佐伯 要(スポーツライター)

スポーツライター。野球(主に東京六大学リーグ、東都大学リーグ)を中心に取材しています。…

佐伯 要(スポーツライター)

スポーツライター。野球(主に東京六大学リーグ、東都大学リーグ)を中心に取材しています。 「取材の量と原稿の質は比例する」がモットー。 「週刊ベースボール」「大学野球」「ベースボール・クリニック」などの野球専門誌などに執筆中。

最近の記事

インタビューは、ちょっと考え方を変えるだけでうまくなる

インタビューがうまくいかないなあ……と悩んでいる方、いませんか? インタビューがうまくいかない人には、共通の欠点があります。 それは、自分からの視点だけで、相手への「質問」を進めていること。 たとえば一問一答形式の街頭アンケートのように、訊きたいことを訊いているだけの状態です。 もしかして、最初の質問をした後、答えを聞きながら、頭の中ではすでに次の質問のことを考えていたりしませんか? それだと、相手は「この人、話を聴いてくれているのかな?」と不安になってしまいます。 イン

    • 伝わるエントリーシートを書くには?

      「まずは、最も伝えたいコトを冒頭の一文で!」 取材でお邪魔した大学の野球部のマネジャーさんから「400字以内の自己PRは、どう書けばいいですか? 」と『逆取材』を受け、そう答えました。 エントリーシートの自己PR文の構造として、オススメなのは 「はじめ(冒頭の一文)」「なか」「終わり」の3幕構成です。 「文章は起・承・転・結で書け」と言いますよね? でも、エントリーシートや面接は字数(持ち時間)に制限がある。 「起・承・転・結」は、短く伝える場合には不向きです。 「は

      • フットゴルフとの出会い『病が新たな目標を与えてくれた』フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第3回 後編)

        柴田晋太朗さんは幼い頃からサッカーに打ち込み、世界で活躍するプレーヤーになることを目指していました。横浜Fマリノス・プライマリー、FC厚木DREAMSを経て、日大藤沢高校に入学。2年時(2016年)には神奈川県Uー17選抜の主将を務めるほどの選手になっていました。 2016年の夏、100万人に1人という希少がんの骨肉腫が右上腕に発症していることが判明。抗がん剤治療を受け、2016年12月には右上腕骨を人工骨に置換する手術を受けました。 しかし、2017年の9月にはCチームの

        • 特別な卒業式 「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第3回前編)

          柴田晋太朗さんは幼い頃からサッカーに打ち込み、世界で活躍するプレーヤーになることを目指していました。横浜Fマリノス・プライマリー、FC厚木DREAMSを経て、日大藤沢高校に入学。2年時(2016年)には神奈川県Uー17選抜の主将を務めるほどの選手になっていました。 2016年の夏、100万人に1人という希少がんの骨肉腫が右上腕に発症していることが判明。抗がん剤治療を受け、2016年12月には右上腕骨を人工骨に置換する手術を受けました。 しかし、2017年の9月にはCチーム

        インタビューは、ちょっと考え方を変えるだけでうまくなる

          「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第2回 後半)

          フットゴルファー・柴田晋太朗選手は高校2年生だった2016年の夏に骨肉腫が右上腕に発症していることが判明。2016年12月には右上腕骨を人工骨に置換する手術を受けました。 そこから「全国高校サッカー選手権で、ピッチに立つ」ことを目標に、いったんは復帰してピッチに立ちました。ところが――。 Zoomを利用しておこなったインタビューの第2回の後半では、2017年9月10日の「復帰試合」を中心にうかがいました。            (聞き手=スポーツライター 佐伯 要)

          「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第2回 後半)

          「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第2回 前半)

           柴田晋太朗さんは幼い頃からサッカーに打ち込み、世界で活躍するプレーヤーになることを目指していました。横浜Fマリノス・プライマリー、FC厚木DREAMSを経て、日大藤沢高校に入学。2年時(2016年)には神奈川県Uー17選抜の主将を務めるほどの選手になっていました。 しかし、2016年の夏に、100万人に1人という希少がんの骨肉腫が右上腕に発症していることが判明。抗がん剤治療を受け、2016年12月には右上腕骨を人工骨に置換する手術を受けました。 第1回のインタビューでは

          「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第2回 前半)

          「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第1回 )

          柴田晋太朗さんは、幼い頃からサッカーに打ち込み、世界で活躍するプレーヤーになることを目指していました。横浜Fマリノス・プライマリー、FC厚木DREAMSを経て、日大藤沢高校に入学。2年時(2016年)には神奈川県Uー17選抜の主将を務めるほどの選手になっていました。 しかしーー。その夏、100万人に1人という希少がんの骨肉腫が右上腕に発症していることが判明。抗がん剤治療や、右上腕骨を人工骨に置換する手術を受けました。 いったんはサッカーに復帰したものの、2017年8月に肺

          「病が新たな目標を与えてくれた」フットゴルファー柴田晋太朗選手(インタビュー第1回 )

          「やるか、やらないか」。スポーツライターになるのに資格はいらない~スポーツライティング講座第1回講義の実況中継⑥

          ライターになるのに資格はいらない 弁護士とか税理士って、資格がないのに「税理士です」「弁護士です」と名刺を作って名乗ったり、仕事をしたりしたら捕まりますよね。 ライターは「ライターです」と名乗ればライターです。資格は必要ありません。だから、本当にスポーツライターになりたい、なろうと思っている人は、明日でもいいので名刺を作ってください。 これには2つの意味があります。 一つは、名刺本来の目的のため。どこに、いつ、どんなチャンスがあって、取材に行くことになるかわからない。そのた

          「やるか、やらないか」。スポーツライターになるのに資格はいらない~スポーツライティング講座第1回講義の実況中継⑥

          「何を書くか」のために「何を訊くか」。インタビューの初歩の初歩~スポーツライティング講座 第1回講義の実況中継⑤

          では、2人一組になってお互いをインタビューしたうえで、相手を紹介する原稿を書いてもらいます。そのテーマに沿ったインタビューをしてください。 (一人15分のインタビュー実習) はい、終了です。では、元の席に戻ってください。 この実習でのチェックポイントです。 一つ目。今のインタビューの中で、取材相手の表情、身振りや手振りをメモできた人はいますか? これは難しいですよね、いきなりできるようになりません。この講座で今後、インタビューをどんどん積み重ねていく中で、慣れていけば

          「何を書くか」のために「何を訊くか」。インタビューの初歩の初歩~スポーツライティング講座 第1回講義の実況中継⑤

          何を、どう視るか ~スポーツライティング講座 第1回講義の実況中継④

          「何をどう視るか」というのは「観察力」です。 「みる」という字に「視る」を使ったのは、「見る」「観る」「視る」という三段階のうち、もっとも深く見るということを示したかったからです。 「見る」=見る 「観る」=よく見る、見渡す 「視る」=注意して見る 観察力は狭い意味での「取材力」といってもいいかもしれません。 例えば野球の試合では、球場の365度の視界のうちで、自分はどこか一部しか見えない。だから、「今日は何をみよう」と覚悟を決めなければいけない。それが、何を取材するかと

          何を、どう視るか ~スポーツライティング講座 第1回講義の実況中継④

          「誰のために、何を、どう書くか」逆算で考える~スポーツライティング講座第1回講義の実況中継③

          スポーツについて伝えるとき、「誰のために、何を、どう書くか」。これを逆算で考えてください。 ライター講座で学ぼうとする人は、「どう書くか」ばかりにとらわれがちなんですね。 文章力、文章のテクニックでなんとかしようとする。 そうではないのです。それはあくまで最終手段です。 お配りしたレジュメを見てください。一番上の「どう書くか」から、逆算していきます。 「どう書くか」の前に「何を書くか」。「何を書くか」は「何をどう訊くか」で決まり、「何を訊くか」は「何をどう視るか」で決まり

          「誰のために、何を、どう書くか」逆算で考える~スポーツライティング講座第1回講義の実況中継③

          「なぜ伝わらないのか」~スポーツライティング講座 第1回②

          なぜ伝わらないのか? 「知りたいことではないから伝わらない」と先ほど言いました。知りたいことでも伝わらない場合があります。では、なぜ伝わらないのかを考えたいと思います。 例えば、「海」という言葉を聞いてパッと頭に思い浮かぶものをノートに書いてみてください。 (1分後)誰でもいいです。読み上げてください。 青い 砂浜 夏 塩水 波の音 夕日 広い…… 書き手と読者が同じものを思い浮かべるとは限らない 今ここに8人いるのですが、8人ともが思い浮かべた同じ言葉ってないんです

          「なぜ伝わらないのか」~スポーツライティング講座 第1回②

          「伝える」≠「伝わる」       スポーツライティング講座の実況中継 第1回①

          (ライターの佐伯要が主宰する『スポーツライティング講座2020』。2020年2月に開催された、第1回の内容の書き起こしを修正・加筆したものです) まずは自己紹介 ライターの佐伯要と言います。今日からよろしくお願いします。 私は2009年までスポーツメーカーで営業マンとして働いていて、2009年の春に会社を辞めて、その秋にライターとしてデビューしました。 私自身も2008年にこういうライター講座に参加していました。ライターの川端康生さんが湘南ベルマーレが主催するマスコミ塾

          「伝える」≠「伝わる」       スポーツライティング講座の実況中継 第1回①

          スポーツライターに学ぶ取材のしかた

          ※2012年にある大学のスポーツ新聞サークルのメンバーを対象におこなった講義です。 【プロフィル】佐伯 要(さえき かなめ) 1971年3月30日生まれ。和歌山県新宮市出身。小学4年から野球を始める。小5から捕手。兵庫県佐用町立佐用中では軟式野球部に所属。兵庫県立佐用高校では1年夏からベンチ入り。3年夏は県大会2回戦で敗退。 早稲田大学スポーツ科学科へ進学後は草野球サークルに所属。 大学卒業後は、スポーツメーカー(ゴールドウイン)で営業に携わる。 主にテニス/スイムブラン

          スポーツライターに学ぶ取材のしかた

          盗塁は約3秒間のせめぎ合い 野球の観方⑥

          盗塁は野球観戦の醍醐味のひとつですよね。 相手バッテリーに警戒されているなかで、ランナーが盗塁を決めるかどうかが勝敗を左右することもあります。 一塁ランナーがリードをして、二塁に滑りこむまでにかかる時間は3.5秒前後。足の速い選手で3.2秒を切ります。 それに対して、ピッチャーがセットポジションからクイックで投げて、球がキャッチャーミットに届くまでが1.2秒前後。1.2秒を切るピッチャーは「クイックが早い」と言われています。2017年まで横浜DeNAでプレーしていた久保康

          盗塁は約3秒間のせめぎ合い 野球の観方⑥

          なぜバッターは「3割打てば一流」なのか? 野球の観方⑤ ~『スポーツライティング講座』講義録より~

          バッティングは0.2秒後を予測する動作今度はピッチャーとバッターの対決に焦点を当てます。 実は、野球のバッティングっていうのは、ものすごく難しいことなんです。 140㌔の球がピッチャーの手元を離れてからバッターに届くまでどのくらい時間がかかるでしょうか。 ピッチャープレートからホームベースまでの距離は、18.44㍍です。僕の苦手な算数の問題なのですが、140㌔の球だと約0.47秒で到達します。 実際には、ピッチャーはもっと前(ホームベース寄り)で球を離すし、バッターが打つポ

          なぜバッターは「3割打てば一流」なのか? 野球の観方⑤ ~『スポーツライティング講座』講義録より~