見出し画像

2023.4.5 鳳凰祭四月大歌舞伎昼の部 新・陰陽師 滝夜叉姫

10年前の歌舞伎座柿落とし公演において、唯一の新作として上演された陰陽師は本当に衝撃的だった。何もかもが素晴らしくて、きのはちさんの音楽に惚れ込んだ私はそれをそのままアレンジして自分のコンクールでも演奏してEF首都圏大会2位獲得したのもいい思い出だった。

そこから10年後の今年、花形役者で再び陰陽師を上演と知り、そして巳之助丈が物語の鍵を握る平将門を演じる時たらこれは見に行かないてはないでしょう、ということで行きました。

いい意味でもそうでない意味でも自分の期待と思い込みを裏切る作品。
いい意味での裏切りという点では、10年前のスペクタクル現代歌舞伎の流れとは真逆の「あえて古典歌舞伎のテイストで」という猿之助のこだわり。これがいいように作用していたところと、そうでないところがあった。
正確に言えば、いいように作用しているシーンが大半。古典の作法に則っていかにも歌舞伎らしく見せるところは、花形の役者が演じてこそ意義深いものでおどろおどろしい演目、ストーリーでありながらも、そこは優雅に、シックに見せてくれるシーンも多数。
ただ、大詰め1幕目の竹本だけはとつぜん江戸時代風俗に則った演出で、ないほうがよかった。ここだけが全体の流れと大きく演出も異なってて浮きすぎ。チグハグなモノになってしまっていた。これさえなければ、こちらの新作も100点満点なのに、このシーンのおかげで10年前の初演に軍配を上げざるを得ない。猿之助、やりたいことを盛り込むのはいいけど、流れを読んで脚本書きなさい!といいたいw

巳之助丈の平将門は熱演。迫力満点で素晴らしかった。10年前の初演時の海老蔵=当代團十郎にも負けてない!!!
安倍晴明隼人も見栄えがする。
そして、一番よかったのは右近。女型のイメージ強いけど、興世王のような悪役もめっちゃくちゃうまいし、何より右近はイケメンだわ。うん。これから先が楽しみ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?