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徒然なる相想草【詩・小エッセイ】

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ルリニコクみみみの詩・小エッセイをまとめました♪
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幸福な世界

幸福な世界

わたしを取り巻く土壁の
中で開かれた大宴会

ああ貴方はここで大きく腰を振って
過去をなかったことにする

本当は、わたしが受精するはずだった
ドス黒い貴方の松脂を
生肉の目立つ赤子同士が奪い合う

イニシアティブを取り合いながら
尊大な母性を見せ合って
尊大な惰性を身につけていく

赤子たちは黒い子羊を産んで
その肉をわたしと貴方は
美味そうに骨まで喰らう

きっと貴方のスキーム通り
美しくて幸

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紫のヴァイオリン

紫のヴァイオリン

枝のような腕が
わたしの首をつかみ
すこし窒息する

呼吸が
三分の一くらいになって
下のほうが疼いてきたころ

あなたはわたしを
ただひたすらに
力のかぎり

わたしは天井をあおいで
舌は夜の海のように
水気をまして裏がえる
星が散るような愛に

わたしはさらに窒息する
紫色のヴァイオリン

/ルリニコクみみみ

春の記憶

春の記憶

また
鼻が記憶のひとり旅
わたしのいつか

なぜ過去は
こんなに
霞むのかしら

色より
言葉より
香りは世界

そう謳った
貴方の顔は
見えないけれど

きっと死ぬ気で
愛した春
鼻が記憶のひとり旅

/ルリニコクみみみ

【小エッセイ】決意

【小エッセイ】決意

幾度となく繰り返した
当たり前の日常を
麻痺しながら繰り返した
嘘の安寧を

手汗を握り、破壊する

白紙にもどるこの時こそ
渦が螺旋へと
昇華する瞬間

くだらない大人の
格好だけのスライドは
自由なキャンバスに変わる

ここからまた始まり
呼吸はきっと続いていく

/ルリニコクみみみ

【小エッセイ】散歩

【小エッセイ】散歩

湿った空気。なんだか渋い香り。
夏の終わり。木陰が続く黒い道。
知らない道。

左の汚い用水路。右の緑。
足元に転がる蜂や蝉の亡骸。

空になった入れ物。燃える私の肉体。
汗にまとわりつく羽虫。

すべてが集約される。
気持ちが悪い。

/ルリニコクみみみ

【小エッセイ】やるやらぬ

【小エッセイ】やるやらぬ

やるもやらぬも私の自由。
やれば矛盾に狂う日々。
やらねば嘘なく普通でいられる。

醒めぬも醒めるも私の自由。
醒めねば苦痛に狂う日々。
醒めれば少しは役に立つ。

やらぬ醒めるを他人が望むが
きっと私は地獄行き。

/ルリニコクみみみ

【小エッセイ】つくる

【小エッセイ】つくる

机に向かう。
夜の香りも感じない。

笑える話も
明日の予定も
財布の中身も
よく思い出せない。水中の蟻。

書いているのか。
書かされているのか。
関係ない。目の奥だけが熱い。

世界はいつも耳元で囁く。
死ね。死ね。
それでも手は止められない。
まだ生きているのだから。

/ルリニコクみみみ

【小エッセイ】まいはーと

【小エッセイ】まいはーと

私に私の心がなければ
お金は図太く増えるだろう。

私に私の心がなければ
関わる誰かは笑むだろう。

私に私の心がなければ
社会の役にも立つだろう。

私に私の心がなければ
我が家の塵も減るだろう。

それでも季節を楽しめる。
愛しいものを愛しく思える。

私の心のおかげだろう。

/ルリニコクみみみ

センスが死んでいく

センスが死んでいく

黄色が流れる方へ
関心たちは寄り添う。
バケツを返す黒服の
意図に気づくわけもなく。

まるで鯉のように
群れの真似して口を開ける。

それが自分の好みだと
錯覚しているのか。
あるいは感覚に従うことを
放棄したのか。

透明だった世界が
黄色く染まる。

/ルリニコクみみみ

たぬきさん

たぬきさん

ねえ、たぬきさん。
その頭には管がない。
だから楽しそう。

いつでも自分のお話。
感じることもできないのに
感じてるような気になってる。
悩んだふり。
羨むふり。目指すふり。

ねえ、たぬきさん。
なんて羨ましいこと。
なんて羨ましいこと。

僕はこの管で首を括ろう。
君が世界だ。

/ルリニコクみみみ

黎明の嘆き

黎明の嘆き

ひとり。黎明。

秋霖のしたたりと足跡は重なる。
酔い痴れた汚い道に苛つくけれど
それもまた人の一興と言いきかす。

さればとて俗世は腐臭。
汚い。穢い。

凌ぐ余裕は、もはやない。

/ルリニコクみみみ

オノレエール

オノレエール

覇気を失いし貴方。
その手は何の為に在ったのか。
その脳は何を想って居たのか。

何の為に生きているのか。
無くした物を数える為か。
昔は良かったと嘆く為か。

何時しか憩いの家で
あの人昔は◯◯だったらしいわよ
だなんて言われて笑われる為か。

雑草の生えた墓前で
爺さんはこんな人でね
なんて興味もなく説明される為か。

現実を切りその臓物を引き出し
そこに己の居場所を一から造る。
その粋な背中

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愛に関する小さな考察

愛に関する小さな考察

 ふたりの愛が裁判にかけられました。

 まずは、ひとりめの番です。裁判長をつとめてらっしゃる、えらいえらいスマートフォン様が大きな声でおっしゃいました。

「お前はひとりじめを願ったな。ひとりじめは、いけないんだぞ。人を、苦しめるんだぞ。お前に殺された人たちが、どれほどいると思うんだ。」

 五十個ほどにも及ぶドングリをお支払いしてこの裁判を聴きにきた人々は、おぉいと叫んで喜びます。そりゃあ、そ

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実存主義と構造主義

実存主義と構造主義

街に溶けていく貴方。
冷たい机に囲まれて暗闇手探り。
夕日も見えずに貴方は生まれて。
街に否定され貴方は生まれて。

隣に居たい愚かな私は
いつまでも笑顔を諦められない。

そんなに焦って言葉に囲まれ
まるで極夜のカスミソウ。

そんなことより街を抜け出し
今いる私を抱きしめて。
世界はここにあるでしょう?

/ルリニコクみみみ