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2023.03.15 三月大歌舞伎第一部 花の御所始末

歴史上の人物を扱うドラマを作る時に、史実とは異なることをストーリーに大きく盛り込むのは今も昔も変わらない。大河ドラマも酷いもんだし。この花の御所始末のベースとなった、シェークスピアのリチャード3世もしかり。実像とは大きく異なる部分も多数ある。それでもここまで生き残ってるのは、まあ、作家の力量ってことだろうけど、それによって大きく誤解されてることを扱われた当人はどう思ってんだろか。

足利義教についても、恐怖政治というイメージが強すぎて、実際に行った治政を整理すると、のちの信長や秀吉、家康がやろうとしたことを先駆的に行ってた節もあり、足利家の中では能力は高い。だがいかんせん家臣を徹底的に押さえつけ、かつ、短気な性格を物語る数多なエピソードで低く評価されるだけでなく、暴君とも言われてしまう始末。
その彼の生涯をシェークスピアの戯曲に当てはめたのが今作。40年ぶりの再演というが…。

あのさ、はっきりいうけど、この戯曲を書いた人は頭悪いわ。恐怖政治をした人っていうイメージだけで当て嵌めただけで、まるで史実を無視してる。合ってるのは最後赤松に討ち取られた事実だけで、将軍になった経緯や、その血筋の正当性など、まるで無視して無理やり当て込んだだけ。これならば、わざわざ足利家の話にしなくても、例えば野田歌舞伎の愛陀姫のように、当て字の仮名を使ったりして話を展開した方がよほど入り込める。
なまじ史実が有名すぎるだけに、翻案の無理を感じずにいられない残念な印象が残った。役者が良かったし、かつ、劇伴音楽も良かっただけになおのこと残念。

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