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詩 『答 え』

作:悠冴紀

答えなど
はじめからどこにも存在しない

誰かの導き出した明確な答えは
他の誰かにとっての問いとなる

私にも誰にも
答えようがない

その時どきに見出す小刻みの持論なら
すでに幾度となく言葉にしてきた

年月を経て
それら全てが問いに帰する

だから朽ちない
循環により生を得る

終局を迎え 落ちた木の葉は
残像だけをおいて土にかえる

土を踏みしめる誰かが樹を見上げるとき
そこには また新たなる木の葉

ループで 螺旋らせんで ゴールはない

疲れ果てて答えに飢え
終着点を捏造ねつぞうしたならば
循環を断たれた樹木は
ついに枯れるだろう

終わらぬ問いが苦行なら
終わりをもたらす答えは安息

だが皮肉だ
問いが生なら 答えは死

それが真の望みなのか?

安らかな生を切望しながら
答えを探して彷徨う人々

それを知る者がいると信じ
手掛かりを手繰り寄せては
他者に問う

だが その先にあるのは
生か死か

大いなる矛盾と
ぬかるむ大地
無数の木の葉が降り積もる

**********

※2021年8月作。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、「詩『答え』悠冴紀作」と明記するかリンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たります!

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