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megane and me (メガネアンドミー)のデザイナー インタビュー / さやかさん、ちょっと行きつけのお店に連れていってくれませんか?(中編)

こんにちは、荒岡です。 今回も、メガネ愛好家からファッション関係者まで高い支持を受ける megane and me のデザイナーSayaka Tsukagoshi(さやかさん)と一緒に行きつけのお店を周り、散歩しながらお話を伺いました。
普段では、なかなか伺う事ができない記事の内容となっておりますので、是非ご覧ください。

(記事本文)

荒岡 「さやかさん、お花屋さんはどのあたりなんですか?」

さやかさん 「幡ヶ谷の方です。 こちらの方から行きましょうか? 有名なコーヒー屋さんの”パドラーズコーヒー”さんの奥です。」

荒岡 「ああ、そうなんですね!  なんとなくわかりました! 僕が幡ヶ谷に少しだけ住んでいたことがありまして。」

さやかさん 「そうだったんですね。」

代々木上原方面から幡ヶ谷へと繋ぐ西原通り

荒岡 「なので、この辺は懐かしいです! あの、また歩きながら、お話を伺ってもいいですか?」

さやかさん 「もちろんです。」

荒岡 「さやかさんのことをだいぶ前から知っているのにデザイナーになった経緯など、伺ったことがないなと思ってまして。 あの、小さい時からデザインに興味があったのですか?」

さやかさん 「デザインというより、小さい時は、絵をよく描いてました。 じつは、母が書道家で、父は消防士なんですが、趣味で油絵をずっと描いていまして。」

荒岡 「なるほど!  そうすると、美術系に関しては、ご両親の影響が大きいのですね?」

さやかさん 「それは、あると思います。 今、思うと、よく家族で美術館に行ってましたし。」

荒岡 「いや~、感性を磨くには非常に良い環境といいますか、本当に素晴らしい家庭ですね。 それでは、早い段階で美術系やデザイン系の進路を考えられたりしていたのですか?」

さやかさん 「中学までは、全くその方向に行こうと思ってはいなかったんですよ。」

荒岡 「えっ、そうなんですか?」

さやかさん 「しかも高校は語学とかに力を入れているような進学校みたいな感じだったんです。」

荒岡 「なるほど。 でも、そこから美大に進学されるようになるわけですよね? かなり稀な感じじゃないんですか?」

さやかさん 「そうですね。 ただ、私が通っていた高校に美大コースがあって。高校に入ってから、家に父がいつも使用している油絵を描ける道具が揃っていたこともあり、油絵も描き始めていたんですよね。」

荒岡 「そういう経緯なんですね。」

さやかさん 「高校の時は、油絵の制作をしたり、デッサンなどもしてましたね。 ファッションも好きなので、パリコレに出ているデザイナーのデッサンとかもよく見たりしていたのを覚えています。」

荒岡 「絵を描くことって、やっぱり、デザインの基礎になりますよね。」

さやかさん 「そうだと思います。 あっ、たかし(荒岡)さん、お話していたら、お花屋さんに到着しましたよ!」

荒岡 「おお!! ここですか?」

幡ヶ谷の有名なお花屋さんの”Forager”さん
お花と一緒にさやかさんを撮影

さやかさん 「こちらのお花屋さんは、”Forager”さんというお店で。 すごいセンスが良いお花屋さんなんですよね。 お花も素敵なんですが、花瓶とかもかわいいものをお取り扱いしてまして。」

荒岡 「確かに素敵なお花屋さんですね!! 場所も少し奥まったところにあって、場所のセレクトも良いですね! ”パドラーズコーヒー”さんでお茶をして、その後にお花を買って帰ったら、最高ですね!!」

”Forager”さんの店内の様子

さやかさん 「確かに!  それは気分がいいですよね!」

荒岡 「こちらは、頻繁に利用されているんですか?」

さやかさん 「自宅用で購入するこもあるんですが、人への贈答用でお願いすることが多いですね。」

荒岡 「なるほど!! 確かにこちらのお花を贈られた方は、すごい嬉しくなりますよね!!」

さやかさん 「私自身が好きなこともありますが、本当に素敵なお花のアレンジをしていただけるので、喜んでいただけるかなと思って。」

荒岡 「それは、間違いないです!!」

さやかさん 「花器も作家さんのものが多く、素敵なものが多いので、見ているとすぐ欲しくなちゃいますよね。」

荒岡 「ここにいたら、散財してしまいそうです!!(大笑)」

さやかさん 「ははっ、そうかもですね。 じゃあ、次に行きましょうか。 ここの近くに雰囲気の良いスタンドのワインバーがあるので、そこで少し休憩ましょうか?」

荒岡 「いいですね!! 行きましょう!!」 (いざ! ワインバーへ向かう)

荒岡 「さやかさん、先ほどのお話の続きを伺ってもいいですか?」

さやかさん 「もちろんです。」

荒岡 「高校で美大コースに進んで、美大を目指されるわけですよね?」

さやかさん 「そうなんですけど。 私、少し準備が遅くなってしまって。 美大に行く方って、美大専門の予備校に通うのが通常だと思うんですけど。 通い始めたのが、高校3年生の6月位からで。」

荒岡 「なるほど、それは、遅い感じですね。(笑) でも、しっかり、入学できてるからすごいですよね!」

さやかさん 「おかげさまで、よかったです。(笑)」

荒岡 「選択した学科はどのようなものだったんですか?」

さやかさん 「私が専攻した学科は、基礎デザイン科というところで。 バウハウスの教育理念を継承しているウルム造形大学にいた方が教鞭をとられていたこともあり、バウハウスのスタイルがある学科でした。」

荒岡 「あの、入学されてすぐにプロダクトデザインをやろうとしていたのですか?」

さやかさん 「いえ、1,2年生の時はグラフィックとプロダクトの両方を学んでました。」

荒岡 「すぐにプロダクトということではなかったんですね。」

さやかさん 「学科自体が総合的にデザインを学べる学科だったということもあり、絵も描いていたので、平面デザインのグラフィックも好きで学んでました。」

荒岡 「なるほど! そういうこともあって、ご自身のブランドのヴィジュアルイメージも自分で手掛けているんですね。」

さやかさん 「それはあると思います。」

荒岡 「いつくらいからプロダクトデザインを専攻していこうと考えたのですか?」

さやかさん 「大学3年生からです。」

荒岡 「あの、色々なプロダクトがある中で、最終的に眼鏡デザイナーになった経緯はどのような感じだったんですか?」

さやかさん 「私が学生の時は、家電とかでデザインの良いものが結構出ていて、プロダクトデザインというと、そういうものが花形なイメージがあったんですよ。」

荒岡 「確かに大手メーカーが、デザイン性の高いプロダクトを出していましたよね。 僕もデザインされた冷蔵庫とか買ったりしてました。」

さやかさん 「そうなんですよね。 ただ、私がその方向のプロダクトにあまり興味が持てなくて。 先ほどもお話しましたが、パリコレのデッサンとかも見ていたり、ファッションに関係するものに興味がありました。  いわゆる装飾的なプロダクトが面白いと思っていました。」

荒岡 「それで、眼鏡に結びつくのですね。」

さやかさん 「私は、視力は通常なので、眼鏡が必要で掛けることはないんですけど、小学生くらいからファッションで、伊達メガネを掛けていたんですよ。」

荒岡 「おお!! めちゃ眼鏡好じゃないですか!!」

さやかさん 「だから、眼鏡にはそもそも興味がありまして。」

荒岡 「なるほど!」

さやかさん 「それで、大学の就職課でデザイナーの募集を見ていたところ、たまたま、眼鏡の製造をしている会社がデザイナーを募集していまして。 あと、海外での経験も積みたいなと思っていたので、その会社がインターナショナルに展開していたので、そちらに就職しました。」

荒岡 「その会社に入られてからは、どのような感じでお仕事されていたのですか?」

さやかさん 「その会社が福井に工場を持っていて、そこで眼鏡の生産のことを3年半くらい学んでました。」

荒岡 「結構、長く福井の工場にいらしたんですね。」

さやかさん 「そうですね。 当時は、眼鏡にかなり浸かっている感じでしたね。(笑) ただ、福井での経験は、今でも活きています。 日本でもトップレベルの技術を持った工場だったので、作り方もそうですが、掛け心地が優先の考えをそこで学びました。」

荒岡 「確かに、さやかさんのブランドmegane and meはフレームの作りこみも素晴らしいですが、掛け心地も非常に良いですよね!」

さやかさん 「そう言って頂いて嬉しいです。 ありがとうございます! たかし(荒岡)さん、話していたら、ワインバーに到着しました!」

荒岡 「ここですか!! ここもめちゃ! 洒落てるじゃないですか!!」

さやかさん 「じゃあ、入りましょうか。」

荒岡 「はい!」

美味しいワインを販売している”flow”さん
店内奥には、ワインセラーがあり、
無数のワインが並んでいる。

荒岡 「ここ、すごい!  いいですね!!」

さやかさん 「こちらは、”flow”さんというお店で。 この近辺では、ワインの品揃えが良いお店で知られています。 先ほど、ワインバーと説明しましたが、じつは、こちらはワインの販売をしているお店で、角打ちのようにワインも少し提供して頂けるところなんですよ。」

荒岡 「なるほど、それはいですね!! じつは、僕はワインをあまり飲まないのですが、ワインセラーを見てるだけで、なんか欲しくなっちゃいますね。(笑)」

さやかさん 「確かに!  あっ、たかし(荒岡)さんは、何を飲みますか?」

荒岡 「いや~、僕は、ワインに詳しくないので、さやかさんと同じものにします。」

さやかさん 「わかりました。 白ワインでいいですか?」

荒岡 「はい!」

さやかさん 「ちょっと、オーダーしてきまね!」

荒岡 「いや~、ワインを飲むのは、ひさしぶりだな~」

さやかさん 「お待たせしました。 こちらです。」

手前が僕らがオーダーしたオレンジワイン
奥の白ワイン比べると明らかに色が違う


こちらのワインをいただきました。
エチケットが洒落ている。

荒岡 「あれ? 白ワインじゃなかったでしたっけ??」

さやかさん 「じつはこれ、オレンジワインという白ワインなんですよ!」

荒岡 「そうなんですか?  色がついているから、白ワインじゃないと思ってました!」

さやかさん 「オレンジワインは、白ワインと同じ白ぶどうを使用しているんですけど、製造方法が違っていて、皮とかと一緒に発酵させて色がついたものなんですよ。」

荒岡 「そうなんですか! なんか洒落てますね! しかも、美味しいです!!」

さやかさん 「よかったです! これは、フランスのワインです。」

荒岡 「おお、フランスっぽい味がします~~!!」

さやかさん 「たかし(荒岡)さん、テキトー過ぎますよ。(笑)」

荒岡 「すいません!!  ところで、さやかさんがの指につけてるリング、すごい素敵ですね?」

さやかさんがお気にりの
”Sofio Gongli”のジュエリー

さやかさん 「これは、ジョージアのブランドの”Sofio Gongli”のものです。 2~3年前くらいから好きで購入しているんですが、取り扱いしているお店があまりなくて。」

荒岡 「独特のスタイルで、かわいいですよね!」

さやかさん 「女性のデザイナーなんですが、多分、彼女が育った環境や感性や才能が合わさって出来たプロダクトだと思うんですけど、造形や色使いが秀逸なんですよね。」

荒岡 「確かに、おっしゃる通りですね。」

さやかさん 「そうだ、夕方になってきたので、そろそろ次に行きましょうか? じつは、お連れしたいところがありまして。」

荒岡 「どこですか? 気になりますね! では! 次に行きましょ~。(ほろ酔いだー)」

(お店を出て次に向かう)

荒岡 「いや~、先ほどのお店、めちゃくちゃよかったですね!  すいません、次の場所に行くまで、先ほどの続きをお伺いさせてください!!」

さやかさん 「なんか元気になってますね!  ちょっと、酔ってますよね。(笑)」

荒岡 「はい!  なんかお酒を飲んだら元気になってきました!!」

さやかさん 「大丈夫かな?」

荒岡 「多分、大丈夫です!(大笑) あの、さやかさんに以前から伺いたかったのですが、デザイナーとして大きく考え方が変わった出来事とかって、今まで何かありますか?」

さやかさん 「んー、そうですね、社会人になって色々なことを学びましたが、デザイナーとしての考え方で、大きく影響を受けたのは、学生時代だったと思います。」

荒岡 「具体的には、どのようなことですか?」

さやかさん 「やっぱり、大学での課題を提出した際に先生方に批評いただくのですが、なぜ? それを作ったのかをしっかり説明しなければならなくて。 コンセプトが曖昧だと作ったものにその曖昧さが現れてしまったり、強いものにならないですよね。」

荒岡 「それはありそうですよね。」

さやかさん 「だから、コンセプトが最重要で。 そして、プロセスが大事だということを学びました。」

荒岡 「確かに、さやかさんのブランドには、強いコンセプトを感じますからね。 あの~、ブランドを始めるきっかけってどういう感じだったんですか?」

さやかさん 「自分のデザインで生計を立てたいという気持ちが根本にありました。 あと、眼鏡の市場で自分が可愛いとか良いと思うブランドが少なかったんです。 それでしたら、自分で作ってしまった方が良いと思いまして。」

荒岡 「なるほど、それはそういう流れになりますよね。 確か? megane and me のファーストコレクションでは、プラスチックフレームを発表されましたよね? 」

さやかさん 「そうです。 以前にいた会社はメタルフレームが得意な会社で。 その反動ではないのですが、私がプラスチックのフレームも好きなこともあって、初めてのコレクションで展開しました。」

荒岡 「フランスで発表されたのが最初ですよね?」

さやかさん 「そうです。 2013年にブランドを設立して、正式に発表したのが、フランスの国際見本市のシルモ展です。」

荒岡 「日本のブランドで、デビューでいきなりフランスのシルモ展に出展するブランドがなかったので、すごい印象的だったのを覚えてます!」

さやかさん 「確かにそういうブランドってなかなかないですからね。(笑)」

荒岡 「いや~、デビューが海外はないですよね!(笑)  あの、そうするとブランドがデビューして10周年になると思いますが、改めて、ご自身が思うデザインの強みってなんだと思いますか?」

さやかさん 「造形を作る力、独自性、そして色の表現力と配色のバランスですかね。」

荒岡 「確かに! megane and me は、独自性があるデザインが多いですよね! あと、色の使い方も秀逸だと本当に思います。」

さやかさん 「そう言って頂けて、すごい嬉しいです! あの、私のデザインは特徴的なものが多いので、そちらの方に目を向けてしまうことが多いかもしれませんが、色づかいに関しても、かなり考えていまして。」

荒岡 「詳しく教えて頂けますか?」

さやかさん 「形にはその形に合った色があると思っています。」

荒岡 「なるほど! ”形に合った色がある” ですか!! 名言です!!!」

さやかさん 「これは、油絵をしていたり、グラフィックを学んだりしていたからかもしれませんが、その型には、何が相応しいかが何パターンかがあるんですよね。」

荒岡 「確かに、グラフィックや油絵を学んでいると色彩の感覚や配色のバランスが研ぎ澄まされることはありそうですよね! 非常に面白いです!!」

さやかさん 「当たり前のことなんですが、私は、デザイン、色のバランスの全てが一連の流れになるようにいつも考えています。」

荒岡 「いや~、さやかさんにとっては、当たり前の話かもしれませんが、それは非常に面白いお話ですね!!」

さやかさん 「そう言っていただいて、よかったです!  あっ、たかし(荒岡)さん、話してたら、目的地につきました!」

荒岡 「おお!! ここは! 代々木八幡宮じゃないですか!!」

個人的にも好きな神社の代々木八幡宮

さやかさん 「じつは、この辺を散歩する際に、代々木八幡宮によく参拝してまして。」

荒岡 「じつは、僕が神社とかお寺が好きでして、こちらの代々木八幡宮も何度か参拝させていただいたことがあります! すごい良い神社ですよね!!」

さやかさん 「では、こちらを参拝して、次に向かいましょうか?」

荒岡 「はい! では! 僕のけがれた心を浄化してから次にいきましょう~!!」

代々木八幡宮にてさやかさんを撮影


1212年に創建された代々木八幡宮
史跡があることでも知られている

最後までご覧いただき、誠に有難うございます。

次回(後編)は、最終話です。 代々木上原の方に戻りながらさやかさんのデザイン観について詳しくお伺いしています。 ぜひお楽しみにしていてください。

後編はこちら↓


キャットアイを洗練させて
掛けやすくしたモデル”JOY"
本当に美しい。


< 眼鏡とクラフトat RUTTEN_ >
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