見出し画像

<無料公開>日本の教育の現状と取り組みとは①

本記事は無料公開となっております。宜しければサポート機能にて支援をいただけますと幸いでございます。

現在の教育格差では、学力格差や進学格差が特に問題になる。学力格差においては学力低下論などが叫ばれ、「ゆとり教育」が廃止され、2011年度から新学習指導要領が実施され、授業時間数や学習する内容が大幅に増加する。「脱ゆとり」とよくいわれるがこれも正しくは一度減らしたものを元に戻しただけである。つまり、私を含む「ゆとり世代」は学習量が上の世代、下の世代に比べて少ないということになる。

この学習量の格差はいつか埋められるのだろうか。結局は自分の努力で埋めるしかなくなる。簡単にいえば実験材料に使われたのではないかとも思われる。また、「現在の教育の状況は、知識を身につける技術を習得することが目的となってしまっていて、学ぶことの最大の目的である「思うこと」=「問題意識」が欠如してしまっている。それと同時に他者を「思うこと」も失われてしまった。それが教育格差の根底に潜む問題ではないか。

実際自分自身が「ゆとり世代」、すなわち他の世代よりも学習量が少ない、能力がないとみられる可能があること、それに対する危機感を持っている人がどれくらいいるだろうか。その部分こそがまさに学力格差が生み出してしまった最大の問題点ではないか。

実際の学力においても低下傾向がみられる。OECD(経済協力開発機構)のPISA調査においても、学力が高いことで有名なフィンランドをはじめとして、アジア諸国よりも低い位置にあると結果がでている。もちろん、母数や調査方法、試験方法など異論が起こる部分があるのも事実ではあるが、客観的なデータとして近年特に注目されているのは間違いない。当初はトップクラスであったにも関わらず順位が下がったために「ゆとり教育」に問題があるとされ、日本国内でも「全国学力テスト」が実施されるなどして学力の現状の調査や向上を目指すなどアクションを起こし始めた。

しかし、そうなると学校での勉強が現時点でも学問の本質を教えられていないにも関わらず、テストで点数を取る教育になっていってしまうことが予想される。このような教育では、一面的な学力を育てるのには効率がよいが、社会的能力や統合能力、実践的な能力の訓練としては死角を生みやすく、しょせん学力試験で点数を稼げても、社会で通用しないことも起きやすくなる。

教育は多様性があり、さらにそこから専門的分野に興味・関心を持ち、進んでいくことが望ましいのであるが、このままでは、学問の基礎的な部分の軽視、また教育の多様性が失われてしまう。「全国学力テスト」の実施自体は良い試みである。しかし、このテストをどう生かすかの方策の部分が欠けているのではないか。学習指導要領、教科書などを改訂し、いくら学習する量を増やしたところで、残念ながら教える側、つまり、教師が同じである以上効果は薄いと思う。学習量や内容を増やすと同時に、現在教壇に立っている教師自身が本当にその内容を教えるだけの技量を持っているのか、ない場合にはどのようにしていくのか、その部分を軽視しては日本の教育、子ども達や日本の将来は平行線あるいは下降していくだけである。  

日本が取り組んでいることとして、「学習指導要領および教科書の改訂=脱ゆとり」「全国学力テスト」の2点をまず挙げたが、他にも取り組みが行われてきた。例えば「学校選択制」や「習熟度別学習」「少人数学級」や「公立中高一貫校」などである。

「学校選択制」は、東京都をはじめとする多くの地区で取り入れられた。これにより、校風や部活動、進学実績等で学区内であれば場所に関係なく子どもが進みたい小中学校に進学できるようになり、一人ひとりの子どもに学習環境の選択肢が与えられたという点で効果は間違いなくあったと思う。しかし、メリットがあればもちろんデメリットも生まれてしまう。

例えば、通学時間の増加や安全面の確保の難しさ、学校により生徒数の偏りがでてしまい廃校に追い込まれるなどである。特に一度悪い評判が広まると生徒が集まらなくなるなど風評被害的なものが生まれたのも事実である。また、格差という観点では、東京都の場合であれば、子どもが住む学区自体で格差が起こってしまう点がある。上質の学校がある学区の地価や家賃が高いと裕福な家庭しかその学区に住めない。つまり、「学校選択制」はすべての人がその恩恵を受けることができるのではなく、富裕層しか選択権がなかったのもまぎれもない事実である。本当に能力がある、可能性のある子はもちろん裕福な家庭だけでなく、貧困層の家庭にもいるのはまぎれもない事実だ。

また、裕福な家庭の子ども全員に能力がある、可能性があるというわけではないのも事実である。つまり、金持ちの無能な子どもよりも、貧乏人の有能な子どもに良質の教育を受けさせれば、社会の効率性は高まるということもいえるのであるから、今の日本の教育、また「学校選択制」では格差がさらに広がってしまう可能性がある。

サポートいただきありがとうございます。サポートのおかげで今後の活動につなげていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。