中村

関心分野は、日本文学、社会学、表象文化論、消費社会論、メディア論など

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  • 谷崎潤一郎全集を読む

    谷崎潤一郎全集(昭和56年・愛読愛蔵版・全30巻)を読破するためのメモ

記事一覧

4月 月報

● 映画 ・ 『オッペンハイマー』 ・ 『福田村事件』(サブスク) ● 本 ・ 加藤典洋『敗者の想像力』 ・ 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス(上)』 ・ ロラン・バル…

中村
2日前

「良い画家ってどんな画家か分かる?」

「良い画家ってどんな画家か分かる?」 とベッドに腰掛けている彼女は言った。僕が分からない、と言うと彼女は教えてくれた。 「良い画家っていうのはね、サラリーマン似て…

中村
2年前
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谷崎潤一郎全集を読む 第四巻

谷崎潤一郎全集第四巻(1981年版)を読む。1916~1917年に執筆され当時の年齢は30~31歳。 恐怖時代 江戸時代の深川あたりの下屋敷が舞台の戯曲であり、太守お気に入りの眉目…

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2年前
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谷崎潤一郎全集を読む 第三巻

谷崎潤一郎全集第三巻(1981年版)より、1915~1916年に書かれた作品群。当時谷崎は29~30歳で19歳の女性と結婚している。 1、創造自分の醜さを悟り、自分の人生と自分の芸術…

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3年前
9

谷崎潤一郎全集を読む 第二巻

谷崎潤一郎全集(1981年版)第二巻より、感想やらあらすじやら評論やらメモ代わりにまとめる。第二巻は、「熱風に吹かれて」、「捨てられる迄」、「饒太郎」の自由奔放な女性…

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3年前
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谷崎潤一郎全集を読む 第一巻

谷崎全集第一巻(1981年出版、全30巻)より、メモ代わりに、ネタバレがないように各作品のあらすじや概要をまとめる。谷崎潤一郎自体がどういう人だったかも紹介しつつ、谷崎…

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3年前
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4月 月報

● 映画

・ 『オッペンハイマー』

・ 『福田村事件』(サブスク)

● 本

・ 加藤典洋『敗者の想像力』

・ 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス(上)』

・ ロラン・バルト『エッフェル塔』

・ 石黒正数『天国大魔境』(~9巻まで)

● ゲーム

・ おいし水『ファミレスを享受せよ』
・Seaeees『E-999』

● 展示

・ 『大吉原展』

・ 『みうらじゅん展』

● 動画

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「良い画家ってどんな画家か分かる?」

「良い画家ってどんな画家か分かる?」

「良い画家ってどんな画家か分かる?」
とベッドに腰掛けている彼女は言った。僕が分からない、と言うと彼女は教えてくれた。
「良い画家っていうのはね、サラリーマン似てるの。逆に言うと、サラリーマンは、良い画家になれる可能性が高い。サラリーマンってどんな人のことを指して言ってると思う?ううん。ええとね、規則正しい人。朝6時に起きて、7時に家を出て、20時に家に帰ってくる人。そして、家に帰ったら、奥さんが

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谷崎潤一郎全集を読む 第四巻

谷崎潤一郎全集第四巻(1981年版)を読む。1916~1917年に執筆され当時の年齢は30~31歳。

恐怖時代
江戸時代の深川あたりの下屋敷が舞台の戯曲であり、太守お気に入りの眉目秀麗な愛妾、お銀の方とその手下らが、主人太守の奥方を毒殺しようと目論むという筋立てである。お銀の手下には、靱負と梅野と伊織之介と珍斎らがいる。靱負はお銀の方と、梅野は伊織之介と相思相愛に思っていたが、実際相思相愛だった

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谷崎潤一郎全集を読む 第三巻

谷崎潤一郎全集第三巻(1981年版)より、1915~1916年に書かれた作品群。当時谷崎は29~30歳で19歳の女性と結婚している。

1、創造自分の醜さを悟り、自分の人生と自分の芸術を切り離すことにした芸術家が主人公。それは「金色の死」から脱却した、谷崎自身に重なる。自分の人生を芸術化することを諦め、芸術化を試みたのは、他人の肉体だった。彼の芸術とは、完璧な男性美を有する男と、完璧な女性美を有す

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谷崎潤一郎全集を読む 第二巻

谷崎潤一郎全集(1981年版)第二巻より、感想やらあらすじやら評論やらメモ代わりにまとめる。第二巻は、「熱風に吹かれて」、「捨てられる迄」、「饒太郎」の自由奔放な女性を描いた三篇と、快作「金色の死」と、前期を代表する時代物の「お艶殺し」など、どれも読みごたえがある作品が並ぶ。

1、恐怖Eisenbahnkrankheit(鉄道病)という一種の精神病を患った「私」は徴兵のために伏見行きの鉄道に乗る

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谷崎潤一郎全集を読む 第一巻

谷崎潤一郎全集を読む 第一巻

谷崎全集第一巻(1981年出版、全30巻)より、メモ代わりに、ネタバレがないように各作品のあらすじや概要をまとめる。谷崎潤一郎自体がどういう人だったかも紹介しつつ、谷崎小説の面白さを伝えたい。作品は、ほぼ発表順並び、1910年から1912年に発表されたもの。

1、誕生「新思潮」の創刊号に掲載された、谷崎の(活字化された作品としての)処女作。実際は「誕生」よりも「刺青」のほうが先に書かれた「ほんた

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