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奢侈な部屋から長江を眺める(南京#2)

南京は西安、北京、洛陽とならび中国の四代首都である。長江の河口に位置し、14世紀前後にはアジア最大の都市であったと言われている。また、国共内戦まで中華民国の首都として栄えていた南京は、台湾と関わりのある都市でもある。
空港到着後すぐにタクシーがつかまり、長江の真横に建つ外国人向けの高級宿にチェックインした。


豪華すぎる宿

飛行機が南京禄口国際空港に降り立った後、手配したタクシーで早速宿に向かった。タクシーの配車は簡単なもので、DiDiのアプリを利用すれば3分足らずで目的のサイズ、グレードのタクシーを予約できる。

エントランスをくぐると、心地よい鳥のさえずりが聞こえてきた。音の出どころをたどっていくと、鳥のさえずり音を出すために、本物の鳥を飼っているらしい。

中国の建物は基本的に日本よりも天井が高い。単純に平均的な身長が高いというのは理由の一つに過ぎない。これに加え、中国では単純に長大な建造物が好まれる、というのが理由の大部分を占めているのではないかと今回の宿に入った瞬間に感じた。

筆者は中国に限らず、旅では常に安宿にお世話になってきた。香港ではTSTの安宿に、深圳では華強北のドミトリーに宿泊してきた。平均して一泊1000円程度である。このため、中国だけでなく日本も含めて高級宿に泊った経験は少ない。

入口から50mほど奥まった場所にある受付に向かうと、化粧をした美しい女性が佇んでいた。深圳の30元宿ではパジャマを着た女性に接客されたため、この時点で今回の宿は過去に宿泊してきた宿とは異なる、という点を強く認識した。

チェックインの手続きを済ませる間、美しい彼女は公式サイトに乗っていない情報として、このホテルは台湾人が創業したホテルで、近隣企業のパーティ等にも利用される、ということを教えてくれた。中華民国の首都だった南京らしい特色である。またホテルとは異なる棟に住宅、オフィスも併設されているとか。(実際、住宅はこちらといった内容の案内看板も掲げられていた。)

宿泊したホテルの全景
天井の高いエントランス(鳥が飼われている)

宿泊する部屋は60平方メートルと非常に広く、大きな窓に豪華な調度品が備え付けられていた。一人には広すぎるクイーンサイズベッドに2人分の洗面台、大きなソファなど。いささか寂しさを感じそうな部屋である。

同ホテルの室内(60m2と広い)

リゾートホテルよろしく、Free to Eatのリンゴが卓上に置かれていた。中国人らしくそのまま齧り付くもよし、引き出しに収納されていたナイフでカットして食べるもよし、といった様子らしい。(残念ながら筆者は最後まで食べる機会がなく、放置してしまった。)

部屋に備えられたリンゴ

また、お風呂はスケスケのガラスに面して配置されている。あまりにも恥ずかしい配置である。以前の記事(下記)で「洋風のホテルはお風呂がスケスケになっており、欧米人はシャワーを他人に見せたがるのか?」と記載したが、中国のエリートたちも他人に見せたいようだ。(深夜、部屋の電気を消して入浴した。足も伸ばせるうえ、脇には乳液なども配置されており、気持ちよく入浴することができた。)

スケスケガラスに面して配置された浴槽

万景园より朝の長江を臨む

翌朝、鸭血粉丝汤などの江蘇省名物を朝食として食した後、宿が面する長江を見ようと散歩に出た。

南京、中国に位置する万景园は、五感を以て長江を楽しむに最適な庭園である。明代に建設されたこの庭園は、「万景図」という詩が名前の由来になっているらしい。

万景园の全体図

万景园の魅力は小道の曲線美だ。歩行者や作業用車両のために整備された小道は直線ではなく、少し曲がりくねった形状をしており、ただただ美しい。芝生にもゴミ一つ落ちておらず美しい。

この鳥観図を見て一つ違和感を持った点がある。日本の広大な河川には必ずと言っても存在する「堤防」が見当たらない。広大な氾濫平野に作られた公園は増水時はどうなるのだろうか。一時的に沈んでしまうのだろうか。

万景园のワインディング・ロード

道を進んで土手を少し降りると、長江が一望できる場所に出た。ここで長江の恵みによってもたらされた中国の発展に思いを馳せながら鳥のさえずり・長江の波打つ音に耳を傾けた。

早朝の長江

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