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読んだ小説を褒めながら紹介するnote ~『継母の連れ子が元カノだった』篇~

 今回は、アニメ化の計画も進行中な人気作品となっております。

『継母の連れ子が元カノだった』シリーズ #とは

 まずはお決まりの書影から。

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たかやKi先生の描くキュートなガール&ボーイが目を引きます。

 そんなふたりが、わちゃわちゃするストーリーを書くのは紙城境介《かみしろ・きょうすけ》先生
 デビューは第1回集英社ライトノベル新人賞の優秀賞作品、『ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件』。
 なお、カバーに書かれている情報に依れば、人死にを描くのに疲れて『ネット上でカップリング厨の本性を現し』ていたところで、第3回カクヨムWeb小説大賞・ラブコメ部門の大賞を本作で取ってリリースと相成ったそうで。


 さてさて、大雑把なあらすじは――――


 いやまぁ、タイトルのまんまなんですけども。


 とある中学校に、とある男女がおりました。
 少年の名前は、伊理戸水斗《いりど・みずと》
 少女の名前は、綾井結女《あやい・ゆめ》
 夏休みに入って間もなくの図書館で『運命の』出逢いをしたふたりは、恋をしあって、付き合って
 だけど、だんだんとすれ違いが増えてきて、中学卒業とタイミングを同じく別れた

 ま、そこまでなら、ふつうの、どこにでもあるお話。

 ところがどっこい!
 親が再婚すると言って顔合わせに行けば、そこに居た連れ子は別れたばかりの元恋人だった、と。

 連れ子系のラブコメは数あれど、これはなかなかな導入ですねえ。


『継母の連れ子が元カノだった ~昔の恋が終わってくれない~』 #とは

 サブタイトルを含めた第1巻はこうなっています。

 まずもって笑いを誘うのは、水斗と結女双方の心情が盛大に付け加えられて始まる導入文ですね。

 ――お前ら、どんだけヒネとんじゃ、と。  

 散々『運命の』とか言っておいて、その後には『崩壊の序章』
 最終的に、水斗が結女を示す際の言葉――『あの女』
 これ、だいたい結女の方も同じこと――つまり『あの男』などと言ってますからね。
 結局似たもの夫h――あ、こう書いたらふたりにシバかれますね。

 さて、そんなふたりが『きょうだい』になったところで、いきなり問題が発生するわけですね。
 ああいう別れからの出逢いを果たしてしまったふたりなので、『相手に対してどうマウントを取るか』の勝負が発生します。当然ですね。
 第1ラウンドは『どちらが姉・兄なのか』
 このふたり、実は誕生日が同じなのですが、結女が抜かりなく『幼少期の自分の写真』を捜査し、水斗の出生が午前11時34分で、自分は午前11時4分より早く生まれていることを調べていたんですねえ。

「この写真によれば、私は少なくとも午前11時4分にはすでに生まれている。最低でも30分、私の方がはやく生まれたの。わかった?」
 …………こいつ、マジか。
 たったこれだけのために、僕の家のアルバムまで引っ繰り返して、調べてきたのか。
「ひくわー」
 率直な感想を述べると、結女はかっと顔を赤くした。
「なっ……何でよっ!? 完璧な推理には完全な証拠が必要でしょ!?」
「出たよ、本格ミステリマニア。そんなにパズル性が大事なら素直にパズルやっててくんない?」
「うわっ、売った! 本格ミステリ界全体に喧嘩を売った! 買うわよいくら!?」
「まあ、フェアだアンフェアだと騒ぐ割には解決編前に推理したりはしない君のお遊びにあえて乗るなら、残念ながらその論証には穴がある」
「何よ穴って! あなたの目ん玉のことでしょこの節穴っ!!」
(『継母の連れ子が元カノだった』p.24 より)

 何なら、ミステリではなくヒステリじゃねーか、というツッコミは一旦どこかへ放っておきましょう。

 とはいえ、かつては双子は先に出てきた方が弟・妹になるという方法もあったわけで。
 しかしながら、生まれ日は同じでも、このふたりは双子ではないわけで。
 これを反証として持ってきた水斗だったけれども、結女はどうにか看破。

 結局二進も三進も行かず、ゲーム(端から見ればちょっとジャンルがおかしいイチャイチャ)で決着を付けようとするも、残念ながら有耶無耶に。

 最終的にどうなったかと言えば――。

「……おはよう、水斗くん」
「……おはよう、結女さん」

 名前呼びです。
 ……付き合ってたときすら、名前呼びなんてしてなかったのにね。
 初心なおふたりはラブラブしてるときでさえ、「伊理戸くん」「綾井さん」だったんですから。


 その後。
 同じ高校に通うわけですが。
 いわゆる『高校デビュー』を見た目の変化はもちろん、首席合格での新入生代表挨拶でかっさらった結女のきょうだいということで、お近づきになりたい男子の踏み台に使われかけた水斗。
 その光景にもやついた結果、いっしょに登校する手段に出た結女。――しかも、腕なんか組んで。

 更にその後。
 体調を崩した結女を、水斗が看病してみたり。
 同級生に翻弄されてみたり。
 ……デートしてみたり。


要するに。

 正直、第1巻から盛りだくさんです。
 ああ、なるほどウェブ連載ってこうだよな、大賞作品ってこうだよな、と思わされた次第。
 ……見習わなくちゃ

 セリフの応酬(掛け合いというよりはそっちが適しているはず)も読みどころのひとつ。
 ふたりとも優秀な頭脳の持ち主であるキャラクターなこともあり、打てば響くこと響くこと。何なら大して打ってないのに響いてくるような傾向もあり。

 あとは、口ではいろいろと言うんですけど、やっぱり何だかんだ言って気になるんですよね、互いに。
 それが「きょうだい」の情なのか、はたまたそれ以外なのか。
 その辺も探りつつ、ぜひこれからも続いていって欲しいところ。


続巻のお知らせ。

 先日第7巻が出たところです。
 順調に続いています。
 やったぜ。


 ぜひ。


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