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2023.01.06 壽初春歌舞伎夜の部 十六夜清心


河竹黙阿弥の世話者と言ったらまあつまんないわけないじゃん、ってわけで。今年の正月歌舞伎はこちらを。まあ、女男白浪もそうなんだけど、そっちはもう何度か観ているから、初見のこちらで。

いやあ、もう、これを見ると、大映ドラマも真っ青な大ドンデン返しなジェットコートスターストーリー。若い男女のカップル、だけど、女は乗り気、男はなんとなく冷めてるってカップルが、心中を図るものの、2人とも死にきれず別々に引き揚げられ、廓から逃げてきていた女は、引き揚げた常連客が身請けして妾に、漁師の子で女犯を問われ寺から追放された男は死にきれず泳いでしまって陸に上がったら、スリついでに人殺しして悪の道に走る。
女は愛する男は死んだものと思い込み、妾に拾ってくれたおっさんの寛大さを持って出家して、供養の旅に出たところで盗賊一家に誘拐されて女盗賊に…そしたら悪の道に走っていたかつての男と再会して、2人して悪事を重ね、かつて自分を身請けした旦那の家に恐喝しにいったら、旦那は男が寺から追放されるきっかけになった悪事の首謀者で、しかも男の生き別れの兄貴だった、そして、旦那の屋敷の下男を装っていた男が実は幕府の役人で、悪人3人を捉えるべく討ち入りに入ったところで終わり…。
いやあ、もう、なんだそりゃ!なんだけど。この大映ドラマも真っ青なストーリーは実にわかりやすくて、江戸時代当時から日本人の本質って変わらない部分があるんだなぁ、っていう点でも大変面白かったです。

初役だという幸四郎と七之助。脂の乗り切った花形役者2人の、清純なカップルからチンピラカップルへの変貌ぶりが見事すぎる。まあ、それでも幸四郎はやっぱ幸四郎なんだけど、七之助の純粋無垢な、直向きな女から、悪のためならなんでもするっていうハスっぱな女への代わりぶり。狐狸狐狸ばなしの時にもおもしろくみせてくれたけど、さらに磨きがかかってた。やっぱり、何はともあれ中村屋は本当に好きです。はい。

そうそう。
正月歌舞伎は何度か行っているものの、松の内に、幕見席以外で見るのは久しぶり?もしかして初めてかも?去年は鏡開きあとだったし…その前は浅草だし。
なので、まだおめでたいお飾りもたくさん残っていて、それを見るだけでも嬉しかった。

いまどきここまでご立派な鏡餅は見られないよね。

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