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21歳、アプリで付き合って1ヶ月で別れたときの話

感想を言うなら「そんなもんか」でした。

タップルで知り合った人と付き合って1ヶ月で別れました。

3個上の社会人。
会う前からノリが合っていて、会話が弾んだ。
バイト以外人と会わないような大学生一人暮らしの馬鹿みたいに長い春休みにはマッチングアプリというようなインスタントに人との接点を作れるものが重宝された。寂しさを埋めるため人と話すためという目的でタップルをしていたし、特に恋人を作るためというわけでもなかったが、話してて楽しかったし、面白そうな人だと思ったのでとりあえず会ってみることにした。
1回目に会ったら、最後に「タップルなんてって思ってたけどタップルも捨てたもんじゃないね」「末永くよろしくね」と言ってくれたその人とはたったの5、6回会って終わった。
付き合う前は3回デートして、3回目のデートで「じゃあ、俺と付き合ってくれる?」という告白にしてはユルめの言葉と共に付き合うことになった。

付き合う前の1回目か2回目のデートの後でアプリを見たところ、「退会済」になっていた彼のアカウントを見て、付き合う前にアプリを消してくれているこの人なら、誠実そうだ、信用できると感じたのが決め手のひとつだった。また、彼に「そうやって1人で我慢したら全部大丈夫になるって思って我慢してきたんでしょ?」という言葉をかけられたことがあり、図らずもその言葉が響いた。過去のむごい恋愛で傷ついた、恋愛をもうしないとまで言い切っていたような私を救ってくれると思った。この人なら大丈夫だと思った。今思えば笑えるが。

性格は私とほぼ反対で、外向的で、友達が多くて、LINEの友達は300人くらいいる人で、いつもニコニコしていて、陽、って感じの人で、陰キャとか陽キャとか区別するのも「しょうもないよな」っていうタイプの陽キャで、太陽よりも爽やかで、いつも手前とか背後に涼しい風が吹いてるみたいな人。欠点を言うならお人好しで、無責任で、素直すぎる。少しだけ仕事とかに暑苦しい。それだけ性格的には同じようなところはなかったけど、趣味だけは少しだけ一致していて、家には中森明菜のレコードがあって、ハヌマーンを一緒に聴いたり、私の知らない音楽や海外の映画を教えてくれたし、私も少しだけ教えたりした。
付き合って1週間くらいまではラインで会いたい、好きだと言ってくれたし、いきなり会いたいから会いに行っていいと聞いてくれたりして、「待って待って💦😅✋こいつ私の事めっちゃ好きじゃ〜ん💦」となったりもしたが、今となっては単に冷めたのか、仕事が忙しくなってしまったからかはわからないが二週間を経過したくらいから返信は遅くなった。過去の恋愛で負傷した経験のある私は冷められたんじゃないかと怖くなったけど、過去を反面教師に、自分がメンヘラ化しないように抑えた。バイトや学校がなく1日休みの日は彼の仕事が終わるまで、仕事が終わったというLINEが来るまであと何時間、と時計を見ながら無意識に数えたりしたし、待つことに神経を使いすぎて何もできないような無気力な気持ちになったけど、そうやって待っていても午前7時くらいのおはようのラインから23:30くらいまで返信が来なかった時もあった。(部下と飲んでいた)

そうやって抑えているある日のこと、私がゼミの飲み会に行った時、私の「飲み会に行く」LINEに「いいじゃん!楽しんで!」と言われたままその日は返信が来なかった時があった。いや、ちょっとは心配してくれてもいいじゃん、冗談交じりに「ちゃんと終電で帰るんだよ☺️」みたいなことを言ってくれてもいい。私はまだ21の小娘なんだ。大学の飲み会なんて普通に何が起こるか分からない状況ナンバーワンじゃないか…と思った。信頼してるから心配なんてしないよ☺️なんて言おうもんにも、1ヶ月は早すぎるだろ。あと、いや何よりも、寂しかった。大学4回の飲み会は就活生が多く、珍しく1次会で解散して、1人電車に乗りほろ酔いでとぼとぼ帰路に着くのが。なぜか寂しくて泣きそうで仕方なかった。電話をかけようにも毎日朝早い仕事に就いている彼に申し訳ない。気を遣う。そもそもいきなり電話をかけるほど親密度も足りてないかもしれないと思った。嫌われるのが怖かった。
彼氏がいるのに、こんなに寂しくなるんだと思った。そもそも付き合う前はこんなに寂しくなること、そうそうなかった。
1人の寂しさより、2人の寂しさの方が強い。
好きな映画のあるシーンのセリフが妙に心に刺さるような夜だった。

思えばその飲み会がターニングポイントだった。私の考える恋人の存在意義は寂しさを埋めてくれること。そのレーゾンデートルを果たさない彼は私にとってただの癌、不安製造機であるということが判明してしまった。

その次の日彼がまだタップルを継続して女の子と話しているのではないかと勘繰り、詮索するためのアカウントを作り、出会った頃の彼のアカウントを「こだわり条件」でソートして探した。
結果はビンゴ。アイコンも自己紹介文も1か月前のまま、「最近引っ越してきたので友達はおろか恋人もいません」の文字が痛かった。
怖くなって辛くなって問い詰めた。今思えば、自分の不安に対する答え合わせをして、返信を待ち冷められていることに怯える不安な時間を自ら早く終わらせたかったのかもしれない。正直もう嫌だった。もう疲れていた。誰とも付き合わず1人でいた頃の時の方が100倍くらい楽しくて、身軽で、楽だった。それに戻りたかった。普通に、なんとか正当な理由をつけて終わりにしたかったのかもしれない。

結局結論から言うと彼はアプリを消していた。しかしサブスクを消しただけで退会はしていなかったっぽくて、アカウントは前のまま市場に残っていた。(サブスクを切った日付が付き合う前となっているスクショが送られてきた)
当初付き合う決め手のひとつとなった「アカウントが付き合う前から退会済みになっていたこと」は、調べたらただ単にブロックされていただけだった。
天真爛漫で機械音痴で底なしに明るい陽キャみたいな人が「会えてよかった」なんて言っていた2回目か3回目くらいのデート時点でしれっと私をブロックしている小さな二面性に戦慄した。人間って怖いなと思った。(他アプリを交換したから整理のためにブロックして消しただけなのかもしれないが、私の知る彼の人間像とその「整理」をする人間像が掛け離れていて、どの道ショックだった)
問い詰めた目的は、「タップルを継続していたことを吐かせ、彼の過失を理由に別れる」ことだったにもかかわらず、「サブスクは停止しているが退会をしてはいない、しかし私のアカウントをブロックはしていた」という「タップルをやめていたのか、やめていなかったのか」という二元論で語るには少しだけ面倒くさい状況であったことが判明したので、振るための必要十分条件が揃わず、まごついた。

色々面倒くさくなったので、以前から気になって思っていた、普通に私のことを冷めたのかどうかということを単刀直入に聞いた。タイミングじゃない?今タップルの件があったからそう思ってるだけだよと言われたけど、結構前からLINEの返信が遅いことは思ってたよ、と言った。それへの返事はまだ覚えている。
「○○ちゃんのことはいい子だなって思うし、好きだなって思うけど、ベクトルっていうか、学生と社会人だから、与えられる熱量には差があるよ」
これ程までにいい人ぶった「お前にはもう冷めた」が存在するだろうか。
仕事を理由に愛を与えられないと言う時は、だいたい冷めているなんて義務教育で習うはずだ。
たしかに彼はサラリーマンではないし、普通の仕事と言って想像できるような仕事には就いていなかった。結構、社会的地位も高くて、責任もある仕事。多分毎日忙しくて、自分の命を国に捧げるような覚悟をした人のための仕事だったから、たしかに私も愛だの恋だの言っているよりも、理解をすべきだったとは思う。でも、それを考慮するなら同様に彼は私の就職先について理解をしていただろうか。私がこれから書く卒業論文の題材にするヘミングウェイのエデンの園について、彼は理解しようとしていたのだろうか。私が生活の基盤にしているアルバイトや大学について、彼は理解しようとしていたか。自分の仕事への理解だけ求めて、私の仕事への理解をしようとしないのは、ただのテイカーおじに過ぎない。
そして、もしも、もしも何かが上手くいって、これからの人生を一緒に歩むのなら、彼の中でその「仕事」以上に「私」が優先されるイベントは、発生するのだろうか。

君が理解しようとしないなら、俺たちはもうやっていけないね(俺は君のことを理解しようとはしないが)、と言わんばかりの彼のセリフに、私は少しだけ失望した。こんなもんかと思った。結局それ以上もそれ以下もない。アプリの恋愛なんてお遊びで、そんなもんだろう。

また、その公務員らしい返事の後に、就活で鍛えられた資本主義脳だった私は「それって解決できる問題かな?」と返した。そしたら、「うーん、できない寄りかな」って言われた。何故か悲しくて、「私がさ、社会人になって仕事もするようになって、今よりもっと没頭できる趣味も見つけたとしても、それは無理かな」と言っても、解決はできないという答えを出された。そもそも解決の定義も曖昧だし、と言われた。確かに、解決の定義は曖昧だ。でもごめんね、私は多分、引き止めて欲しかった。

そんなことを1時間くらい電話で話したけど、結局私も感情が邪魔して振れなかった。結局声を聞いて、その声を一生聞けなくなる決断を私がするのだ、と思うと、怖くて悲しくて震えた。久しぶりに聞いた声とその向こうの彼が、好きで好きで仕方なかった。
夜も遅いし、彼は明日も早いし、結論が出ないなら今日はもう切ろうと私が言うと、彼は了承し、またねと言った。またねって、もうバイバイってこと?と聞いたら、彼は何故かいじらしそうに笑って、またねってことだよ、と言った。普通にその電話がバイバイだった。

毎日欠かさず送ってくれていたおはようのLINEはその電話の次の日から無くなった。その電話を皮切りに私たちの会話がひとつも無くなってしまったトーク画面を見ていると、なぜか不思議な気持ちになった。おはようのLINEも、なくなってからなんとなく、音信不通にしないようにせめてもと「頑張って」くれていたんだな、彼なりの私に対する報酬だったんだな、と思った。

その次の日か次の次の日くらいに、大手企業からの最終面接の案内が来て、私は彼のことを考える暇もないほどパソコンに向き合い、Excelで自己分析をし、面接の対策をした。正直その最終面接には人生とこれからのお金のことがかかっていたので、彼のこととはベクトルの違う問題だった。
結果、その企業から内定が出たので、他社を蹴り、就活を終わらせ、晴れて来年から新卒で東京に行くことが決定した。
私は両親が物心ついた時から離婚しており、結婚に対する希望がなく結婚願望がない。また、それと同じような理由で子供も好きでは無いし、これまでの人生で子供がいることに対する憧憬を抱いたことがない。
大手から内定が出た私は、そのへんの若い男性よりもそこそこ良い給料は貰えて、1人で生きていけるだろう。
結婚願望も出産願望もない、また1人で生きていけるなら、恋愛する理由がないと強く思った。

そうして、寂しさを埋めてくれず、私という人間に合わせようともせず、私が私の人生のために頑張る時の必要不可欠な存在でもない彼は、結婚願望もなければ子供も好きでは無い私にとって必要ないという結論が私の中で補強されて出たので、その週末に私は彼を振った。返事を見るのが怖くて、一瞬ブロックしたその間に既読がついた。多分返信は来ていただろうけれど、ブロックしたので永遠にそれを読むことはない。その後、私は彼のインスタをフォローフォロワー削除した。普通に感情がなくなってなかったから、流れてくるストーリーを見るのが怖かった。
その次の日に彼は私のLINEとインスタをブロックして、それっきり全てが終わった。
花見もフェスも旅行も鎌倉も行きたかった。行けなかった。

結局そんなもんだった。そんなもんだったというような恋愛だった。それ以上もそれ以下もない。
私が最後に送ったLINEのメッセージの「お幸せにね🤞」の「🤞」の絵文字が嘘ついた時に送る絵文字だということを知ったのは、偶然にもその一週間後だった。


その人について、好きじゃなかったわけではもちろんない。むしろ好きで自分がメンヘラになってしまうのが嫌で仕方なかった。この人なら恋愛できる、素敵だ、信用できる、と確かに私は思いました。
でも、好きだったところやときめいた場面はいくらでもあるけど、好きやときめきだけじゃ私の恋人への存在意義を果たさないことがよくわかりました。自分の弱さである寂しさをぶつければ簡単に壊れてしまう、結局そんな関係だったんだろう。ラインが返ってこなかった時間も、恋する時間としてその寂しささえ楽しめば良かった。でも私は、自分が恋愛で寂しくなり結果傷ついてしまうのが怖くて仕方なかった。相手も多分、そんな私に正面から向き合うほどの時間的精神的費用は両面持ち合わせていなかったし、私にも仕事に命をかける相手をどっしりと支える気概もなかった。そもそも私が精神的に不安定で自爆した。そもそも知らず知らずにアプリに求めすぎるようになっていたのかもしれない。人は結局相当の相手じゃなければ自分が一番可愛く見えるし大事にする。ていうかそうあるべきだと強く思う。
こうして、肥大したひとりよがりの思考だけが何周も何周も、どうしようも無く私の頭を回り続けている。好きで好きで仕方なかったなんて言ったって、本当に自分が相手のことを好きだったかどうかなんて証明できるものはその時の感情以外何もない。自分の当時の気持ちでさえはっきり言えないから、相手のその時の気持ちなんてエスパーじゃないんだから尚更わかるわけがない。だからせめて自分がその恋愛において相手に誠実に向き合えていたことだけ願っていて、それを客観的に確認したいがためにこうして文章に起こして可視化している。
アプリは結婚したい人が結婚するという目的のために着実に「利用」するか、普段の生活の中で全く異性との出会いがない人が恋人を作るための戦略として本気で市場として見て「利用」するためのものに他ならない。それ以外にアプリを使用するなら、一時的な享楽のみならず楽しいだけの後先考えないデート、休日に異性と過ごすという枠を作り少しだけ華やかに彩る予定埋めのためだけだと割り切らないと、無駄な傷を増やすかもしれない。アプリは、本気か、遊び。その両極二元論で使うべき。(そもそもすべてのことに目的意識がないと、路頭に迷うような気がする)という、私から結婚願望のない20代前半への、警告、そして感想でした。


すごく好きだったからこそ、どうしようも無かった。上手くいかなかった。すごく好きだったなんて言ったって、それを証明できるものは何も無いんだけど。
強くてかっこよくてエリートの彼は多分すぐに私を忘れて、今頃誰か別の人と陽の当たる部屋で昼まで一緒に寝ているのかもしれない。もはやカウントもしていないかもしれない。私とすごした記憶を誰かと上書きしていたとしても、私はいつまで経っても彼のことをどうしようも無いほど思い出して、そのきらきらした記憶を大事にして、忘れたいと思いつつも忘れたくないと思って、最後を懺悔して、後悔して、自己嫌悪していて、当たり前のように寝ても覚めても昨日の事のように思い出して、すごくベタに心が痛い。
数ヶ月経った今でも、あの時の光の当たる部屋で過ごしたあの一瞬がとてつもなく、絵に書いたように幸せで温かくて、私の好きな曲に似ていたことも、安い飲み放題の卓上レモンサワーで馬鹿みたいに酔って馬鹿みたいなこと言いながら手を繋いで夜の三ノ宮歩いたことも、歩道橋で彼と手を繋いだ時に私が嬉しい、と言ったら可愛いと言ってくれたことも、陳腐でチープで本当どこにでもある様なことでごめんだけど、だれかに軽蔑されてもいいけど、まだ多分私だけが忘れられていない。あのとき私がバイトがあるからと言って昼間に帰らなかったら、私たちはまだ一緒にいたかな、なら私はあの時、バイトなんか飛んで彼の部屋でずっとずっと一緒にいればよかった、なんて思った。
最後にあの街でしたハグもキスもあれで最後だったんだ、改札をぬけて階段登る私に下から手を振ってくれたのも、私は、あれが、本当のバイバイだったんだな、なんて思った、わたしは、好きなら途中くらいまでは送ってよ、なんて思っていた

最後に寂しいなんてこぼして、強くなれって叱られたこと、今でも覚えてるけど、ちょっとだけ1ミクロンでも後悔して欲しい
チャック袋の都こんぶも私、あけちゃったのに1枚しか食べなくて置いといたのも、あの棚から出した時、思い出してね
2回しか使わなかった歯ブラシも、その歯ブラシスタンドも、冷蔵庫に置いたままの赤玉パンチも、ジャックダニエルのコークハイも、それ見る度に私の事ちょっとだけ思い出して、ちょっとだけ後悔して欲しい
あと多分2つ残ってる0.01mmも、それ高いよね、他の方か安いよって言った私の過去にちょっとだけ嫉妬して欲しかった
最後に家に行った時きみが食器を買ったんだって見せてくれて、お皿たちが2人分になってたことも、私は、その愛を、満を持して真正面から受け取ることが出来たらどんなに良かったか、この未来が変わっていたかと思って、後悔してやまない

最後に酷いこと言ってごめんね。あなたは私にたくさん優しくしてくれたのに、それを信じられなくてごめんなさい。優しくしてくれてありがとう。多分わたしはもう少しの間、忘れることができません。楽しかったから、幸せだったから。あの日常の中で、わたしはあなたの事がいちばん好きでした。寝ても覚めてもあなたを想いながら、あなたの好きな服を着て、あなたと会うためにバイトに行って、あなたの返信を待ちながら生きる日々が、私は、すごく辛かったけど、私が嫌いな私に戻るみたいですごく憎かったけど、すごく好きで、幸せだった。不器用にしか出来なくてごめんね、最後に会いたかった。最後くらいはちゃんとしたかった。ごめんね。ありがとうね。さようなら、さようなら、さようなら。どうか、だれかやなにかに命捧げすぎずに、お元気で。どっかきみのしらないところで、遠いところで、負担にならないほどに、軽めに、私はきみを、応援しているかも。では。頑張れ。ファイト。オー。

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