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Googleの天下が終わる日

"「Google検索は死んでいる」がバズったので「まとも検索」を作った"という記事を見かけたので思わず覗いてしまいました。

まとも検索」の検索画面

何が「まとも」なのかというと、検索結果をオプションで限定し、公的機関や大学、論文などの信頼できる情報元のみヒットさせ、その他のいいかげんな情報が出てこないようにしているという意味だとのことです。

「作ってみた」というのは作者の方の言う通りで、機能としては5種類の検索オプションをプルダウンから選び、それを自動的につけてGoogle検索してくれるだけの機能なのですが、こういった簡単なものであっても思いついたその時に自分で作ってしまえるというのは、やはりITエンジニアの方のスキルはすごいなと感心させられるものです。

サービスの背景には、「Google検索は死んでいる」という話題があります。

調べ物や目的のサイトにたどり着くためにGoogle検索を使用する人は多いはず。独占禁止法違反で提訴されるほど高いシェアを誇っているGoogle検索ですが、「もはやGoogle検索は不真面目で信用できないものになっている」ということを、情報や検索などに関する記事を掲載しているIT系ブログDKBが指摘しています。
(中略)
DKBは「その端的な答えは、Googleの検索結果が明らかに死にかけているからです」と主張。事実に基づく情報に関してはまだまともな結果を出していると認めるものの、レビューやレシピを検索した場合には、「アフィリエイトリンクと広告で埋め尽くされたSEO最適化されたサイト」ばかりがヒットするとDKBは指摘します。

引用元:「Google検索は死んでいる」という指摘

SEOというワードはかなり有名になり、インターネットを使う人では今では知らない人の方が少ないくらいかもしれません。

いかがでしたかブログなどと揶揄されるような、もっぱら広告収益を得ることのみを目的としたいい加減なWebサイトが乱立し、SEOのテクニックを使ってGoogle検索結果の上位を独占してしまっている状況を、上記の記事では「Google検索は死んでいる」と表現しているのです。

家族が病気のとき、医療情報を検索しても、信ぴょう性が薄い広告サイトやまとめサイトとばっかりなので腹が立って作った。 特に子供関係の情報がひどい。

引用元:まとも検索

まとも検索の作者は医療情報や子育ての情報に問題意識を持っているようでした。それ以外の分野でも、例えば三国志神話などについて調べようとすると、Wikipediaが最初に出てくる以外はほぼソシャゲの記事ばかりです。

「不動産 法律」や「仮想通貨 技術」などについて調べようとした場合でも、たまに行政機関のWebページがヒットする以外はほとんど全て、投資勧誘の広告記事ばかりがヒットするわけです。

1.SEOという概念自体が「Googleハック」


物事には愚直に取り組むよりも大きな成果を上げる「ハック」というものが往々にして存在します。

例えばWeb広告をクリックしてもらいたい、どうするか?と考えたときに、考えられるアプローチはいくつかあります。

広告の文章をブラッシュアップするとか、有名人とタイアップして顔写真を使ってファンの方にクリックしてもらおうとするなどのアプローチは、とどのつまり「いかに広告に興味を持ってもらうか?」に主眼を置いた愚直な方法と言えるでしょう。

それに対して、(今ではかなり廃れましたが)スマホの画面の下端をずっとついてくる厄介なバナー追尾型広告などは、「いかに広告に興味を持ってもらうか?」ではなく「いかに間違って広告を踏んでもらうか?」というベクトルの考え方であり、まさに「ハック」というべきアプローチでしょう。

Google検索におけるSEOという概念も、まさに「ハック」の結晶です。

広告の分野では、「興味深い広告を作ること」よりも「広告を間違って踏ませること」の方が大きな成果を上げることができました。

それと同様に、Webサイトのアクセスを伸ばすには、「検索者が満足してくれる良質な情報を提供する」ことよりも、「Googleのクローラーが拾ってくれやすく、Googleのアルゴリズムが評価してくれる形式でキーワードをふんだんに盛り込んだ記事を作る」ことの方が大きな成果が上がったわけです。

魅力あるページ作りや良質な情報を吟味してまとめることには多大な技量やノウハウが必要です。それと比べるとGoogle検索のSEOを「ハック」する知識やノウハウの方が遥かに会得しやすかったわけで、だからこそこれほどにSEOが流行したのです。

「ハック」は、一時的に大きな成果を上げられるものですが、根本的な部分で目的と手段がズレています

良いものをたくさんの人に知ってもらって買ってもらおうというのが広告の基本的な考え方だと思います。それに対して「いかに間違って広告を踏んでもらうか?」などというアプローチは根本的にズレており、「クリック数」というKPIは達成できたとしても、「クリックしたユーザーの満足度」という根本的な部分は全然ダメなのではないでしょうか。

Google検索も同じです。

検索ユーザーがどんな情報を求めているか、という最も大事な基本的な部分をそっちのけにしてGoogleとアフィリエイターでSEOのいたちごっこをしてしまった結果、「Google検索は死んでいる」などと言われるようになってしまったのでしょう。

2.検索エンジンの有用性が下がっているなら、Googleの将来性は怪しくなる


Googleの収益の根本は検索を通じた広告販売であり、「インターネットにおける検索活動」のシェアを高く維持できていることがGoogleがインターネットの世界で天下を取れている唯一無二の理由です。

しかしこのGoogleの天下がずっと続くかといえば、そうではないでしょう。

Google検索はまだまだ根強いですが、先ほどの記事では「2022年2月時点で最も人気のある検索エンジンはソーシャル掲示板サイトのRedditだ」と指摘されており、世代交代は意外と近いのではないかと思わされます。

国内でも、「最近の若者はインスタやメルカリ、YouTubeで検索をする」などの指摘も多くなされ、「ググる」に代わる「タグる」といった言葉も現れてきました

SNSを中心としたWeb2.0の世界は、これまで情報の受け手であったユーザーが情報の発信者へとシフトしたユーザー参加型の世界です。

画像引用:こちらより引用

情報の発信者と受信者の境界があいまいになり、発信した情報はそれぞれの個人に帰属し、さらにそれらの情報がユーザー評価や口コミといった形で評価される世界であり、プラットフォーマーに求められるのは、ユーザー活動の管理と情報の仕分けの部分です。

Google検索は上記の図でどれかというなら、一番オールドなマスメディア型であることはほぼ異論がないところだと思います。

情報の広がり方はいま、マスメディア型からSNSを通じたインフルエンサー型に変化し、「タグる」を基本にしたシミュラークル型に変化しつつあるわけですが、Googleという会社はGoogle+なるサービスが上手くいかなかったことなどもあり、どうにもマスメディア型以外の仕組み作りは不得手なのではないだろうかとも考えられます。

YouTubeという分野では良い勝負をしているようにも思えますが、TikTokなどの新興勢力も台頭してきています。

肝心要のGoogle検索は死んでいるとまでいわれてしまっている状態で、それこそ「ググる」より「タグる」が一般的な世の中になれば、大きなゲームチェンジが発生しそうです。

もちろんググらなければ出てこない情報もあるにはあるのでしょうが、商売に繋がりそうなキーワードは軒並み「タグる」に持っていかれてしまいそうな予感がします。

天下人の交代は意外と近いのかもしれません。


本日は以上です。
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それではまた次回。

2022.2.23 さいとうさん


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