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「参政党」の考察

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参政党について考察した記事をまとめています。
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記事一覧

参政党の世界観、その機能と「虚構性」 〜神谷宗幣編著 『参政党Q&Aブック 基礎編』を基に〜

参政党の世界観、その機能と「虚構性」 〜神谷宗幣編著 『参政党Q&Aブック 基礎編』を基に〜

1. はじめに 2023年の11月頃、参政党に対し「農業に関するデマを流している」とネット上で激しい批判が起きたことがあった。これは党代表の神谷宗幣の演説で「農薬によってがんが増えている」などの根拠や因果関係が不明な発言があったことに対し、農業関係者が怒りの声を上げ始めたことが発端である(1) 。この時はあまりのバッシングの盛り上がりに、遂には神谷自ら街頭演説で弁明を繰り返す事態にすら陥っていたの

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所属会派から読み解く、参政党地方議員の政治的性格 ~彼らは「非妥協的な極右」なのか~

所属会派から読み解く、参政党地方議員の政治的性格 ~彼らは「非妥協的な極右」なのか~

 本稿は参政党の地方議員の政治的性格を、彼らが議会で所属している会派を手がかりとして考察するものである。

 参政党は一般的に、既存の政党を厳しく批判する姿勢(1)や「極右政党」というイメージ(2)で知られている。
 他方国政政党になって以来メディアや専門家らが参政党を取り上げる機会も増えたが、その中で神谷宗幣代表が政策的に共通する部分があれば「協力できるところとはどこ(の政党)とでも協力する」と

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参政党が失った「追い風」とは 〜三春充希 『【特集】第26回参院選(2022年)参政党』前半部分と、それへの感想を基に〜

参政党が失った「追い風」とは 〜三春充希 『【特集】第26回参院選(2022年)参政党』前半部分と、それへの感想を基に〜

 2020年に結党された参政党は、2022年の参院選でいきなり1議席を獲得し政党要件を満たした、稀有な政治団体である。それ以来参政党はにわかに注目を集め、例えばSNSにおいては様々な論評が見られた。曰く「参政党は極右政党である」「参政党は今後躍進する」等々。
 しかしこれらはいずれも根拠に乏しく、結党及び国政進出から日が浅く資料に乏しいことも相まって、参政党に関する見解は現在有権者らの間で錯綜して

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【覚書】参政党 2023年統一地方選と2022年参院選での得票数の比較

【覚書】参政党 2023年統一地方選と2022年参院選での得票数の比較

 本稿では、参政党の2023年統一地方選での得票数が、2022年参院選と比較してどれほど減少(増加)したのかを検討する。
 都道府県別のサンプル数に大きな偏りがあるためあまり当てにはならないが、この分析が、参政党はどの都道府県で強いか、またどの候補者や都道府県連が有能か、等の疑問への参考に少しでもなれば幸いである。

※注意点
・分析対象は、参院選は比例区での得票、統一地方選は政令市を除く市区議選

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参政党の規約改正に関する考察 ~「非民主的ボトムアップ」から「非民主的トップダウン」へ~

参政党の規約改正に関する考察 ~「非民主的ボトムアップ」から「非民主的トップダウン」へ~

はじめに2022年9月16日、参政党が党規約(以下「規約」)を改正したことが確認された。
 実は9月11日に臨時党大会が開催されたとの噂があり、その時に党員以外には極秘で改正されたと思われる。
 だがその改正内容は、民主政治のアクターたる政党としてあり得ないものであった。

 本稿では、規約の改正前後の比較を中心に、この規約が如何に問題を秘めたものであるかを考察する。

 なお、改正後の現行規約の

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参政党とエドワークスに関する考察 ~国政政党は民間企業から何を得るか~

参政党とエドワークスに関する考察 ~国政政党は民間企業から何を得るか~

はじめに 2022年11月22日、参政党は、国政政党として100%出資する「株式会社エドワークス」 (以下 エドワークス)の設立を発表した。
 設立発表のプレスリリースでは、「志をともにする仲間とビジネスができる場として「現代版ビジネス寺子屋」と称したオンラインサロンを運営し、党員の政治活動とビジネス活動を繋ぐ事業展開を行います」と説明している(1) 。

 実のところ政党がビジネスに携わるケース

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