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2020年3月の記事一覧
独りの待合室(失われた時)
「ニッポンから……」
ニッポンと聞くと数歩離れて二人で何やらひそひそと話し始めた。
「こちらへどうぞ」
薄暗い待合室に通され待つことになった。普段使いされている部屋とは違うどこか独特の匂いを感じる。お茶も新聞もなく退屈だ。人がやってくる気配もまるでない。もう30分、あるいはそれ以上だろうか。私は立ち上がって入り口まで歩いた。ドアが開かない。向こうから鍵がかかっているのだ。
「おい! どうなっ
「ニッポンから……」
ニッポンと聞くと数歩離れて二人で何やらひそひそと話し始めた。
「こちらへどうぞ」
薄暗い待合室に通され待つことになった。普段使いされている部屋とは違うどこか独特の匂いを感じる。お茶も新聞もなく退屈だ。人がやってくる気配もまるでない。もう30分、あるいはそれ以上だろうか。私は立ち上がって入り口まで歩いた。ドアが開かない。向こうから鍵がかかっているのだ。
「おい! どうなっ