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「人のふんどし」の微調整

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コロナ禍の休校期間中、古今東西の〈名言〉に新しい光を当てて、生徒たちへ届けました。「ふんどし」の説明は、最初の記事に。→「人のふんどしで相撲を取らせる」https://note.… もっと読む
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記事一覧

「それはやはりばかげたことだ」

何かばかげたことを五千万人が言ったとしても、 それはやはりばかげたことだ。 ――ウィリアム・サマセット・モーム (イギリスの小説家・劇作家) 世の中では、いろいろとおかしなことが起こっています。 ところが、何がおかしいのか、という話になると、なぜか大論争になる。 明らかにおかしい、と思えるようなことでも、必ず支持する人たちがいます。明らかに正しい、と思えるようなことでも、必ず反論する人たちがいます。 知識も経験もない子どもだから……と言いたいところですが、残念ながら、たい

「自分の持っているものの本当の価値を知るために」

自分の持っているものが何なのか、自分でもわからないことがある。 時には、自分の持っているものの本当の価値を知るために、ほんの少し社会的な化学反応が必要なこともあるんだ。 ――ウェイン・ホワイト (アメリカのアーティスト) 突然ですが、みなさん知ってのとおり、僕はネガティブ思考です。 大阪にいた頃はこんなではなかったのですが、川崎に引っ越してきた小5辺りから鬱々とし始め、思春期への本格的な突入と共にその傾向に拍車がかかったと記憶しています。 ただ、ネガティブだからといって、

「ただし、探す場所を間違えてはならない」

自分と似た人間を見つけるのも、創造という行為の一部である。自分と似た人間はどこにでもいる。ただし、探す場所を間違えてはならない。 ――ヘンリー・ミラー (アメリカの小説家) みなさんは、周りに仲間と呼べる人が、どのくらいいますか? 戦友と呼べる人は? 友達とはちょっと違う。時に争い、時に協力し合いながら、共に同じ方角へ歩み続けられる存在――。 仲のいい友達がいても、未来のヴィジョンを共有できる仲間がいない時、人は孤独を感じることがあります。(もちろん、その孤独を真っ白に塗

「だからといって私の映画作りの邪魔はさせない!」

私がオランダを去ったのは政府の委員会が私の映画に金を出そうとしないからだ。奴らは私を俗悪で変態で退廃した人間だと決めつけている。それはたぶん事実だろうさ。だからといって私の映画作りの邪魔はさせない! ――ポール・バーホーベン (オランダ・アムステルダム出身の映画監督) 今日は、ちょっと刺激的な言葉ですね。一文目を読む限り、尋常でない様子が感じられます。 それはともかく、今日の言葉で注目してほしいのは、どの部分だと思います? 最後の一文? 「私の映画作りの邪魔はさせない!」

「ここは君のいるべき場所だ」

差別の言葉に激怒しているなら ここは君のいるべき場所だ ――ジェイ・シルベリア (アメリカの空軍士官学校校長) 生活していると、色々なことに怒りを感じると思います。 間違ったことや、納得いかないこと。差別したり、嘘をついたり、傷つけたり。 毎日、ネットやテレビから、そんな現実が飛び込んでくる。あるいは、もっと身近なところで起きているかもしれません。時には、正しさのフリをした暴力を目にすることだってあるのです。 人間の心は、傷つけている人よりも、傷ついている人の方に寄り添

「夢を翻訳して実現しようとするための方法を見つける責任がある」

すべての人々が、それぞれの夢を翻訳して実現しようとするための方法を見つける責任がある。 ――トマス・サラセーノ (アルゼンチン出身のアーティスト・建築家) 夢の実現…… なかなかに重い言葉ですね。小学校低学年の頃には、気軽に語れていたはずの夢が、いつからか人生の重荷のように感じられてくる。もしかすると、年々、その重みが増していくという人もいるかもしれません。 ところが、今日の言葉は少し響きが違います。「夢」と「実現」の間に「翻訳」という言葉が入っているのです。 「翻訳」と

「人は意地悪なわけでもなければ、非情なわけでもない」

人は意地悪なわけでもなければ、非情なわけでもない。 ただ、忙しいのだ。 ――スティーヴン・プレスフィールド (アメリカの作家・脚本家) 突然ですが、独り言は多い方ですか? 僕自身、採点したり添削したりしている時、叫んだりうめいたりツッコミを入れたりと、何か言葉を発しながら作業していることが多い気がします。 ところで、独り言に二つの種類があることを、ご存じですか。 一つは、誰にも聞かせる気のない独り言――なんて言うと「独り言っていうのは、そういうものなんじゃないの?」と言

「いちばん大きな世界を描く」

ラクガキは、 いちばん大きな世界を描くための、 いちばん小さな絵。 ――寄藤文平 (日本のアートディレクター・グラフィックデザイナー・イラストレーター) 最近、いつ、ラクガキをしましたか? それは、どこに? ラクガキといえば教科書でしょう! とはいうものの、ラクガキは主に授業中に実施されるアクティビティ(笑)なので、自宅学習が続く現在、これまでになくきれいな教科書の状態が維持されているのかもしれません。 でも、考えてみれば不思議なことです。ラクガキしてはいけない時に、ラク

「コミュニケーションをより良く豊かにするためには、 私たちは常に進んで対価を払おうとする。」

コミュニケーションなくして、人間は存在することができない。 コミュニケーションは、人間の基本的な特徴のひとつであり、 コミュニケーションをより良く豊かにするためには、 私たちは常に進んで対価を払おうとする。 ――アラン・ケイ (アメリカの計算機科学者・教育者・ジャズ演奏家) みなさんは、スマホを使っていますか。立ち上げて、アプリを順番に見ていった時、何らかの形でコミュニケーションにつながっているものは、どのくらいあるでしょう。 写真は、そのまま共有したり、SNSにアッ

「僕が知りたいのは先週何をしたかなんだ」

作品を見せてくれと言うと、みんな学生時代や別の仕事の成果を見せてくる。 だけど、僕が知りたいのは先週何をしたかなんだ。 ――ゼイ・フランク (アメリカのオンラインパフォーマンスアーティスト・作曲家・ユーモア作家・講演者) 今日の言葉に「ドキッ」とするのは、既に何かを成し遂げたり、作り上げたりした経験のある人かもしれません。 一度、それなりに満足のいくものを作り上げると、次に何かを完成させることが怖くなることがあります。たまたま高得点が取れたのに、二回目、三回目のチャレンジ

「ただの しかばね のようだ。」

へんじがない。 ただの しかばね のようだ。 ――「ドラゴンクエスト」シリーズの定番メッセージ みなさん、この言葉は知っていますか。ゲーム『ドラゴンクエスト』で、話しかけた相手が「しかばね」だった時に表示されるメッセージです。 ゲームの言葉と言ってしまえば、それだけのことなのですが、よくよく考えてみると、不思議な言葉です。 普通、「しかばね」かどうかは、見れば分かりますよね。ところが、『ドラゴンクエスト』の世界では、話しかけるまで分からない。相手が生きていれば、必ず何らか

「アートは世界でいちばん強い貨幣だ」

アートは世界でいちばん強い貨幣だと思う。 金よりもずっとね。 ――ダミアン・ハースト (イギリスの現代美術家) おはようございます。 まだ意識がはっきりしていない人は、次の一文で目を覚ましましょう。 ダミアン・ハーストは、「その作品《神の愛のために》が2007年に日本円にして38億という当時の美術のオークションで史上最高額を記録したことで知られる」 (「現代アート:ダミアン・ハーストの「死」と「経済」の作品世界」) 驚くほどの落札額や、死を直接扱った作品群から、何かと

「それだけで一つのジャンルなのだ」

私の映画はどんなジャンルにも属していない。 それだけで一つのジャンルなのだ。 ――デヴィッド・クローネンバーグ (カナダの映画監督・脚本家) ジャンルというのは、とても便利なものです。 自分が好きなものを手掛かりに、新しいものと出合うための旗印になってくれます。 ぼんやりとした創作意欲に、向かうべき方向を示す灯台になってくれます。 ジャンルの山を中心に向かって登っていくと、外から見ただけでは分からないコアな作品と出合えたり、逆に山を下っていくと、ジャンルとジャンルの境目に

「スケッチブックの中なら、可能性は無限だ」

いったんパソコンの前に座ると、完成にしか向かう道はない。 だが、スケッチブックの中なら、可能性は無限だ。 ――トム・ゴールド (スコットランドの漫画家・イラストレーター) 中学時代、一番好きな科目は数学でした。 定期試験や模試などで、一番点数が取れたのは英語でしたが、好きな科目となれば圧倒的に数学でした。 一番、長い時間取り組んだのも数学です。 何をそんなに長時間やってたのかって、解けない問題とひたすら格闘することです。 これまで習った公式や解法を色々と組み合わせ、ノート