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徒然なる相想草@ルリニコク
2024年3月13日 19:41
わたしを取り巻く土壁の中で開かれた大宴会ああ貴方はここで大きく腰を振って過去をなかったことにする本当は、わたしが受精するはずだったドス黒い貴方の松脂を生肉の目立つ赤子同士が奪い合うイニシアティブを取り合いながら尊大な母性を見せ合って尊大な惰性を身につけていく赤子たちは黒い子羊を産んでその肉をわたしと貴方は美味そうに骨まで喰らうきっと貴方のスキーム通り美しくて幸
2024年3月13日 19:52
ふたりの愛が裁判にかけられました。 まずは、ひとりめの番です。裁判長をつとめてらっしゃる、えらいえらいスマートフォン様が大きな声でおっしゃいました。「お前はひとりじめを願ったな。ひとりじめは、いけないんだぞ。人を、苦しめるんだぞ。お前に殺された人たちが、どれほどいると思うんだ。」 五十個ほどにも及ぶドングリをお支払いしてこの裁判を聴きにきた人々は、おぉいと叫んで喜びます。そりゃあ、そ
2024年3月13日 19:32
綺麗な言葉など紡げません。私という人間は校庭の隅に転がっている汚い植木鉢の破片のような存在ですから。それはそれは刃のような鋭利さで触るものを傷つけますから。それでも私の書くものを詩や詞として目を少しだけ輝かせて読んでくれる人がいます。刺さると言ってくださる方々がいます。詩とはなんでしょう。言葉とはなんでしょう。自転車であり薬であり。空気でもあり屑でもあり。ええ、屑か
2024年3月13日 19:25
私の秋のお話など誰が聞きたいとお思いでしょう。それでもほんの少しだけ話しておきたいのです。強き女性がおりました。私は彼女を傷つけたいと、そう思いました。どうしてそう思ったか。いまでもはっきりとはわかりません。きっと大切だったのでしょう。それでいて普通への憧れだったのかも知れません。小学二年で首吊りの遊びをしていたような男ですから私の考えることは今ひとつよくわかりま
2024年3月13日 19:18
たまに頭蓋の奥から匂いが染み出てまいります。これはこれは。懐かしゅうございます。言葉にすれば、灯油の燃える香り。映像にすれば…誰にも伝わりますまい。あれは新潟。新津。いまは秋葉区。毎年毎年お正月にあつまったもので、子供の頃の雪は、あの家でございました。きんと冷えた黒い廊下を進むと、奥から祖母がとんとんと料理をする音が聞こえます。右にある重めの茶色い扉を開ければ、祖父があぐらを
2024年3月13日 19:16
あなたは机の埃をなぞりながら少しお話をはじめました。わたしはその内容にあまり興味がございませんでした。そんなことよりも冬の水面のようなあなたの瞳をマリアのようにアルカイックなスマイルで眺めることに精を尽くしました。主人を失ったこの古い家には人間が動いた記憶だけが渦をまいてとどまっているようにも思えます。その中心であなたは銀河のようにその渦を吸収して立っている。そんな風
2024年3月13日 18:04
ああ。あの日。あの日のことでございます。私は一心不乱に初詣を並んでおりました。三十分くらいでしょうか。やっとのことで順番は巡り、二礼二拍手。ありきたりなお願い事をしようと思いました。家内安全とか、交通安全。世界は安全が一番なのでございます。拍手のまま手を合わせ、目を瞑り、そのありきたりな文言を心で唱えようと脳内を動かしました。すると。なんということでしょう。周囲の雑音。それは