鵜川 龍史

小説家(主にSF・ファンタジー)。日本SF作家クラブ会員。脚本家。教員。「パペットと生…

鵜川 龍史

小説家(主にSF・ファンタジー)。日本SF作家クラブ会員。脚本家。教員。「パペットと生ペット」で第7回「星新一賞」優秀賞、「時の器」で第8回「星新一賞」優秀賞受賞。ゲンロンSF創作講座2期受講生。第1回ブンゲイファイトクラブ一回戦進出。コント・落語・作詞作曲はライフワーク。

マガジン

  • ショートショートコントシリーズ

    鵜川龍史のショートショートコント集。

  • ショートショートシリーズ

    鵜川龍史のショートショート集。

  • 執筆レビューまとめ

    執筆したレビュー記事のまとめ

  • ボイスドラマ|自作自演|音声配信

    ボイスドラマやコントの自作自演。Spotify埋め込み。脚本はカクヨムにもアップしてあります。https://kakuyomu.jp/users/julie_hanekawa

  • 「人のふんどし」の微調整

    コロナ禍の休校期間中、古今東西の〈名言〉に新しい光を当てて、生徒たちへ届けました。「ふんどし」の説明は、最初の記事に。→「人のふんどしで相撲を取らせる」https://note.com/ryuji_u/n/nc672d4212f7b

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プロフィールと作品リンク

ここは小説家 鵜川龍史のnoteです。 まずは、プロフィールをざっくりと。 このページでは、Webで閲覧できる作品などのリンクも紹介します。 小説・創作~寄稿・掲載等◎Life is Novel ◎2022年 ◆『Sci-Fire 2022』 「フリー素材ヨコシマ」で参加 ◆『貝楼諸島より』 「枯れ井戸の星」を寄稿(リンク先でも読めます) ◆『たまゆらのこえ: 超短編小説アンソロジーvol.2』 「骨の音」「Light My Fire」「緑化世界」「ムービー

    • 【ショートコント】ペットショップ

      〔登場人物〕 店員:ペットショップの店員 客:ペットショップの客 客:犬が欲しいんですけど。 店員:ワンちゃんをご希望ですね。どのような犬種がいいとか、ありますか? 客:え? 初めに犬種を聞くんですか? 店員:あ、もしかして、もう気に入った子、いました? 客:は? 見た目で何がわかるっていうんですか。 店員:あ……ごめんなさい。ええと、何か選ぶ基準とか、あったりします? 客:基準? もしかして、目的を聞いてます? 店員:え? 客:(おもむろに声を張って)だから、犬を飼う目的

      • 【ショートコント】恋のハルシネーション

        〔登場人物〕 男・女:初デートのカップル AI:音声チャット可能なAIアプリケーション 男:あれ、おかしいな。 女:お店、閉まってるの? もう七時だよ。 男:ちょっと待って、今、調べる。……今日、定休日だ。 女:えー。店は任せろって言うから。 男:だよね。ごめん。ほんと、ごめん。ちょっと待っててくれる。 (スマホを手に、女から離れる。スマホに向かって声を潜めて話し掛ける) 男:どうなってんだよ。 AI:大変申し訳ありません。最新の情報に更新して、再度、店舗を検索します。 男

        • 【ショートコント】デートアップデート

          〔登場人物〕 A:アン R:ロブ 恋人同士の二人。 R:アンちゃん。俺の話、聞いてる? A:(ぼんやりと)聞いてるよー。 R:嘘だ。今、上の空だったでしょ。何考えてたの。 A:何も。 R:何も考えてないとか、不可能でしょ。絶対、何か考えてたはずだよ! A:(苛立ち混じりに)本当に、マジで、全く、何一つ、考えてなかった! ほらー。邪魔するから止まっちゃったよ。 R:あ! もしかして、アップデート、今しようとしてる? A:そうだよ。もうすぐでダウンロード、終わるとこだったのに。

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        記事

          【ショートコント】リソース不足

          〔登場人物〕 生徒:集中できない。 先生:集中させたい。 生徒:集中できないよー。 先生:どうしたっていうんだ? 生徒:先生。さっきから、全然、授業に集中できないんです。 先生:いつもは集中できているのに、どうしたっていうんだ。 生徒:黒板を見てください。前の時間の世界史の板書が、うっすら残ってるんです。 先生:それは大変だ! 黒板はきれいに消さなくてはならないというのに!  (先生が黒板を消す)これで、私の授業に集中できるな。 生徒:うわー。集中できないー。集中できないよ

          【ショートコント】リソース不足

          【ショートコント】縛りプレイ

          〔登場人物〕 光:ゆるぎない強キャラ。 玲央:攻撃的なネガティブ。 久志:穏やかなつっこみ。 (高三、二学期の修了式後。レストランで) 玲央:光、支払い、よろしくなー。 光:僕、お金を持ち歩くのはやめたんだ。 玲央:なんでだよ! お前の金をあてにして、いい店で打ち上げにしてるのに! 久志:玲央くんはいつもながら、あからさまだなー。たかりだよー、それ。 玲央:一学期は、全額出してくれただろ! 久志:去年もずっとそうだったよねー。てゆーか、それが目当てで光くんのこと誘ってるんだ

          【ショートコント】縛りプレイ

          【ショートコント】不完全な入れ替わり

          〔登場人物〕 姉:高一。二段ベッドの上で寝ている。 弟:中一。二段ベッドの下で寝ている。 姉:(寝起き。跳ね起きる)うわーっ! ……夢か。変な夢だったな。チョークの代わりにうどん? なんで、黒板にうどん貼ってんの? まあ、線が太くて見やすかったけど。 弟:(二段ベッドの下から、あくびまじりに)なんだよ、ねえちゃん。朝っぱらからでかい声出して。 姉:変な夢見ちゃってさ。チョークがうどんなんだよね。 弟:意味不明。それより、風邪ひいた? 声おかしいよ。 姉:(咳払いをする)ほん

          【ショートコント】不完全な入れ替わり

          【ショートコント】設定ミス

          〔登場人物〕 A・B:高校二年生の二人。高一からの友人。 A:これは、完全に設定をミスったな。 B:何、どうした? ゲームでも作ってんの? A:ちがうちがう。なんで昼休みに俺一人でデバッグしてんだよ。 B:それもそうか。何の設定? A:みんな、俺のこと、完全に勘違いしてるみたいだ。 B:ああ、キャラ設定のこと? 確かに、お前、進級早々、盛大にやらかしたもんな。 A:何の話? B:始業式の翌日のホームルームで、お前、「一年の時は僕がおとなしいのをいいことに、いいだけ好き勝手さ

          【ショートコント】設定ミス

          【ショートコント】父を訪ねて四十年

          〔登場人物〕 息子:はるばる父親を訪ねてきた。 学生:普通の高校生。 息子:父さん……。 学生:え、誰? 僕? 息子:やっと見つけた! 父さんだ! 学生:いや、人違いです。 息子:父さん! 俺だって! 学生:(冷静に)いや、みんな見てるんで。やめてもらっていいですか。 息子:どうしてそんなこと言うんだよ! 学生:あなたのお父さんではないので。 息子:間違いなく父さんだっていうのに! 学生:僕、制服着てるの、分かります? 高校生なんですよ。 息子:見ればわかるよ! 学生:あな

          【ショートコント】父を訪ねて四十年

          『Sci-Fire 2023』編集後記のような何か

           同人誌というものの存在を知ったのは、いつだっただろう。  そう考えてみて蘇ってくるのは、高校時代に毎月読んでいた『ファンロード』という雑誌の記憶だ。読者からの投稿で溢れかえる誌面を楽しみつつ、あるページを読む時だけ、心の中にもやもやが湧き上がってきた。  同人募集のページだ。  その頃の僕は、『ドラゴンランス』に憧れて、ハイファンタジーの小説を書いていた。中学時代のTRPG仲間には、僕に付き合ってファンタジー小説を書いていた友達もいたが、高校に入ると交流はなくなった。今のよ

          『Sci-Fire 2023』編集後記のような何か

          文学フリマ東京37 参戦記 with Sci-Fire2023

           去る11月11日、文学フリマ東京37に『Sci-Fire2023』を携えて参戦してきました!  こういったイベントに参加することが生まれて初めてで、今まで参加してこなかったことを激しく後悔するぐらい、とても楽しかったです。  『Sci-Fire2023』の編集のことや、購入させていただいた本のことなど、色々書きたいことはありますが、今回は文学フリマ自体の感想を。  何より驚いたのは、東京流通センターの第一展示場・第二展示場(1・2階)を埋めつくす、出店者の多さです。公式サ

          文学フリマ東京37 参戦記 with Sci-Fire2023

          タイムマシン渋滞【BFC5】【1次予選通過作】

           タイムマシン専用道路クロノウェイは、ウェイというのは名ばかりの、完全な闇に覆われた空間だった。まっすぐ進んでいるのか曲がっているのかすら分からない。スマホにインストールしたナビアプリ以外に、目的地への接近を信じさせてくれるものは何もない。 「まだ着かないの?」助手席の彼女の表情も分からない。スマホのライトを向けるわけにもいかない。やっと漕ぎつけた三度目のデート。今日こそはきめようと、貯金を切り崩して、レンタタイムマシンを借りたのだ。 「もうすぐっぽいよ。ほら」見えないのに、

          タイムマシン渋滞【BFC5】【1次予選通過作】

          【ショートショート】バナナカーブ

           通販サイトでカーブミラーを買ったら、バナナが届いた。  カーブミラーを頼んだのだから、相当の大きさの段ボールで届くと思っていたら、アプリから「配達が完了しました」と通知が来た。大きすぎて、玄関前に放置されたのだろうかと思って外に出てみるが、何も見当たらない。ポストを開けると、メール便が届いていた。  リビングで中を改めると、紛うかたなきバナナだった。それも、真っ黒に熟した。配達人がつぶさなかったのが不思議なくらいやわらかく、甘ったるい南国の香りがリビングの隅々まで染み渡るよ

          【ショートショート】バナナカーブ

          【ショートショート】フライング・クロス・スナイピング

           崖から半身を乗り出して下を見る。本当に、ここを下って行ったっていうのか。  情報を寄こしたKは、すねの傷が普通の悪人とは二桁違う。その分、扱っている情報の深さも、警察の小間使いをやっているような連中とはレベルが違う。  それでも、Kを信用しきったことはない。情報屋は裏切りと信用を自在にコントロールできなくてはならない。情報を提供して誰かの信用を得るということは、情報元からは不信の目で見られるということだ。だから、ギブアンドテイクのバランスを考えて情報を出し入れしている。  

          【ショートショート】フライング・クロス・スナイピング

          【ショートショート】カラーコンタクトマン

          「彼って、カラーコンタクトマンなのよね」  観覧車に乗っている時、彼女が突然そう言った。しみじみとした、感慨深げな言葉に、僕はどう返すのが正解だったのだろう。  そもそも、二度目のデートで観覧車になんか、乗るんじゃなかった。僕はあまり口の達者な方じゃない。ましてや、彼女と狭い空間で二人きり。緊張のあまり、何を話せばいいかわからなくなってしまった。それに加えて、自分が高所恐怖症だったということに、ゴンドラに片足を掛けた瞬間、気が付いた。散々並んだ後で、やっぱりやめようなんて言え

          【ショートショート】カラーコンタクトマン

          【ショートショート】スクワット委員

           担任の先生は、黒板に必要な委員を書き出すと、そのまま教室の後ろに下がった。生徒の何人かが口を開き、そのうち何人かが立ち上がり、しばらく話し合って、委員長と副委員長とが決まった。 「じゃあ、残りの委員、順番に決めていきまーす」  委員長は僕の後ろの席、はきはきして賢そうな女子だ。副委員長はメガネの男子。二人の仕切りで、話し合いはどんどん進んでいく。誰も余計な発言はしない。話し合いを邪魔することもない。  前の中学校とは全然違う。二年生に進級するタイミングでの転校だから、それほ

          【ショートショート】スクワット委員