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数値では見えない危ない会社の見分け方

 今日は、先日の決算書を分析する定量分析に対して、数値では見えてこない部分の分析、定性分析についてお話します。
定量分析を数値で見た結果とするならば、その結果に結びつく様々な原因をチェックしていくことが定性分析になります。

こんにちは、佐々木正人です。
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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(1) 定性分析とは

企業の情報の中には、単純に数値で表すことができない情報(=定性情報)があります。
具体的には以下のように経営資源といわれる「ヒト」「モノ」「カネ」そして「情報」(不安情報)に分けて見ていくと分かりやすいです。

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企業の分析は、定性分析と定量分析を総合的に分析することが重要であり、定性分析で得られた結果と定量分析での数値結果から企業の総合力を読み取ることで、信用状態を正確に分析することができる!
👆教科書的には大事なことなので書いておきますが。。。

実際は、取引先の決算書を全て入手出来る事が理想ですが、そんな事が出来るのは官公庁やナショナル企業の調達部門くらいでしょう。(笑)

直接取引先から依頼して、決算書を受領する場合も勿論あると思いますが、取引関係上、弱い立場にある場合は決算書を直接相手から入手する事は困難でしょうし、中小企業の場合は、非公開の会社も多く、調査会社等からも決算書を手に入れられないケースが多いからです。
また、例え手に入れられたとしても、決算を粉飾している場合もあり、必ずしも、その企業の実態を正しく分析出来ない事も考えられます。更に、決算書を入手した時点でその情報は、既に過去の情報となっています。

従って、主に営業担当者になるかと思いますが、普段の取引先とのやり取りや訪問時の『気付き』が非常に重要になってきます。ここに関しては新人からベテランまでどうしても質にはムラが出来てしまいますが、ポイントをお伝えします。

(2)「ヒト」の情報

【代表者の能力・資質】
・経営者が経理や財務などの会社の数字に明るいか、経営者を補佐する有能なスタッフの存在の有無をチェック
⇒経理面に弱い経営者は、販売には熱心でも回収には無関心だったり、商品開発には熱心でも赤字を気にしないなど、見通しが甘くなる傾向があるので、注意が必要です。普段の会話から、質問してみると良いでしょう。

・経営者が政治や宗教、全く別分野の事業など本業以外のことに熱心な場合も注意が必要
⇒会社の本業が疎かになって販売や管理が甘くなる、本業以外に資金が流出する等の危険性があります。嘘かと思うかもしれませんが、社長は孤独です。相談できる人が社内におらず、宗教や占い師などに肩入れするケースは少なくないのです。

・継続取引の場合、後継者やその候補者が育っているかもチェックすべきポイントの一つ
⇒後継者教育が行き届いていない場合、現在の代表者に万一のことがあった時、経営が混乱し、資金繰り等に大きな影響を及ぼしかねません。実際に経営者はカリスマ性あるが、NO2以降が育っていなくて、経営者の死去後は衰退してしまう企業は多々あります。

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【役員の経歴】
・他社から出向してきている役員がいる場合
⇒経営の建て直しの為に株主や取引先、金融機関等から派遣されてきている事も考えられ、実質的に経営を支配されている懸念があります。
出向役員が引き上げた場合は要注意。経営が悪化し、見放されたという可能性があります。

・素性がよく分からない役員が名前を連ねている場合、警戒が必要
⇒倒産歴などを調査し、経歴詐称過去に何度も倒産歴があったり、詐欺的な倒産整理に関わっている事が疑われる場合は要注意です。

役員の交代は、商業登記簿で確認は必要
⇒資本金などの変遷と合わせて調べると、株主や経営母体の変化を類推できます。

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【系列の有無】
・優良企業の子会社や孫会社など系列下にある企業
一般的に、与信面で大きなプラスと考えて良いです。なぜなら、仮に子会社の業績が悪化したとしても、法的責任とは関係なく社会的責任から親会社が子会社の支援を行うケースが多いためです。(※日本においては!)
⇒ただし、株式の保有比率や本業との関わり度合によって、支援体制が変わるため、見極めが必要です。

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【オーナー経営/一族経営】
・中小企業の多くが、代表者一族が株主で経営も行っている同族経営企業

・代表者がオーナー経営者か雇われ社長かチェック
⇒オーナー経営の場合、代表者は経営に関わる全てを取り仕切っている事が多く、代表者の手腕や理念が企業の将来を大きく左右します。。
・代表者が株主と違う場合は合理的な理由の有無をよく調査する事です。

・同族企業の場合、一族が保有している資産や他のグループ会社についても調べる
⇒子会社に自社の損失を押し付けて決算をよく見せる会計処理を行ったり、経営不振の子会社の債務を保証したりするケースもあります。
「会社は違えど財布は一つ」と考え、グループ全体の取引と資金の流れを把握する必要がある。主なグループ会社の決算書を入手し、財務分析を行うことでグループ全体の経営状態の把握に努める事です。

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他にも「ヒト」でのチェックポイントは、株主の変更や、従業員の平均年齢、賃金水準、定着率等を調べることも重要です。詳しくはもう少しありますが、「ヒト」だけで本日終わってしまいそうなので次へ行きます。

(3)「モノ」の情報

【商品力、業界地位・動向を調査】
・最近は、商品や製品のライフサイクルが短期化しています
⇒取引先の商品や製品が成長期か衰退期を見極める必要があります。

・単一商品しか扱っていない企業では、新商品や競合商品の登場によって致命傷を受けかねない為、ONLY ONEの商品かサービスかを見極めます。

・取引先の業界関連の法制度の変更、市況性のある商品であれば商品価格の変化なども調べ、業界における地位や業界動向についても確認が必要。
(例)材料価格の高騰が続いている場合(最近ではウッドショックといわれる木材の高騰や食品油の高騰など、ニュースでもよく見ますね。)
⇒そのコストを販売価格に転嫁できなければ、採算悪化が進む可能性あり。

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【取引先の「取引先」を確認】
・取引先の仕入先や販売先が安定しているかを見極めることが非常に重要
⇒安定してない場合、受注基盤が確立せず、安定した販売活動が出来ない。
⇒仕入先の経営基盤が弱い場合、商品や製品を安定して調達する事が出来ず、安定した生産活動を行う事が出来ません。

・特に、販売先に信用不安が流れている場合
⇒その販売先の倒産によって、多額の焦付きによる損失が発生したり、最悪の場合は「連鎖倒産」の危険性もあります。
⇒従って、その販売先が倒産した場合に取引先の業績・資金繰りにどの程度の影響が出るか注意が必要です。

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【店舗や工場・設備の状況】
店舗や事務所の立地条件は、売上げやコストに大きな影響を及ぼします。
・人通りの悪いところの店舗では、なかなか販売は伸びない
・販売先から遠い場所に工場がある場合
 ⇒輸送コストが余計にかかり、負担が大きくなる。

・工場設備の更新状況や稼働状況もチェック
・古い設備での生産の場合
⇒他社の新しい設備で効率的に生産された製品に勝てなくなる可能性あり。
・設備は新しいが稼動状況が悪い場合
設備投資のための借入に対する返済や金利の負担が大きくなる。
・事務所や工場・設備の所有状態もポイント
⇒社有の資産の場合、担保にして資金調達が可能。不動産の登記を調べれば、銀行に担保として差し入れているかどうかも分かる。

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(4)「カネ」の情報

【取引銀行を調査】
・主力銀行(メインバンク)の有無、取引歴や支援状況を調べる
⇒近年は金融機関への国際的規制強化の流れもあり、業績や財務貸出姿勢は厳しくなる傾向にある。

主力銀行が頻繁に変わっている場合は注意が必要
⇒業績悪化などで資金繰りが悪化したために返済能力が低下し、銀行の与信・支援態勢に重大な変化があった場合が多い。

・主力銀行の変更は、取引先が使用している手形や小切手の支払銀行をチェックすることで把握可能
⇒リスクが高い取引先の手形については、営業担当者や経理担当者が銀行の変化の有無に注意。
⇒取引銀行が変化した場合は、取引先に理由を聞いてみることが重要。

・企業規模に比べて取引銀行が多い「多行取引」という状態も注意が必要
⇒どの銀行も大きな与信リスクを取りたくないと考えていると推察可能。

(5)不安情報

【支払遅延情報】
① 不渡手形情報
・「不渡り」・・・支払手形の期日に決済が不能状態となること。

・6ヵ月以内に2回不渡りを発生
⇒手形交換所取引停止(銀行取引停止)。取引停止処分期間中(2年間)は、銀行を介した決済が不能となるため、実質的に倒産扱いとなる。
⇒1回目の不渡り発生から約2週間~1ヵ月程度が最も倒産し易いと言われており、最も倒産に近い不安情報といえる。

② 手形ジャンプ情報
・支払手形の期日に決済不能であるため、取引先に相談して、再度手形を振り出し直すことで、決済期日を延長してもらうこと。
⇒現金払いの際の支払遅延と同義。資金繰りに直結する内容であることから、不渡手形情報と同様に、倒産に近い不安情報といえる。

【貸倒れ(焦付き)情報】
① 与信先に焦付き発生
自社の与信先に焦付きが発生 = 「与信先の資金繰りが行き詰まる恐れがある」

・焦付きの発生は、他の取引先からの業界情報の他、法的整理時に公開される債権者リストで確認可能。
⇒特に債権者リストでは、貸倒れ金額も確認でき、与信先の財務体力と比較し、具体的な与信判断に繋げる事が可能。

② 「与信先の取引先」が倒産、経営危機
・「与信先の取引先」に関する倒産情報や経営危機の噂を入手した場合
⇒与信先を調査した際に入手した「与信先の取引先」情報を基に、与信先が受けうる被害を推測し、早めに与信先に対する与信判断に修正を加える必要あり。

【手形割止め情報】
・市中の金融機関に持ち込まれた割引手形に対して、金融機関側から割引が拒否されたことを示す不安情報。
⇒主に周辺の金融機関に同銘柄の支払手形が多く出回っていることから、手形の決済に懸念があるものと判断されるケースが多い。

【登記情報】
① 動産譲渡登記
・動産譲渡担保の設定時などに動産譲渡登記がなされる

・譲渡担保自体は、金融調達等にも用いられる手法で、必ずしも「動産譲渡登記=不安情報」という訳ではない。
⇒しかし、取引や資金調達において、信用力の補完に動産への担保設定が必要とされていることについては、やや注意を払う必要があるといえる。

② 債権譲渡登記
(商業登記簿謄本)
・動産譲渡登記と同様に集合債権譲渡登記設定の際などに用いられ、債権譲渡における第三者対抗要件の観点からも債権譲渡登記がなされる。
⇒譲渡人(ex.与信先)の債権が登記設定者(ex.取引先、銀行等)へ譲渡される内容の登記。

【行政処分情報】
・許認可業種において、重大な違反事項等が生じた時に、担当省庁や自治体から命じられる処分情報。
⇒業績へのインパクトが大きいものも少なくない。
・飲食業等における営業停止命令
・建設業における官公庁からの指名停止処分
・産廃処理業における許可取消し
 等

最後の方は少し詰め込み過ぎたかもしれませんが、定性情報のさわりの部分から奥深い部分まで、普段はセミナーでお話しするような内容をお伝えできたのではないかと思います。

自社に倒産危険度チェックリストのような定性分析のためのツールを作成しておくこともお薦めします!

本日は少し長くなりましたが以上となります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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