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過去問答案

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司法試験や予備試験、各ロースクール入試等の過去問の答案です。 すずきかんたが起案したものです。
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令和5年予備試験論文式試験労働法答案

令和5年予備試験論文式試験労働法答案

第1、設問1
1、A社はBに対して、A社が負担した海外研修費用の返還を請求することができるか。
(1)たしかにBはA社の海外研修制度を利用するにあたって帰国後60か月以内に自己都合でA社を退職する場合は、その費用を返還する旨の誓約書を提出しており、実際にBは帰国後6か月で自己都合によりA社を退職している。そのため上述のA社はBへの請求をすることができるようにも思える。
(2)しかし、そもそも上述の

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令和5年予備試験論文式試験刑事実務基礎科目答案

令和5年予備試験論文式試験刑事実務基礎科目答案

設問1(1)
 Aが所持していたNKドラッグストア会員カードは無記名であり、それがVのものであるかどうかは未確定であるから、会員カード番号を照会することによってVのものであるか否か確認する必要があったから。
設問1(2)
1、窃盗罪の犯人性を認定する上で、犯行時刻、場所から近接した時点、場所において盗品を所持していた者はその入手経路につき合理的弁解をなし得ない限り、窃盗の犯人であると強く推認できる

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令和5年予備試験論文式試験民事実務基礎科目答案

令和5年予備試験論文式試験民事実務基礎科目答案

設問1(1)
 保証契約に基づく保証債務履行請求権
設問1(2)
 被告は、原告に対し、220万円支払え。
設問1(3)
1、Xは、令和4年8月17日、Aに対し、本件車両を代金240万円で売った。
2、同日、XとYは、上記Aの債務をYが保証する旨合意した。
3、上記2の合意は、書面による。
設問1(4)
①不要である。
②分割払特約は抗弁事項であり、これについての期限の利益喪失の合意については再抗

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令和5年予備試験論文式試験商法答案

令和5年予備試験論文式試験商法答案

第1、設問1
1、乙社としては、本件決議の取消訴訟において会社法(以下略)831条1項1号の事由が存在する旨主張すると考えられる。この主張は妥当か。
(1)「株主は、取締役に対し、一定の事項…を株主総会の目的とすることを請求することができる。」(303条1項)。また、株主は自らが提出しようとする議案の要領を株主総会の招集通知(299条)に記載するよう求めることができる(305条1項)。
 本件でD

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令和5年予備試験論文式試験民事訴訟法答案

令和5年予備試験論文式試験民事訴訟法答案

第1、設問1
1、Yは、②訴訟は民事訴訟法(以下略)262条2項の「同一の訴え」に当たる旨主張して、②訴訟は却下を免れない旨主張していると考えられる。このYの主張は妥当か。
(1)262条2項の趣旨は、終局判決後に訴えの取下げをしておきながら、再度「同一の訴え」の提起を許すと、裁判所は二度同じ審理をさせられる事になる上、相手方としても応訴の煩が生じるため、そのような弊害を防止するための再訴禁止とい

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令和5年予備試験論文式試験刑事訴訟法答案

令和5年予備試験論文式試験刑事訴訟法答案

第1、設問1
1、本問で裁判官は、甲を住居侵入、強盗致傷の事実及び本件暴行の事実で勾留することができるか(刑事訴訟法(以下略)207条1項本文)。本件暴行の事実については逮捕が先行しておらず、いわゆる逮捕前置主義に反しないか問題となる。
(1)逮捕前置主義とは、ある被疑事実で被疑者を勾留しようとする場合、当該被疑事実についての逮捕が先行していなければならないとするものである。その根拠は、刑事訴訟法

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令和5年予備試験論文式試験行政法答案

令和5年予備試験論文式試験行政法答案

第1、設問1(1)
1、Cに本件取消訴訟(行政事件訴訟法(以下「行訴法」)3条2項)における原告適格(同法9条)は認められるか。
(1)原告適格は「当該処分…の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」に認められるところ(同法9条1項)、「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を必然的に侵害される者をいう。法律上保護された利益といえるか否かは、当該処分の根

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令和5年予備試験論文式試験憲法答案

令和5年予備試験論文式試験憲法答案

第1、Xの主張
1、Xの本件証言拒絶は憲法(以下略)21条1項及び民事訴訟法197条1項3号により認められるべきである。
(1)21条1項は「表現の自由」を保障しているところ、その意義は、表現の自由の保障が民主政治をする上で必要不可欠で、自己統治に大いに資する点や、表現者の自己実現や自己充足という点にある。そして、「表現」に当たらなくても、特定の事実を伝える報道の自由もまた、その受け手の情報摂取を

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令和5年予備試験論文式試験刑法答案

令和5年予備試験論文式試験刑法答案

第1、設問1
1、本件で甲に監禁罪(刑法(以下略)220条後段)が成立するという主張は以下のようなものと考えられる。
(1)「人を…監禁」するとは、人の身体を間接的に拘束し、その場所的移動を不可能又は著しく困難にすることをいう。
(2)本件で甲は某月10日午後5時5分頃Xが中にいる小屋の唯一の出入口である扉を外側からロープできつく縛り、内側からこれを開けられないようにした。すなわちXはこれによって

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令和5年予備試験論文式試験民法答案

令和5年予備試験論文式試験民法答案

第1、設問1
1、BのAに対する本件請負契約(民法(以下略)632条)に基づく報酬請求権としての250万円支払請求は認められるか。
(1)たしかに本件請負契約は締結されているし、本件損傷により甲は修復不能となっていて(412条の2第1項)、かつこの本件損傷はAが甲を屋外に放置するといった不適切な方法で保管したことによるもので、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったと

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令和元年(平成31年)予備試験論文式試験民法答案

令和元年(平成31年)予備試験論文式試験民法答案

第1、設問1
1、DのCに対する所有権(民法(以下略)206条)に基づく返還請求権としての本件建物収去本件土地明渡請求は認められるか。
(1)たしかにCは本件建物を所有して本件土地を占有している。
(2)では、Dに本件土地の所有権は認められるか。
ア、たしかにCはAの生前同人から本件土地の贈与(549条)をなされており、これをもってCが本件土地の所有権を取得したといえる。
 しかし、DはAを相続し

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令和4年予備試験論文式試験刑事実務基礎科目答案

令和4年予備試験論文式試験刑事実務基礎科目答案

設問1(1)
1、証拠①のVの供述及び証拠②のロープ、証拠③の診断書からして、本件被告事件が発生したことは認められる。
2、証拠④より、V方付近50メートルの防犯カメラに、車両番号『あ8910』の黒色ワンボックスカーが止まり、そこから男が降りて南方に歩くところと、その10分後くらいに、同じ男が走って来るところが記録されていた。その防犯カメラの撮影時間が本件被告事件の犯行開始時刻である3月9日午後1

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令和4年司法試験労働法第2問答案

令和4年司法試験労働法第2問答案

第1、設問1
1、X1はY社に対して基本給月額2か月分の賞与の支払を請求することができるか。
(1)X1は上述の主張を、30年前になされたY社とA労働組合との書面化されていない合意及び令和2年改定前のY社正社員就業規則に基づいてなすと考えられる。
 この主張は妥当か。
ア、たしかに上述のY社とA労組間の合意は書面化されていない30年も前のもので、労働組合法(以下「労組法」)14条の労働協約としては

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平成30年司法試験労働法第2問答案

平成30年司法試験労働法第2問答案

第1、設問1
1、Y社がCらへ懲戒処分を行うことは不当労働行為(労働組合法(以下略)7条)に当たるとのCらの主張は妥当か。
(1)「労働組合の正当な行為をしたことの故をもって…これに対して不利益な取扱いをする」場合には、不利益取扱いとしての不当労働行為となる(7条1号前段)。
(2)ア、仮にY社がCらを懲戒処分とすれば「不利益な取扱い」となることは明らかである。
イ、Y社はCらのビラ配布等の行為を

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