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    CDアルバムの感想文です。

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    観劇記録です。感激を忘れないうちに拙い感想を綴っておきます。 もともとTumblrで書いていたものを引越ししたものです。引越しの際に、2021年の追記を一部に入れてあります。

最近の記事

Apres Faure / Brad Mehldau

先般取り上げたのと同じ企画で今回のはフォーレ。 …と言いつつ、正直フォーレはレクイエムと亡き王女のためのパヴァーヌが強烈過ぎてあとがあまり詳しくない。果たしてどうだか… で、思うこと。 やはり、ジャズの人の中でもクラシックの素養や、スタートがクラシックだった人だと、それぞれのエッセンスがブレンドされてクラシック一辺倒の人よりも味わいが出る。 その意味で、フォーレの原曲の録音はさすがだった。何度聞いてもうっとりする。 だが、バッハと違うのはフォーレの時期のクラシックはすでに

    • 2024.06.02 六月大歌舞伎 夜の部

      萬屋の襲名記念興行、つうことで大々的に売り出しているけど、実は私は見たかったのはそこではなくてw。夜の部の1幕目、南総里見八犬伝、でした。 つっても、自分の不勉強と教養のなさを曝け出してしまうが、里見八犬伝については、不思議な勾玉を持った8人の若者がお家再興のために揃い踏みする、って部分で、かつ、かつての角川映画(チャンリンシャン主演)でしか、見てない、という不届きものです。 (さすがに滝沢馬琴が著者であることは知っておる) ただ、今回の里見八犬伝はまさにその勇士集結のシー

      • After Bach, After Bach Ⅱ / Brad Mehldau

        現代ジャズピアニストの中でも売れてるお一人であるブラッド・メルドーの企画もの。 バッハのピアノ曲をモチーフにしたオリジナル曲を、インスパイア元のバッハの曲に続けて収録、というもの。 取り上げてるのは平均律などなど。 まず、以前にも別の人ので聞いたけど、ジャズの人が弾くクラシックはやはり表現が豊か。別にクラシックピアノの人をdisるわけじゃないけど、とかくテクニックを見せたがる人がクラシックには結構いる中で、こういう柔らかい感情表現はとても新鮮。 そして、インスパイアされた自

        • 1978 / Jose James

          R&Bと融合させたコンテンポラリジャズボーカリスト、ホセ・ジェイムスの4年ぶりの新作。 彼の生年をタイトルにして、彼にとってのスターだったマーヴィン・ゲイ、プリンス、スティービー・ワンダーなど、70年代後期から80年代のソウルミュージックへのオマージュを9曲に込めたとのこと。 彼はこのアルバムのようなコンテンポラリーも歌えば、ビリー・ホリディのカヴァーなどmodern jazzシーンもこなし、器用な人、と印象だけど、器用なだけじゃなくて低音部で囁くような、包み込むような歌い

        Apres Faure / Brad Mehldau

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          2024.03.13 スーパー歌舞伎 ヤマトタケル 團子Vers

          2月には隼人Versを堪能しましたが、今回は若干二十歳にして澤瀉屋を一身に背負うことになった團子ちゃんVers。 お客様は温かい。満席だった。 で、肝心のお芝居だが… そりゃあ、貫禄では間違いなく隼人。ここ数年見てても、今回のヤマトタケル他、水滸伝、オグリでの堂々の主役たる名演もそうだし、マハーバーラタ助演も主演の菊之助の存在感を凌駕していた。 だが、團子ちゃんも負けてない! 明治座歌舞伎・平知徳講演中に事件により途中降板した当代猿之助の代役を、わずか1日の稽古で堂々とやっ

          2024.03.13 スーパー歌舞伎 ヤマトタケル 團子Vers

          2024.02.18 スーパー歌舞伎 ヤマトタケル 隼人Vers

          1986年、2代目猿翁プロデュースでスタートしたスーパー歌舞伎第1作目にして最高傑作のヤマトタケル。こちら、86年以来再演を重ねてきたが、今回は2013年当代猿之助Versから実に11年ぶりの再演、しかも、ほぼ初演と同じ演出、かつ、キャストを大幅に若返らせての再演とのこと。 ストーリーについては、古事記にある、ヤマトタケル伝説にほぼ忠実、かつ、あまりにも有名なので、省略。 なんといっても!隼人のヤマトタケルの存在感とスケールの大きな演技が抜群によい。昨年の水滸伝、マハーバー

          2024.02.18 スーパー歌舞伎 ヤマトタケル 隼人Vers

          Jazz Hands / Bob James

          まず一言。 おじいちゃん元気だなぁ、お疲れ様でございます! これだなw 御年84歳。まだ現役ミュージシャンとして新作をリリースとは、いや本当に大したもんです。しかも、ただただ昔の名前で生きてるだけではなく、新曲10曲ちゃんと揃えてくるんだからただただ尊敬しかない。 コンテンポラリージャズの第一人者として、一言で言えば清涼飲料水のような、耳馴染みの良い、スッキリしたサウンドで最初から最後まで気持ちよく聞こえた。クラブシーンとのコラボも果敢にこなして、贅沢にゴージャスに聞かせるの

          Jazz Hands / Bob James

          2023.08.24 八月大歌舞伎夜の部 新・水滸伝

          いやーもう、何がいいって、隼人!舞台映えするイケメンには相応しいヒーロー役はもうそれを見ているだけで釘付けになってしまう。 水滸伝。 スーパー歌舞伎、実に16年ぶりの再演、とか。不祥事がなければ主演は猿之助だったんだろうけど、これは断然隼人がやるべき役で、替天行道の信念のもと、義賊梁山泊のカリスマに戴かれるその様はこれ以上ないくらい絵になる。 周りを固める役者もさすがだったんだけど、個人的には團子ちゃん! 明治座で急な代役をやってから大きく飛躍した。隼人の身代わりとなって忠

          2023.08.24 八月大歌舞伎夜の部 新・水滸伝

          Dream Box / Pat Metheny

          まるでコロナによる混乱を予知したかのようなFromThis Place、ライターに徹して一筋の光を求める内省的なリアリティを追いかけたRoad To The Sun、そして新進気鋭のアーティストとコラボして、代表曲と新曲のライブ音源Side Eye NYCとリリースを続けてきたあとの今作はギターソロ。 静かな夜に、1人語りをするかのような、密やかな曲がずっと続く今作は、同じ内省的でもFromThis Place的な憂いはあまり感じられず、寝落ちする前のポエム集って言った感じ。

          Dream Box / Pat Metheny

          2023.05.26 團菊祭五月大歌舞伎昼の部

          壽曽我対面、若き日の信長、とまあ演目があるけど、今回の昼の部の目玉はなんといっても、眞秀たんの初舞台でしょう。本名でお披露目から5年が経ち、満を持しての初代尾上眞秀の初舞台。 さすがでしたね。寺嶋しのぶのステージママゴンぶりは気に食わないけれど、菊五郎、團十郎を向こうに回して度胸満点、かつ、踊りも所作も見せ場たっぷりの大物ぶりを披露してくれた。菊之助の息子で、ほぼ年が同じ丑之助とは雲泥の差。将来性で言えば真っ直ぐ育てば断然こちらでしょう。菊五郎もおそらくこちらに名跡を継がせ

          2023.05.26 團菊祭五月大歌舞伎昼の部

          2023.4.5 鳳凰祭四月大歌舞伎昼の部 新・陰陽師 滝夜叉姫

          10年前の歌舞伎座柿落とし公演において、唯一の新作として上演された陰陽師は本当に衝撃的だった。何もかもが素晴らしくて、きのはちさんの音楽に惚れ込んだ私はそれをそのままアレンジして自分のコンクールでも演奏してEF首都圏大会2位獲得したのもいい思い出だった。 そこから10年後の今年、花形役者で再び陰陽師を上演と知り、そして巳之助丈が物語の鍵を握る平将門を演じる時たらこれは見に行かないてはないでしょう、ということで行きました。 いい意味でもそうでない意味でも自分の期待と思い込み

          2023.4.5 鳳凰祭四月大歌舞伎昼の部 新・陰陽師 滝夜叉姫

          2023.03.15 三月大歌舞伎第一部 花の御所始末

          歴史上の人物を扱うドラマを作る時に、史実とは異なることをストーリーに大きく盛り込むのは今も昔も変わらない。大河ドラマも酷いもんだし。この花の御所始末のベースとなった、シェークスピアのリチャード3世もしかり。実像とは大きく異なる部分も多数ある。それでもここまで生き残ってるのは、まあ、作家の力量ってことだろうけど、それによって大きく誤解されてることを扱われた当人はどう思ってんだろか。 足利義教についても、恐怖政治というイメージが強すぎて、実際に行った治政を整理すると、のちの信長

          2023.03.15 三月大歌舞伎第一部 花の御所始末

          世界が違って見える日 / 中島みゆき

          泣いた。マジで。 2000年初頭から、ラストツアーの「結果オーライ」がスタートしたものの、24公演中8公演終わったところでコロナに巻き込まれてツアー中止(ギリギリ参加できた!) その後、音沙汰が全く途切れてしまい、このままひっそり引退説まで飛び出したりしていたけど、昨年末、年明けにアルバムをリリース予定であることを本人から発表され、満を持して世に放たれたのが今作。 ミュージシャンが全員日本人!というのはいつぶりだろうか。 記憶にあるところだと、89年の「夜を往け」以来では

          世界が違って見える日 / 中島みゆき

          2022.02.07 二月大歌舞伎第一部 三人吉三巴白浪

          コロナ前にも行っているのでその時の記録をばまずはじめに。 で、今回。 コロナ中ということもあってちょっと演出が変わっていた。 一番変わってたのは大詰の火の見櫓の幕での人形振りが省略されてたこと。これはショック大。 清元に合わせた人形振りは最大の見せ場の一つだったのに…。 それと、巳之助丈の見せ場である、恋人が実は双子の妹であることを知って畜生道に落ちてしまったシーン。ここもカットされてた。 まあ、このご時世だから仕方ないか。 ただ。それを補って余りあるもの。 それは、今回

          2022.02.07 二月大歌舞伎第一部 三人吉三巴白浪

          1月18日 成田山参詣記

          お札を納めて新たに厄災消除の御護摩祈祷をしてもらいました。

          1月18日 成田山参詣記

          2023.01.06 壽初春歌舞伎夜の部 十六夜清心

          河竹黙阿弥の世話者と言ったらまあつまんないわけないじゃん、ってわけで。今年の正月歌舞伎はこちらを。まあ、女男白浪もそうなんだけど、そっちはもう何度か観ているから、初見のこちらで。 いやあ、もう、これを見ると、大映ドラマも真っ青な大ドンデン返しなジェットコートスターストーリー。若い男女のカップル、だけど、女は乗り気、男はなんとなく冷めてるってカップルが、心中を図るものの、2人とも死にきれず別々に引き揚げられ、廓から逃げてきていた女は、引き揚げた常連客が身請けして妾に、漁師の子

          2023.01.06 壽初春歌舞伎夜の部 十六夜清心