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「なぜ日本人はYesと言って違うことをするのか。」とAPACのヘッドに聞かれた

「もし知っていたら教えて欲しい。日本人はYesと言うのだけれども、その後で全く違う動きをするのはなぜだ。」

先日ある外資系企業のAPACの方とのお話で聞かれました。今まではヨーロッパ、オーストラリアのヘッドを務めてきたイギリス人で、日本市場に関わり始めたのは最近とのことでした。他の地域のマネジメントと様子が違うことをかなり心配されていて、チーム作りに関する話として聞かれました。

おそらく悪気はなく、成功させるために自分たちでバランスを取ろうとしていることが多いと思うと冒頭で伝えながら、以下の可能性を伝えました。

1. 英語力の問題 (Listening, Speaking)

そもそも英語力の問題で聞き取れていなくて、質問や内容自体がわかっていないかもしれないと伝えました。「わからなければ聞き直せばいいじゃないか。」と言われたので、人によるけれども、プライドの高さから、英語力のせいで分からなかったと認めたくなくて、わかったふりをしてしまっているかもしれないと答えました。

また、彼らなりに上司との良好な関係を保って、良い印象を与えたいと思いっている可能性を話しました。わからないことや聞き返すことが恥ずかしいという、恥の文化が連動している可能性にも触れました。

その次のフェーズとして、英語が聞き取れて理解できて、自分が違う意見を持っていたとしても、英語でそれを説明するためのスピーキング力がないケースで、とりあえずYesと言っている可能性があるとも話しました。

2. 反対意見を言う勇気がない or 言っていいのかわからない

英語を話す上司が日本人部下と話す際に、日本人側が反対意見を言う勇気がなくて、本当の気持ちを言わない可能性についても話しました。今は令和時代で、だいぶ緩和されているとはいえ、日本式のタテ社会で生きてきた人たちにとっては、上下関係も少なからず影響しているという点も触れました。これはある意味Yesと上司に言うことで、尊敬を示そうとしているかもしれないとも言いました。

3. 文化的要素  (和、空気を読む、本音と建前、公と私、ハイコンテクスト文化)

英語も理解して、説明もする能力もある方が、反対意見があったとしても以下の文化的要素が絡み合ってYesと言ってしまう可能性があると伝えました。

・上司の外国人が日本の事情や気質をわかっていないと気づいた時に、その場で説明すれば良いのだけれども、説明せずに無意味に空気を読んで、和を保とうとして、その場しのぎでYesという場合がある。これは、本音と建前の文化が関係していて、表層の建前ではYesと言っていても、本音は違うことがある。

・また、良かれと思って英語で説明をしたとしても、理解されずに反対されると面倒だと思ってしまって、和を美徳とする気質から荒波を立てずにYesと言ってしまう。

公の概念として、ミーティングなどの公の場所では相手が喜ぶだろう方向性で話を進めておくこともあるかもしれない。

ハイコンテクスト文化で生きていて、実際に話される言葉に含む意味が多い言語のひとつが日本語なので、その感覚で英語を話している可能性がある。どうして良いかわからず、Noとは言いたくないので、Yesと言っているかもしれない。

4. 慣れていなくて、排他的な気質が出てしまう

人によって、外国人上司の元に働く環境に慣れていないこともあるかもしれないとも話しました。ある領域までは英語の会話でも心を開くのだけれども、混みいった話になると日本の問題だから、ということで悪気はなくても、無意識にウチとソトという形で分けてしまっている可能性があると話しました。


最後に

人によるので一般化は難しいけれども、日本人側が真面目な気質や責任感の強さから、日本市場での経験、商流、顧客のことを想定して良かれと思って行動していることもあるので、共通したゴールの確認とその達成方法に関する擦り合わせができると良いだろうという話になりました。また、日本の商流文化、日本人の気質や文化を理解した上で、オープンに会話ができる雰囲気や受容される雰囲気も必要になりそうな点もお話しました。英語で話すときにも、日本人側が無意識に日本式を持ち込んでしまう可能性があり、日本サイドが慣れていく必要性や、察しに頼らないダイレクトなコミュニケーションを日頃から心がけていくことが大事かもしれないとお話しました。

APACの方も色々と思いあたる節があったようで、納得されていたようでした。大変なリージョンをマネージすることになったんだな、という感じでしたが、今後に関しても日本人を採用する際に深く本音の部分を掴むことが大切だという感じで、解決策の糸口を見つけられたような感じでした。

外国人側から見た日本の印象を知ることで、外資系企業で働く際の何かのきっかけになれば幸いです。

今日も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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