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「noteに何をどう書けばいいの?」に答えてくれる一冊

以前、「自分のために書けばいい」というテーマでnoteを書きました。

要約すると、

誰のためでもなく、自分自身のために言葉にならない思いを文章にしてみよう。

書くことは自分と対話すること。

自分と対話することで、自分とつながってみよう。

という内容でした。

今回は、この続編にあたる記事になるでしょうか。

「よし、自分のために文章書いてみよう。自分と対話してみよう!」と思ったときに参考になる本を読んだので、今回はその本をご紹介しますね。

エッセイストとして数々の著作を持つ松浦弥太郎さんの『エッセイストのように生きる』(光文社)です。

20代の後半から、僕は長きにわたって自分の内側を見つめ、書きつづけてきました。

自分の好きなものや苦手なものを知り、自分にとって大切なものを知り、自分のしあわせを、豊かさを、生き方をひとつずつ見つけてきた。

そうして「自分の生活」をつくりあげることができたのです。

自分の生活があるから、情報や他人の声に気持ちを乱されることはほとんどありません。

(中略)

こうして自分が自分として生きることができているのは、エッセイを書いてきたから。

「エッセイを書く」という行為を通じて自分自身を知り、心の中に自分の居場所を守りつづけてきたからにほかなりません。

エッセイを書くことに、救われてきたのです。

『エッセイストのように生きる』松浦弥太郎(光文社)

まさに「自分のために書く」を実践してきた方の言葉。説得力があります。

エッセイとはどんな文章なのか

この文中にある「エッセイ」という言葉に気おされて、

「私はエッセイなんて大層なものは書いていない」
「プロのエッセイストを目指しているわけではないし」

と反射的に思ってしまう方もいるかもしれません。

でも、この本の中で松浦さんは、「エッセイとは、パーソナルな心の様子を描いた文章である」と定義しています。

エッセイとは、「うれしい」「悲しい」と感情が揺れたことについて考えをめぐらせ、言葉にして、ストーリーにまとめたものであると。

プロのエッセイストが書く情景描写、心理描写が鮮やかで、誰をも魅了する文章だけがエッセイだとおっしゃっているわけではありません。

パーソナルな心の様子を描いた文章であれば、それはエッセイであり、誰でも書けるものであると。

ただし……ということで、松浦さんはエッセイにはもう1つ大切な定義があると言います。

それは、「エッセイとは『秘密の告白』である」ということ。

「秘密の告白」といっても「じつは僕にはこんな過去があって……」というセルフストーリーをあけすけに話すことではありません(自分のプライベートや過去を切り売りして書くと不用意に自分を傷つけてしまうこともありますし、そうやってエッセイを書くクセがつくと長つづきしないので、おすすめもしません)。

エッセイにおける「秘密」とは、自分が発見した、ものやことに隠されている本質。

ほかの人から借りた感性や意見ではなく、自分の内側から生まれた自分の言葉です。

『エッセイストのように生きる』松浦弥太郎(光文社)

書く人がプロであろうとなかろうと、「秘密の告白」が含まれていれば、それはエッセイである、ということですね。

ここでいう「秘密」とは、自分の視点から世の中を眺めて見つけた発見、現象の新たな解釈などです。

「ああ、前からずっと引っかかっていたあの人のあの言葉、あの態度の裏にはこんな思いが隠れていたのか」

とか、

「多くの人がこう受け止めているあの現象だけど、私はこう受け止めた」

とか。

確かに引き込まれる文章を読んでいるときは「へぇ〜、そんなふうに捉えるんだ」と、筆者独自の視点から眺める世界が新鮮でおもしろくて仕方ないという感じ。

なるほど、そのとき私は筆者の「秘密の告白」を読んでいるのか!

「文章を書く」という命題が頭の片隅にいつもある人は、「あ! これを書こう」とピンとくる瞬間ってあると思います。

それはきっとあなた独自の視点で「秘密」を発見した瞬間なのでしょう。

そしてとても大切なのが、自分の「視点」に決して照れないことです。

「ほかの人と違うけれど間違っているんだろうか」とか「こんなことを言っている人はいないけれど大丈夫だろうか」と気後れする必要はありません。

むしろそれを誇らしく思っていい。

『エッセイストのように生きる』松浦弥太郎(光文社)

自分独自の視点で発見した世の中の「秘密」を、決して照れずに書く。

そうすることで、自分のための文章が書けるようになるんだなと、この本を読んで思いました。

私自身、いろいろな情報をたくさんインプットすることも大事だし、コスパもタイパも生きていくためには大事だし、物事をテキパキ効率的に進められたらどんなにいいだろうか……と日々思いながら過ごしています。

でも、そんな風に毎日を過ごしていると、自分が考えていること、感じていることをつかむのってすごく難しいんですよね。

意図的に静かな時間と空間を用意しないと、心の奥から聞こえるかすかな声を捉えることはできない。

だからでしょうか。

効率的に生産性高く日々を過ごしたいと願いながらも、それに抵抗したがるもう1人の自分がいるんですよね。

今回ご紹介した『エッセイストのように生きる』は、効率主義に抵抗するもう1人の自分にフィットする一冊でした。

生活をスローダウンし、インプットを減らし、自分の内面と向き合う「エッセイストという生き方」に興味のある方はぜひ。

パーソナルな文章を書くためのヒントもたくさん書いてありますよ。

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