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【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|21)エピローグ 宴の後
総裁選の大会のあと、山田優斗と関係者、A葉とその関係者で祝勝会が行われた。優斗は兎に角うれしかった。彼は伯父原田博毅から意志を授かってから約20年この日のために努力したのだ。その目標が達成されたのだ。
もっとみる【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|20)第19章 総裁選 そして最終決戦(後編)
国民共和党の総裁選に立候補したのは、3名だった。現職で3選を目指すB候補。A葉の協力を得て、対立候補と目される山田優斗。優斗の後にギリギリ推薦人を集め最後に立候補したのが、金井兼人だった。
もっとみる【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|17)第16章 そして総裁選へ
日本政治のトップ、それは総理大臣である。「日本のトップ」とは具体的にどのようなものなのかを説明することは難しくはないだろう。例えば、総理大臣、正式には内閣総理大臣は、行政権の属する内閣の首長たる国務大臣のことで、国民の代表である国会議員の互選で選出される。つまり、総理大臣は国会議員である必要がある。定義でいうとこれで正しいということになるだろう。確かに正しいだろうが、その一番の本質は抜け落ちてい
もっとみる【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|16)第15章 反転
白井が優斗の自宅についた時には、優斗はコーヒーを飲んで待っていた。
優斗は素早く車に乗り込み、白井に状況の再確認を行った。連絡をしてきたのは同じ委員会の郷田穂積からだと分かった。彼とは同じ国民共和党議員で年代が近く、政治的な見解も近いと感じられたので特別に会って話したことはなかったが、委員会の前後では一番多く意見交換を行っている人間だった。
「彼は何と言ってきたんですか?」
優斗の質問に白井は
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|15)第14章 謀略のスキャンダル
発売された週刊誌Bをテーブルの前に置いて、山田優斗事務所の3名が集合していた。白井が怒りをぶちまけた。
「何ですかこれは、こんないい加減な情報を載せて週刊Bを名誉棄損で訴えるしかないですか?」
「白井、感情的になる前に冷静に事態を把握しないと駄目だ。どんな苦境に立ってもこれは肝に銘じろ。」
飯島は体の向きを優斗の方向に変えて言った。
「優斗君、これは私のイメージだが、これは精巧に練られた
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|14)第13章 晴天の霹靂
優斗は事務所に着いたところ、飯島と白井はせわしなく2人で話し合っていた。
「お疲れ様です。どういう状況か分かっていることを教えていただけますか?」
「4名とも公職選挙法違反容疑です。今回先生が関係していないもう一名も含めて5名とも地域の有力者に金銭を渡した疑いだそうです。どうしてこうも明白な違反行為を行ったか不思議ですね。」
優斗が頷いた
「確かに不思議ですね?」
「それの回答もわかっ
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|13)第12章 地方選最後の戦い
優斗の事務所の電話がなった。例によって党の幹事長神田本人からの電話だった。
統一地方選の前半戦が終わったその後は党は彼に休みを与えてくれると彼は思っていたが現実はそうではなかった。
「山田先生、石川県での働きには、党を代表して感謝申し上げます。とにかく不敗神話は継続していますからな。大きくプラスに影響していますからな。前にも言ったと思いますが、選挙の応援本当に素晴らしい活躍をいただいて、世論
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|12)第11章 そして北陸へ
北海道から帰ってきて、最終盤に再度北海道向かう準備をしてる中、与党国民共和党の幹事長の神田から優斗の事務所に電話があった。
「北海道ではなかなかの働きをしてもらってありがとうございます。期待以上に働いていただき久しぶりに北海道知事において保守の座を確保できそうな勢いです。本当に山田先生の働きには感謝していますよ。」
電話で聞いている白井が全く感謝されていることを感じない感謝の言葉を白井は聞い
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|11)第10章 北海道へ(2)
朝10時、占冠村の市街地の中心部に多くの人が集まっていた。
「おはようございます。北海道知事候補の小柴太蔵です。北海道知事の選挙演説が占冠で行われるのは今回が、初めてだそうです。占冠よりも人口の多い街は数多くありますが、私は私が知事になった暁には、この占冠をある意味象徴の街にしたいと思っているからです。北海道にはさまざまな貴重な財産が有ります。自然、農水産物、たくさんのものがあると思いますが、ま
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|10)第9章 北海道へ(1)
神田吾郎は与党の幹事長を拝命して3年になる、まさに首相に次ぐ実力者である。衆議院議員会館の彼の事務所に来るように連絡を受けて、山田優斗は秘書の白井と一緒にその部屋の前に立っていた。ノックすると、中から神田の声とわかる大きな声で返事があった。
「山田優斗でございます。」
「はい、どうぞ入ってください。」
顔を見せた幹事長神田吾郎は満面に笑みを浮かべて声をかけた。
「どうぞ、どうぞ、山田先生
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|9)第8章 再びテレビカメラの前に
ここでまた、山田優斗人気を決定づけることが起こる。山田優斗出演のバラエティ番組がスタートしたのだった。タイトルは「山田優斗の政治ってどうなっているんでショー」本当に素晴らしいタイミングだった。各局のワイドショーでトップニュースで扱われている人物がいきなりバラエティーショーを始めたのだから。この番組もやはり仕掛けたのは飯島だった。かなりとぼけたタイトルだったが、内容はその都度都度の政治の問題を山田
もっとみる【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|8)第7章 法案成立へ 再びニュースショー出演
次の日の委員会が終了してそのまま、山田優斗はテレビ局にそのまま向かった。行きの車の中で秘書の白井は、山田優斗に聞いた。
「先生、本日の内容は大丈夫ですか?」
優斗は答えて言った。
「白井さん、大丈夫ですよ。もう全部入っていますよ。ここでリハーサルしますか?」
オンエアーの最初の画面で山田優斗は、メインキャスターにこの法案の意味を問われて語り始めた。
「まずはこの機会を与えて頂けたテ
【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|7)第6章 衆議院議員 山田優斗初登院
翌日は、国会は開催中だったので、早速山田優斗は衆議院に登院した。総選挙の直後であれば、新人議員がそろって取材を受けるのが通例となっていたが、今回は当選したのは山田優斗一人であった。だが、総選挙後と同じ様な大変な数の取材陣が待ち構えていた。彼は選挙運動の際の公約の一つに、公文書の保管原則の作成と情報公開法の改正を最初に上げていた。彼はそれを速やかに進めるため、事前に党側と交渉して、公文書関連法規検
もっとみる【長編小説】アイドル山田優斗の闘い|6)第5章 補欠選挙投票日
その日は投票日前日だった。その週にでていた事前予想では全紙が山田優斗の圧倒的な勝利を予想していた。そんな状況でも飯島は全くたずなを緩めはしなかった。
「いいか、もう一度確認しておこう。優斗君我々には何が求められているかね?」
「圧倒的な勝利です。」
「その通りだ、優斗君。そこで今君は何をしなければいけない?」
「最後の日に全力を尽くすこと。」
「私はいつも高校野球の監督のようなことを