希 『【特集】第26回参院選(2022年)参政党』前半部分と、それへの感想を基に~

          【選挙放浪記】2023年 大阪府・堺市長選挙 感想

           5月21日告示、6月4日投開票で堺市長選挙が行われた。  今回は再選を狙う維新現職の永藤ひでき氏と、連合が推薦し「非維新」諸政党の関係者が応援する、無所属の野村ともあき氏の2度目の戦いとなった。  1ヶ月半前の統一地方選で維新が各地で躍進したとはいえ、維新が勝利したのは前回が初めてというこの選挙で、一騎打ちを制するのはどちらであるかが注目された。  本稿では実際に各候補者の街頭演説等を聴きに行き、その時に抱いた感想等をまとめる。 ●永藤ひでき氏(現・維新) 永藤ひでき氏

          【選挙放浪記】2023年 大阪府・堺市長選挙 感想

          【選挙放浪記】2023年 大阪府・吹田市議会議員選挙 感想

           4月16日告示、4月23日投開票で吹田市議会議員選挙が行われた。  今回は大阪維新の会が現有議席を大きく上回る10名の候補者を擁立した他、れいわ新選組や旧N国党、そして参政党ら新興政党も議席を獲得せんと挑戦してきた。また現職も軒並み立候補した結果、定数36を45名で争う大激戦となった。  おそらく注目した方はほとんどいなかったであろうが、結論から述べると明らかに大きな変化が発生した、非常に興味深い選挙であった。  本稿では実際に各候補者の街頭演説等を聴きに行き、その時に抱

          【選挙放浪記】2023年 大阪府・吹田市議会議員選挙 感想

          【覚書】参政党 2023年統一地方選と2022年参院選での得票数の比較

           本稿では、参政党の2023年統一地方選での得票数が、2022年参院選と比較してどれほど減少(増加)したのかを検討する。  都道府県別のサンプル数に大きな偏りがあるためあまり当てにはならないが、この分析が、参政党はどの都道府県で強いか、またどの候補者や都道府県連が有能か、等の疑問への参考に少しでもなれば幸いである。 ※注意点 ・分析対象は、参院選は比例区での得票、統一地方選は政令市を除く市区議選での得票に限定する。後者については、道府県議選・政令市議選及び町村議選では、参院

          【覚書】参政党 2023年統一地方選と2022年参院選での得票数の比較

          参政党ウォッチャー、大阪を彷徨う ~2023年大阪府知事選 感想~

           3月23日告示、4月9日投開票で大阪府知事選挙が行われた。  今回は大阪において(なぜか)圧倒的な人気を誇る吉村知事が再選を目指して出馬したため、いわば彼の立候補表明の時点で結果が確定した選挙である。  しかし前回と異なり「非維新系」の候補者が共産党系と非共産党系で分裂した上、政治家女子48党(旧N国党)や新党くにもり、そしてあの参政党をも候補者を擁立した結果、無意味に騒がしい選挙となった。  本稿では、実際に各候補者の街頭演説等を聴きに行き、その時に抱いた感想等をまとめ

          参政党ウォッチャー、大阪を彷徨う ~2023年大阪府知事選 感想~

          参政党の規約改正に関する考察 ~「非民主的ボトムアップ」から「非民主的トップダウン」へ~

          はじめに2022年9月16日、参政党が党規約(以下「規約」)を改正したことが確認された。  実は9月11日に臨時党大会が開催されたとの噂があり、その時に党員以外には極秘で改正されたと思われる。  だがその改正内容は、民主政治のアクターたる政党としてあり得ないものであった。  本稿では、規約の改正前後の比較を中心に、この規約が如何に問題を秘めたものであるかを考察する。  なお、改正後の現行規約の条文は下記の通りである。適宜参照されたい。  また改正前の条文については最早イ

          参政党の規約改正に関する考察 ~「非民主的ボトムアップ」から「非民主的トップダウン」へ~

          参政党とエドワークスについての考察  ~国政政党は民間企業から何を得るか~

          はじめに 2022年11月22日、参政党は、国政政党として100%出資する「株式会社エドワークス」 (以下 エドワークス)の設立を発表した。  設立発表のプレスリリースでは、「志をともにする仲間とビジネスができる場として「現代版ビジネス寺子屋」と称したオンラインサロンを運営し、党員の政治活動とビジネス活動を繋ぐ事業展開を行います」と説明している(1) 。  実のところ政党がビジネスに携わるケースは国際的に珍しいわけではないが、多くは文化メディア事業や民生関連事業が中心で、そ

          参政党とエドワークスについての考察  ~国政政党は民間企業から何を得るか~