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夏生さえり
2021年8月9日 22:05
(約3ヶ月前の日記です。書きかけだったものを、今さら整えてみました…)1歳半になる姪は、人見知りをしない。先日久しぶりに会った際にも彼女はちっとも恥ずかしがらずにわたしに抱きついてくれて、そのあとで彼女の親であるわたしの姉と義兄と、わたしたち夫婦と、わたしの両親の前で、最近おぼえたという童謡と踊りを披露してくれた。てをたたきましょう。とんとんとん。とんとんとん。ふたつに結った髪の毛はま
2019年5月5日 01:16
父の誕生日プレゼントに買ったシャツは、かなり可愛い。かなり可愛いから、選んだあとで心配になった。一見水玉柄に見えるがよく見れば「魚柄」になっているという遊び心が散りばめられたシャツだったが、「わたしの父」と「遊び心」というのは、少なくともブラジルと日本くらいかけ離れている。やはり無難なチェックにすべきだったのではと逡巡するわたしをよそに、手際よくラッピングされたシャツは大きな袋に入れられて「ありが
2019年5月1日 02:11
遅めの朝食は、母が焼いたホットケーキだった。だらだらと起き上がって食卓につくと、やさしいきつね色に焼きあがったホットケーキに、四隅のとろけたバターがまさに染み込んでいるところで、その特別さも相まって平成最後の日はそわそわと始まった。蜂蜜を何度も往復させながらたっぷりかけて、すでについていたテレビに耳を傾けると、彼らは「平成」を振り返っているところだった。いや、彼らどころじゃない。呆れるほど全ての番
2019年4月30日 12:01
朝日が漏れ入るベッドの上でゆるやかに目を開けると、隣で夫も同じスピードで眠りからさめるところだった。「んん」と声にならない声をあげながら、寝相で乱れた布団をひっぱりあげる。そしてたっぷり5秒ほど置いて、夫は「さみしいな」とちいさく言った。それが今日の夜から3日間のことを指しているのは、すぐにわかった。10連休という最高の休日を余すことなく味わおうとしているわたしと違い、夫は今日から数日は仕