野球の観方が変わるーー書籍の仕事まとめ#1 飯塚智広さん著『野球IQを磨け! 勝利に近づく観察眼』
試合の流れは、どうやったら読めるのか?
「NHK高校野球中継の飯塚さんの解説って、見えないところまで見せてくれますよね」
私が㈱ベースボール・マガジン社の編集者さんと交わした、こんな会話がこの本の企画の出発点になりました。
野球には、「流れ」があります。1試合の300球の1球1球で、それが変わっていく。いわば「勝負のシーソー」が動いている。それはなぜなのか? また、どういうポイントを見れば、それがわかるのか。
飯塚さんは、こうおっしゃっています。
<野球の試合の勝ち負けは、「当たり前のことをやった=プラスポイント」の積み上げと、「やるべきことをやらなかった=マイナスポイント」の合計がスコアになって表れる>
「当たり前のこと」が高いレベルでできるチームが、「負けにくいチーム」です。では、当たり前のこととは何か。やってはいけないことは何か。
それを理解するために、まずは、「野球あるある」を知る。「こういう場面では、こういうことが起きるよね」という‟野球あるある”を知っていれば、野球の奥深さ、面白さがわかります。
そのうえで、飯塚さんは「試合が始まる前から、終わったあとまで、どこをどう見ているのか」を伝えてくださっています。
第1章「野球あるあるを知る」、第2章「観察力を高める」を読めば、野球をするとき、あるいは観るときの視野が広がり、解像度が上がる。いろいろなことに気づいて、「流れ」が読めるようになります。
野球IQを高める「脳内ダブルヘッダー」とは?
第3章の「試合から学ぶ」では「脳内ダブルヘッダー」(試合の振り返り)で、指導者と選手の野球観をすり合わせることが推奨されています。
題材になっているのは、2023年夏の甲子園の鳥栖工業対富山商業の試合です。飯塚さんがNHKで解説をされた試合ですが、放送では次の1球までの時間の関係で触れられなかった深い洞察まで、紙上で解説されています。
これがメチャクチャ面白い!
試合の各場面を振り返りながら、なぜこの采配だったのか。そのプレーはなぜ起きたのか。選手はどういう心理だったのかなど、「なるほど!」の連発。「こういうふうに試合を振り返れば、野球IQが高くなるよな~」と感じられると思います。
野球の観方が変わる!
この本は、野球をやっている人(指導者、選手)はもちろん、野球を観るのが好きな人にもおススメです。
私はこの本の取材が終わったとき、「この話、もっと若い頃に聞いていたら……」と思いました。
それくらい、野球の観方が変わります。
野球の奥深さを知り、「流れ」が読めるようになると、試合観戦がもっと楽しくなると思いますよ!
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