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忍び寄る「ウッドショック」で業界悲鳴

 これまで様々な業界を取り上げてお話してきましたが、債権管理において重要な業界について触れていませんでした。それは「卸売業」です。
本日は、卸売業の中でも建築材料卸売業の債権保証とケーススタディについて話していきます。

こんにちは、佐々木正人です
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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卸売業は取引先も多く、日々たくさんの掛け取引が発生する為、債権管理が大変な業界であり、私自身もコンサルティングで携わる事が多い業界です。

1.建材卸売業とは?

建材卸売業とは、建材(壁、天井、屋根などの外装となる材料)、建設資材(木材、金属、等)の卸売を営む企業が属する業界を指します。
建材卸売業を営む企業は、建材メーカーから商品を仕入れ、工務店やゼネコン、ハウスメーカーに販売します。

0521図1(3)

2.業界が抱える不安要素

現在、「ウッドショック」と呼ばれる木材不足が深刻で、木造建築に欠かせない加工木材の供給が滞り始めています。世界的に品薄状態で、先物価格は過去最高水準と、この1年で価格が4倍超にまで高騰しました。住宅メーカーは業績悪化の懸念が想像できます。

理由が何故だかわかりますか❓

答えの1つが、新型コロナの影響で世界的に在宅でのリモートワークが多くなり、中国やアメリカで住宅の着工戸数が大幅に増えて、世界的に住宅用の輸入木材不足がかなり深刻化してるんですね~。

日本は住宅用の木材だけでなく合板などは殆どが輸入品に頼っているのが現状です。また、新型コロナウイルスの影響による輸送費の上昇なども背景に、住宅用木材はかつてないような価格高騰に直面しています。

ハウスメーカーでは住宅用木材の仕入が無ければ、建てたくても今後は着工出来ないというジレンマが生まれるかもしれません。
建売物件は今後の着工予定現場が相当遅れるとの予測があることから、早めに建物完成品の価格変更になったものを狙うのが適切かも知れませんね!!
ちなみに自宅周辺の新築物件は、私が建てた時に比べて売出し価格は高くなってますね。不動産なので、同じ地区、土地面積、注文物件と建売物件でも同条件とは言えませんが、、、

需要と供給で価格が決まる、分かり易い典型例ですね。

画像2


(出展:西栗倉森の学校)

3.建材卸売業における与信管理の特徴

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①とにかく取引先が多い!!
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取扱い商材が多岐に渡る為、その分その建材を必要とする企業も多いです。卸売企業が抱える取引先数は数千に上るケースは少なくありません。

一番の課題は、全取引先の与信状況が把握できない点です。
営業担当1人が抱える担当社数にも限界はありますし、担当先全てに同じ労力を掛けてフォローするのにも「時間」という制約があります。
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②しかも零細企業の取引先が多い!!
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販売先の工務店やハウスメーカーは地域密着型が多い為、建材卸売業の企業も地域に根付くケースが良く見受けられます。必然的に地場の零細企業との取引が増えていきます。

これは①と似ていますが、例えば零細企業1社が抱える年間の住宅着工件数は5~10棟と言われています。
その為、取引先1社あたりに抱える債権は小口となるケースが多いです。

更に、古くから商売をしている企業の場合、注文書などのやりとりがなく、突然電話で「来週までに○○を50本お願い!」とだけ伝えられ、これが発注というケースもあります。そして納品時に請求書を発行し、支払います。
結構ビックリですが、アナログな受発注のやり取りがあるんですね~。

問題は、与信判断をしている時間すらなく、債権が発生するという事です。
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この特徴①②で見られる課題をどう解決するか、ケーススタディから債権保証の観点で考えてみます。

4.債権保証利用のケーススタディ

私が経験したよくある実例を紹介します。

取引先数:2,000社(地場の零細企業が大半)
・大口顧客:500社(1取引100万円以上の企業)

従業員数:50人
・営業部門:20人
(一人あたり大口顧客25社、小口顧客75社を担当)
・管理部門:5人(うち債権管理担当2人)


◆◆営業部門◆◆
この企業では、1人あたり100社も担当している為、ある程度優先度を設けて営業活動を行います。つまり、大口顧客25社とは頻繁に連絡を取り関係構築を図ります。一方小口顧客75社とは連絡を取る頻度も減り、疎遠になりがちです。

その先にある与信リスクを考えてみると、小口顧客75社の与信の兆候がつかめず、最悪の場合、『知らないうちに顧客が倒産していた』という事があったりしてたそうです。

◆◆管理部門◆◆
管理部門では、未収金が発生していないかチェックを行います。
また債権管理担当は未収金や貸倒が発生した際に、主体的に回収に向けた対応を行います

その中で課題として上がってくるのが、回収業務の負担です。
特に相手が零細企業の工務店とかですと、入金が無かったので連絡しても社長も現場に行っているケースがあり、中々つかまらない、連絡が取れても支払いは有るとき払いのどんぶり勘定でやっているケースもあるので、注意が必要です。
取引先が多い分、回収業務が発生する頻度も高くなります。

特に小口債権の回収対応は、実際に回収できる金額(破産手続や夜逃げの場合など回収できないケースが大半)と回収にかかった人的コストを見比べると、人的コストの方が高くなるケースが多いというのも課題です。

◆◆解決策と注意点◆◆
この様な場合に債権保証の使い方としては、
「取引信用保険を使い、小口顧客層の債権をリスクヘッジする」という方法が適切です。

今回のケースだと、「債権100万未満の小口顧客層」が取引信用保険の対象となります。この顧客層では取引先の与信動向が掴みにくい状況の為、取引信用保険を掛けておくことで有事に備えます。

但し、取引信用保険でリスクヘッジをしているからといって、『100万未満の案件は何でも売れる』という考えは大間違いです。

与信管理をせずに、無暗に取引先を増やした結果、倒産件数が増えてしまっては元も子もありません。

与信管理規程の見直しなど内部統制の強化を図り、そして運用ではしっかり与信判断を行い取引を始め、リスクをコントロールしながら、取引信用保険を継続的に利用する為には必要です。

今回は建材卸売業をテーマにお話しました。
卸売業も多種多様なので、またどこかのタイミングで他の卸売業についても触れていきたいと思います。

本日の内容は以上となります。
次回もお楽しみに!では!

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