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映画せんにんの記録

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映画を観て感じたことを綴った記事をまとめました
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2021年9月の記事一覧

”いま”が最良なら”未来”は?~「我等の生涯の最良の年」

”いま”が最良なら”未来”は?~「我等の生涯の最良の年」

古ければいいというわけではないけれども、古い作品には現代の作品にはないシンプルさと、それ故の含蓄があると思ってしまう。
今回もそんな作品を。1946年公開の「我等の生涯の最良の年」
・・・何回見ても覚えられないタイトルなのだ。。

アメリカの第二次大戦復員兵のまつわる話。
日本も戦後は大変ではあったが、それは復員兵も銃後の人も同じだった。一方戦勝国アメリカは、銃後はほぼ普通の生活が送られていたわけ

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ポワロ、神か悪魔か~「オリエント急行殺人事件」

ポワロ、神か悪魔か~「オリエント急行殺人事件」

アガサ・クリスティーの作品の中で最も有名な作品といっても過言ではないのが、「オリエント急行殺人事件」ではないだろうか。
それは衝撃的な結末もさることながら、登場人物のそれぞれが実に個性的だからというのもあると思う。
数ある映像化の中から1974年版を今回視聴した。

自分は本作に最初に触れたのは小説であった。そのディテールはあまり覚えていない。ただ少なくともこの映画ほどには、探偵・ポワロの印象は強

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優作から目を離せない~「ブラック・レイン」

優作から目を離せない~「ブラック・レイン」

日本人は昔からハリウッドに対しての憧憬が強い。
一時は日本映画の方こそ世界から憧れられた時代があったというのに。
いまだ邦画・洋画の区別が根強い中、この俳優が生き続けていたならば日本の映画も変わっていたかもしれないと思わせる人物、それが松田優作ではないだろうか。
彼の遺作にして傑作、1989年公開「ブラック・レイン」

監督は、「ブレードランナー」のリドリー・スコット。こういうテイストが好きなんだ

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SFホラーの金字塔~「エイリアン」「エイリアン2」

SFホラーの金字塔~「エイリアン」「エイリアン2」

SF映画の古典というと思いつくのが、「スターウォーズ」であったり「2001年宇宙の旅」であったりするが、SFとホラーとを融合させた傑作といえばこの作品も外せない(らしい)。
1979年公開「エイリアン」と1986年公開「エイリアン2」だ。

自分は正直、ホラー映画は苦手である。そのせいで傑作映画のいくつかはいまだに見られずにいるわけなのだが、今回は勇気を出して視聴してみた。

一般的には”エイリア

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ステレオタイプは悪か~「ボディガード」

ステレオタイプは悪か~「ボディガード」

我々くらいの世代からすると90年代はついこの前のように思うのだが、それくらいに生まれた人たちと一緒に仕事をしたりすると、時の流れの激しさに改めて慄然とさせられるものだ。
そんな90年代初頭に大ヒットした映画、「ボディガード」である。

うん、まあストーリーは悪くない。
悪くないけど、二人が恋に落ちるという件は蛇足というか、拙速な展開というか、やや腹落ちしないまま進行していったという印象。

そもそ

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