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「天気図の世界」について

マガジン「天気図の世界」のコンテンツは、様々な種類の天気図の紹介やMetPyを利用した天気図作成コードの解説、豪雨などの事例解析などからなっています。コードにのみ関心がある方、事例解析にのみ関心がある方などもいらっしゃると思います。そこで、コンテンツの分類と各コンテンツの簡単な紹介をします。気になったコンテンツを読んでいただければ幸いです。今後も、コンテンツを増やしていきます。

紹介しているコードは、MetPy Vesion 1を利用しています。

最初にある天気図は、戦後直後の昭和25年9月17日18時、枕崎台風が九州を通過中の天気図です。等圧線の他に、二点鎖線で不連続線が解析されています。「空白の天気図」(柳田邦男著)では、この台風による被害の大きさや、当時の混乱していた様子が描かれています。


コンテンツの分類

コンテンツは、次の4つに分類できます。
 ① 気象庁全球モデル(GSM)や長期再解析(JRA-3Q)などを利用した天気図
 ② 観測データを利用した実況天気図など
 ③ 豪雨などの事例解析
 ④ その他(解説のための予報技術や、リンク集など)
以下に、各コンテンツの概略を示します。

GSMやJRA-3Q,JRA-55などを利用した天気図

この各コンテンツでは、作成する天気図で何が把握・理解できるか等に関する話題や資料を紹介し、その後で、MetPyを利用したコードについて解説しています。

MetPyを利用したコードを効率的に理解するには、読む順序が重要です。GSMを使った数値予報天気図作成については、次の順に読むと、わかりやすいかと思います。どのような説明があるかも簡単に列記しておきます。
 GSMの500hPa面天気図作成 1-3
        GRIB2ファイルの読み込みから、渦度などの物理量の計算、
        極大値や極小値の位置にマーク、地図描画、等値線や塗りつぶし
 上昇流励起を表現するQベクトル天気図
  Qベクトルの計算の流れ、ベクトルの表示、凡例カラーバー表示
 ジェット気流と上層発散を把握できる天気図
  非地衡風成分の計算、矢羽の表示
 ④ 大気の不安定の程度がわかる天気図
  指定した複数の気圧面のデータの読み込み、3次元データセット作成方法、
 ⑤ 前線など立体的に把握するための鉛直断面図
  断面図データの作成方法、鉛直断面図描画
 ⑥ 700hPa面湿数、500hPa面気温の天気図
  気象庁が作成する天気図のカラー版のコードを2回に分けて紹介
 ⑦ 気象庁数値予報天気図のカラー版
  気象庁が作成する天気図3種のカラー版のコードを紹介

NetCDF形式のJRA-55を活用した天気図作成については、上のコンテンツを参考にしつつ、次の順序で読むとわかり易いでしょう。
 ①  JRA-55から天気図を作成する
  NetCDFデータの読み込み、データの切り出し方法
 ② JRA-55を使った地上天気図
  地上系のNet CDFデータの読み方など
 ③ JRA-55を使った力学的圏界面の天気図
  等渦位面データ作成
 ④ JRA-55を使ったエマグラム
  高層観測によるエマグラム作成コードをJRA-55を入力とするように変更
 ⑤ 700hPa面湿数、500hPa面気温の天気図
  気象庁が作成する天気図のカラー版のコードを2回に分けて紹介

ECMWFの全球モデルのGRIB2を活用した天気図作成については、下のコンテンツを参考にしてください。
 ① 500hPa面高度・渦度の天気図
 ② 500hPa面気温と700hPa面湿数の天気図
 ③ 700hPa面発散と850hPa面風の天気図
 ④ 850hPa面の相当温位と風の天気図
 ⑤ 地上気圧と可降水量の天気図
 ⑥ 鉛直断面図
 ⑦ エマグラム

GRIB2形式のJRA-3Qを活用した天気図作成については、下のコンテンツを参考にしてください。
 ① 等圧面天気図の作成
 ② 
地上天気図の作成
 ③ 
鉛直断面図、ポイント鉛直時系列図、エマグラム、Qベクトル天気図の作成

観測データを利用した実況天気図など

現在のところ、実況に関する天気図類のコンテンツは次の通りです。

 ・エマグラム
  エマグラムやSkew-Tの作成コードを紹介します。
 ・温位エマグラム
  温位エマグラムの作成コードを紹介します。
 ・地上天気図解析とプロット図作成コード
  地上天気図解析用のプロット図の作成コードを紹介します。
  METARとSYNOPの2つのデータをプロットします。
 ・ 2022年1月6日関東地方南部の大雪時の湿球温度とアメダス気象観測データプロット図
  アメダス気象観測データプロット図の作成コードの紹介です。
 ・アメダス気象観測データの時系列図
  気象観測データの時系列図の有用性とそのコードの紹介です。
 ・アメダス降雪用監視帳票やランキング出力
  アメダス観測データJSONを利用した、テキスト出力実況監視ツールの紹介。

豪雨・暴風などの事例解析や速報

JRA-55を活用した事例解析を掲載していきます。

昭和39年7月山陰北陸豪雨
この豪雨により、松江と金沢では現在でも通年で24時間雨量が1位の記録的な大雨となっています。この大雨要因について考察します。

速報として、簡単な事例紹介を行います。現在次のコンテンツがあります。

速報:2021年11月19日宗谷地方の暴風
低気圧により宗谷岬で猛烈な風が吹き、暴風の状況や天気図などを紹介。
sting jetの類似性について簡単に考察しています。
この暴風の要因についての記事、「2021年11月19日宗谷地方で発生した暴風の一要因について(仮説)」も掲載しました。

速報:アメリカの竜巻事例におけるGSM初期値の天気図
2021年12月10日夜から11日にかけて、アメリカで複数の竜巻が発生して、大規模な被害が発生しました。スーパーセルが発生した環境場を調べるために、気象庁全球モデルの初期値を利用して種々の天気図を作成して、考察しました。

・ 2022年1月6日関東地方南部の大雪時の湿球温度とアメダス気象観測データプロット図
2022年1月6日日中に東京で10cmの積雪となりました。この事例は気温が氷点下まで低下し、雪水比が大きくなり降雪量が多くなった事例です。湿球温度の時系列や分布図を使って、大雪の一つの要因について考察しています。

短時間の大雪事例と寒気質量について(1)  (2)
Iwasaki et al. (2014)により定義された寒気質量DPなどをJRA55から算出して、いくつかの記録的な短時間の大雪事例との対応関係を単純に考察しています。

日本海西部を南下した組織化した対流雲域とECMWFのGRIB2(1) (2) (3)
上層寒冷低気圧の西側を南下した対流雲について、ECMWFのGRIB2を利用して、対流雲が組織化した要因を考察しました。

香川県内海における記録的大雨(1976年9月11日)の解析(1) (2) (3)
香川県小豆島で日降水量が700mmを超えた事例について、JRA-3QのGRIB2を利用して、大雨をもたらせた総観場を中心とした要因を考察しました。

その他(解説のための予報技術や、リンク集など)

現在のところ、次のコンテンツがあります。

大雪解説のために寒気の規模を定量化
 強い冬型の気圧配置による大雪の影響で発生する車両大規模滞留のおそれを把握するための技術について

湿球温度による推定雪水比を利用した2022年1月6日関東大雪のGSM降雪量予想
 湿球温度から雪水比を推定する手法を紹介し、これを利用してGSMの降雪量予想分布図を作成

リンク集
 MetPy等のプログラムに関するリンク、各国の天気図に関するリンク


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